ワーワー!
ドドドドドッ!
ガラガラガラガラッ!
「そこ、モタモタするなぁッ!」
「は、はいぃぃぃっ!」
反魔物国のハンモーン。
正式名称ハンモーン・カンドセ王国。
この国は強力な軍国で、国が強固な要塞に囲まれていることから「難攻不落のハンモーン」という通り名を周囲の国に轟かせている。
ここは、そんなハンモーン王国の要でもあり、国への入口でもある巨大要塞の正門である。
無骨な鎧に身を包んだ中年の男が大砲の球を運んでいる若い兵士に激を飛ばす。
「どうだ、作業の様子は?」
「はい!只今急ピッチで作業を進めており、先程バリスタの全ての装弾が完了いたしました!」
中年の男が上唇に先端がカールした二対のヒゲを生やした派手な身なりの男に状況を報告した。
「宜しい!この調子で大砲も出せ!」
「了解致しました!」
中年の男は髭の男に指差された方向へと走って行った。
「何としてでも・・・食い止めねば・・・!」
髭の男の名は、オーラ・ロンシャン。
つい一昨日この要塞の最高責任者になったばかりである。
彼は大変向上意欲が強く、手柄を立て、邪魔者は利用するなり蹴落としたすなりしてただの一般兵士からここまで上り詰めた野心家だ。
「オーラ様!敵は魔王軍で、レーダー結晶が魔力を感知した方向から推測するとこの門の正面へと向かっております!」
眼鏡を掛けた伝達係の若い女性が血相を変えてオーラの前に躍り出た。
「分かった。第2門、第3門から兵力を1000人ほどこちらへ移動するように伝えろ。」
「はい!」
伝達係が居なくなったのを確認すると、オーラは呟く。
「せっかく手に入れた地位だ・・・!誰にも奪わせてなるものか・・・!」
ズズンッ、ズズンッ、ズズンッ
突如地響きが要塞に伝わった。
地響きは少しずつ大きくなっており、こちらへと向かっているのが分かる。
「一体なんだ?20年程要塞に居たが、これほどまでの振動は経験したことがない・・・!よほど大軍を率いてきたのか・・・!?」
砦の頂上へ上ったオーラは血走り気味の目で、首にぶら下げていた双眼鏡を手に取り覗く。
「なんだ・・・!?こいつは・・・!?」
双眼鏡に見えたのは旧魔王時代のドラゴンだった。
今まで何度もこの要塞で撃退してきたものよりもかなり大きい。
体は緑色の鱗に覆われ、角の形、翼は通常の個体と変わらないが、他の体のパーツに対して胴体と尾が大きいため、他のパーツが小さく見える。
この強固な砦すら大きく揺るがす地響きを立てて、四足歩行で移動するそれはまるで山に手足が生えて歩いているようだ。
ドズゥンッ!ドズゥンツ!
「撃てぇぇぇーっ!」
バシシィンッ!バシシィンッ!
オーラの号令と共にドラゴンに向けて一斉にバリスタが放たれた。
あの世界一硬いと言われているオリハルコンで加工され、一流の職人の手で鋭利に研ぎ澄まされたそれは武装した飛行船すら一撃で撃墜する代物だ。
シィィィィンッ!
ガバキンッ!ガバキンッ!
「なっ!?」
なんと、ドラゴンの甲殻に当たった最新の加工技術と職人の業で作られたバリスタの弾が粉々に砕けていっている。
これにはオーラも驚くが、すぐに冷静に次の指示を飛ばす。
「バリスタ撃ち方止めぇいっ!大砲を構えよっ!」
ガガガガガッ・・・
バリスタに続いて、大きな城すら瓦礫に変える量の火薬が詰められた大砲の照準が一斉に進行するドラゴンに向けられる。
「撃てぇぇぇぇーいっ!」
ドッガァァァァァン!
ズガドンッ!ズガドンッ!ズカドンッ!
おびただしい量の灰色の煙と共に、火薬の臭いが辺り一面に充満する。
「これだけの集中放火を浴びせられればヤツもひとたまりも・・・・!?」
またしてもオーラは驚愕した。
バリスタに続いて大砲の雨を浴びせられても、ドラゴンは怯むことなく砦へと進行していたのだ。
しかも体に一つの焦げ跡や傷もない。
ーその程度か?ー
オーラはドラゴンがこちらを一瞥した時にそう言っているかのような気がした。
「えぇいっ!まだだっ!もう一度撃てぇぃっ!」
ズガドォンッ!ズガドォンッ!
再び集中放火を浴びせられても、ドラゴンはそれをものともせずに砦へ足を進める。
ズゴォォォォォオッ!
ボガァァァァァンッ!
「うわぁーーーーっ!!!」
「総員退避ーーーー!!!」
大砲がドラゴンが吐いた緑色の炎に凪ぎ払われて爆発炎上した。
それに怯えた兵士たちが、指揮官の指示に従い逃げていく。
「オーラ様!大砲は今の攻撃で全て破壊されてしまいました!」
「何だとっ!?ならば次は拘束弾を撃てっ!動けなくした所を遠くから魔法で叩け!」
「はいっ!」
グォォォーーーン・・・
ドラゴンが立ち上がって二足歩行になる。
バヒィーーーンッ!
大砲の先に配
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