ゴウゾク古墳。日本で新たに発見された権力者の墓であり、砂漠地方のピラミッドと似たようなものである。
中からは様々な埋蔵物や土器、壁画などが発見されている。
特にこの古墳には他にはない変わったものが出土しており、人間の男と異形の女が交わっている壁画や、翼と角が生えた女性の粘土像、中には男性器や女性器のような形をした土器など、エロに関係するものが多く出土している。
「こんな下品な物が遺跡から出てくる訳がない!悪ふざけにもほどがある!」
と、遺物のあまりの下品さに一部の自称文化人の上層部が発表の最中に発狂して喚き散らす事態も起きたが、それでも調査は続行されている。
コツッ、コツッ、コツッ。
「はぁ・・・・。」
ゴウゾク古墳の内部を一人の青年が歩いている。
彼の名は羽生宗一(はにゅう そういち)。遺跡調査チームの一人だが、出世意欲の強い上司に手柄を作らせるためにいつも休みなしに遺跡調査に刈り出されている。
そのため目にはクマができ、足取りもややおぼつかない。
「本当にムチャ押し付けてくるよなぁ・・・」
子供の頃、考古学者になって遺跡を調査し、誰もが驚くような発見をするのが彼の夢であった。
だが、実際に入ってみると会議ばかりで一行に進まない調査、手柄目当てでこき使ってくる上司など、理不尽な目ばかりに遇い、安月給で生活はいつもギリギリで、子供の頃の夢を叶えるどころではなかった。
「はぁ・・・こんなことなら考古学者なんてならなきゃ良かったな・・・」
覇気のない声でそう呟きながら古墳の中の土の道を歩く。
壁には老若男女の人間たちと異形の女性が幸せそうな笑顔で入り乱れて踊っている壁画が描かれている。
「ははは・・・楽しそうだな・・・」
羽生は今の自分とは正反対な絵を見て自虐的に笑う。
「俺の幸せって一体何なんだろうな・・・」
羽生はそんな疑問を自分に投げ掛けながらまた歩き出す。
「今のところ、何もな・・・?」
辺りをキョロキョロと見渡していた羽生は、ふと自分が歩いている前に何者かが体育座りでうずくまっているすすり泣いているのを見た。
薄暗い中、目を凝らしてよく見るとそれは少女であった。
年齢はおそらく十代前半で、肌は健康的な褐色で、顔は隠れて見えないが髪はおかっぱの黒髪で、手足にはは独特な紋様が刻まれ、腰の両端には茶碗を縦に割ったような腰宛が付いている。
「君、一体こんな所で何をしているの?それに、なんで泣いているんだい?」
羽生が少女に声を掛けた。普通の人間ならばあまりの怪しさに見て見ぬフリをして無視しているだろう。
「うぅっ、ぐすんっ。こんなところまで、男の人が来たことに・・・嬉しすぎて泣いてたんだよぉっ♪」
さっきまで泣いていた少女がすっくと元気よく立ち上がり、子供らしい元気な笑顔を見せた。
「えぇっ!?」
羽生はあまりに唐突な展開に状況が飲み込めず困惑する。
「わぁいっ!これでわたしたちの主様ができたー!お姉ちゃんたちに言わなきゃっ!」
「え?え?」
「だけど、この人なんか疲れている感じがする!私達が癒してあげなきゃっ!」
少女はそういうと何やらブツブツと何やら呪文を羽生に向かって唱える。
すると、羽生の意識が急に薄れてきた。
「あ、あぁぁぁ・・・」
俺、一体どうなってしまうんだろう・・・?死んじゃうのかな・・・?
それに、あの子が言っていた主様って・・・?
少女は羽生が完全に意識を失ったのを確認すると、なんと自分より体格がある彼をひょいっとお姫様抱っこして何処かへ運び去って行った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うぅんっ・・・」
体の疲れが完全に取れ、柔らかい布団の中にいる様な感触と共に羽生は目を覚ました。
周りには高そうな家具が並び、自分の頭のすぐ横にはテーブルランプのような感じに無骨な蝋燭台があり、赤く燃えて周囲を照らしている。
似たような蝋燭台が壁にも全て取り付けられていて、枕元の蝋燭台では照らし切れないところも明るく照らす。
「ここは一体どこだ・・・?」
「あっ!起きた起きた!」
さっきの少女がおいしそうな料理が盛られたお盆を持って羽生の方まで来た。
「お前、さっきの・・・」
「お体の調子の方はいかがですか?」
少女の奥からそれよりやや背の高い褐色の肌の少女が現れる。
さっきの小学生のようなロリロリしい見た目をしている彼女とは違い、見た目は高校生位で顔立ちはキリッとしていて、髪はポニーテールのようなまげにしてにしてある。
「べ、別に何ともないし、それどころかむしろ疲れが取れてすごくいい感じだ。」
「そうですか、それは大変嬉しゅうございます。」
また奥から今度は二人より更に背も高く、大人びた雰囲気の胸の大きい褐色の女性が現れた。
先程の二人と同じように手足に独特の紋様が
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