外伝2 〜真っ赤に燃やせ!熱き愛の心!ドリル軍団愛の特訓!?〜

「ふぅ・・・」

この日、龍二は深夜にひどく疲れて帰宅した。

「龍二。帰りが随分と遅かったが、一体どうしたんだ?」

蒼はそんな夫の様子に激しい不安を覚える。

「まさかマンドリルや他の幹部の奴等に何かやましい事をされたりしているのではあるまいな!?だとするならば私が今すぐ乗り込んで灸を据えてきて・・・・」
「そんなに心配しなくていいよ蒼ちゃん。実はね・・・」

それは、今から数日前に遡る。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「フハハハハッ!これからここは私が侵略させてもらうとしよう!」
「キャ〜ッ!ネクロネビュラ様〜っ!」
「あぁ〜ん、アタシを僕にしてぇ〜ん♪」
「おーい!俺の会社も侵略してくれ〜!」

龍二のもう一つの姿であるコウモリの様な戦闘スーツを身に付けたマンドリル軍団八大幹部の一人、暗黒帝王ネクロネビュラがとある都心部に現れた。
人々は平和を脅かす侵略者の出現に恐怖し恐れおののくどころか、むしろ歓喜の声を上げている。
それもそのはず、中性的な美少女の様な可憐な外見とそれに反した威風堂々としたカリスマ性を持ち合わせたネクロネビュラにはファンが男女を問わず多くいるのだ。
その人気ぶりたるや凄まじく、超大物クラスのヒーローをも凌駕し、ファンサイトも立ち上がっている程である。

「相変わらず愚かな奴等よ。敵を目前にして恐れるどころか喜ぶとはな・・・・」
「ネクロネビュラ様!いつも応援してますっ!」
「あなたの活躍で元気付けられたおかげで就職できました!ありがとうございます!」

ネクロネビュラを取り囲むギャラリーから次々と感謝や歓迎の言葉が上がっていく。

「ハッハッハッハ・・・貴様らの言葉、ありがたく受け取ってやろう。」

群衆に向かって彼は手を振ってサービスして見せていたが、突如後ろから殺気を感じた。

「!!!」

ドガァンッ!

後ろから降り下ろされたトゲの生えた巨大な警棒の一撃を、ネクロネビュラは間一髪の所で飛び退いて回避する。

「チッ!仕留め損なっちまったか!」

背後から奇襲を仕掛けた刺々しい警官服のようなコスチュームを着た筋骨隆々の巨漢、B級ヒーロー・マッドジャスティスは忌々しげに地面にめり込んだ警棒を無理矢理引き抜く。

「相変わらず奇襲の下手な奴だな。飼い猫の方がまだ上手いぞ。」
「うるせぇ!」
「フン、遅いな。全く遅すぎる。」

何度も降り下ろされる巨大な警棒をネクロネビュラは余裕で次々と避けていく。

「チィッ!悪党なら大人しく正義のヒーローである俺様にすり潰されてりゃいいモンを・・・・!」
「貴様こそ、その程度の実力で正義を名乗り語るとは極めて愚かだな。」
「そうよ!アンタなんて見た目も素性も汚いくせによくそんなこと言えるわね!」

ブゥ〜ッ!帰れ〜!

ギャラリー達が一斉にマッドジャスティスに向かってブーイングやヤジを飛ばす。

「・・・・畜生!ふざけやがってぇ!このクソガキがぁ!」

警棒が横凪ぎに振られて唸りを上げ、再度ネクロネビュラに襲いかかる。

「感情に任せて行動するか・・・つくづく愚かな奴め。」

ビシュンッ!

ネクロネビュラは上に飛び上がり攻撃を回避し、警棒攻撃が届かない位置の空中へと上昇してその場に留まり、右腕の手甲にエネルギーを溜めていく。

「テメェ!俺様の警棒が届かねえ空中に逃げやがって!この卑怯者が!」
「卑怯?生憎だが私は勝つためには手段は選ばないという信念を持っているのでな。貴様は罵倒のつもりで吐いたのだろうが、私にとっては誉め言葉なのだよ。」
「ぐっ・・・!」
「それに、貴様もいつも私を発見するや否やその手に持っているオモチャで後ろから殴り倒そうとしていただろう。それこそ卑怯なのではないか?」

返された言葉に即発されたマッドジャスティスは怒りのボルテージをますます上げた。

「ざけんじゃねぇぇぇ!どんな手段使ってでも相手を倒すことはヒーローの特権なんだよ!だから悪の癖にテメェがその神聖な特権を使うなんておこがましいんだよコラァ!」
「やれやれ、自分の盲点を怒りで誤魔化そうとしているのが見え見えではないか。・・・さて、そろそろ頃合いだな。」

ネクロネビュラはエネルギーが溜まり、紫色の蛍光色の光を放ち点滅している右腕を抑えながらマッドジャスティスに向ける。

「つーか!いい加減降りてこいって言っているのが聞こえねぇのか!」

バギュンッ!

右腕から特大サイズの紫色のエネルギー弾が撃ち出され、直線上にいるマッドジャスティスに迫っていく。

「オイコラ!シカトしてんじゃァァァアァーーーーーーッ!」

紫色のエネルギーがマッドジャスティスの全身を直撃する。
凄まじい威力の攻撃を食らったマッドジャスティスの悲痛な叫びは一瞬のうちにエネルギー弾の炸裂音にかき消される。

[3]次へ
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33