「……………へ?」
静先生の指さしたモノを見て、僕は一瞬思考が固まった。
「そ、そこって……」
「はい。おっぱいです。魔物の動きを止めるツボは、おっぱいの先にあるんです」
「ま、まさか……」
「本当ですよ。それとも先生のこと疑いますか?」
「いえ、そんな! 滅相もありません!」
慌てて首を横に振る僕。呼吸が荒くなっているのが自分で分かる。僕みたいな女性に縁のない男にとっては、静先生や竹子さんのような美人が性的なことを口にしただけで、上がってしまうものなのだ。
いやいや。落ち着け。僕は必死に己の心を鎮めようとした。
魔物の動きを止めるツボがおっぱいにあるのは、単なる事実であって僕の都合とは関係ない。静先生はそれを僕に告げているだけなのだ。何も動じることはない……
「そ、そうだったんですね……そのツボを突けば魔物を止められるんですね……」
ティーカップを手に取り、残っていた紅茶を口にしようとしたが、手が小刻みに動いてうまく飲めない。まだ気持ちが落ち着いていないのだ。
「大丈夫ですか? 今からツボの刺激を実習してもらいますよ?」
「は、はい……」
落ち着け。落ち着け。別に静先生の胸を触るわけじゃない。きっと模型か何かを魔物の胸に見立てて練習するはずだ……
だが、そんな僕の予想は、あっさりと崩壊した。
「では、習うより慣れろです。はい、どうぞ」
「……………へ?」
差し出された2つの大きな膨らみを前にして、僕はまた思考が固まった。これは現実か? 何か夢でも見てるんじゃ……
「どうしました? 早くしてください」
「あ……」
僕は静先生の顔を見た。静先生は、あたかもそうするのが当然と言わんばかりに、はち切れそうなバストを僕に向けている。
「ちょ、ちょっと待ってください……」
「何を待つんですか?」
「それはちょっと、まずいんじゃ……」
「何がまずいんですか? 先生の言うこと、全部実行するって高遠くんはさっき言いましたよね?」
「で、で、でも、付き合ってもいない男女が、こんな……」
「高遠くん、先生のおっぱい触るの嫌ですか? 先生のおっぱい、見ていて気持ち悪いですか?」
「と、とんでもないです! でも……」
悲しそうな表情を見せた静先生に、僕は大慌てで取り繕った。しかし、一体どうしたら……
そのとき、それまで黙って聞いていた竹子さんが口を挟んできた。
「高遠くん。黙って聞いていれば、静先生に余りにも失礼ではないかな?」
「竹子さん……」
「静先生は我が身の危険を顧みずに、S県で魔物を研究し、今回も無償でT市の防衛に協力してくださっている。それだけに止まらず、大事な胸まで提供して君に秘伝を伝授しようとしているんだ。それに対する君の解答が拒絶なのかな?」
「きょ、拒絶なんてことは……」
「それなら、静先生の言う通りにして教えを受けたまえ。それとも、たかが倫理や常識を気にして、魔物と戦う方法に習得できないほど、T市防衛にかける君の気持はいい加減なものなのかな?」
「う……」
正論だった。魔物と戦うためにどんなことでもすると言ったばかりなのに、人間世界の常識を気にして逃げようとする僕は、情けない限りだ……
「「…………」」
竹子さんと静先生がじっと僕の目を見つめてくる。ここに至って、僕の心は決まった。
「す、すみませんでした……実習させてください」
「「高遠くん……」」
2人の顔がほころんだ。静先生は両手を軽く広げ、僕の方に迫ってきた。
「がおー。さあ、魔物が襲ってきました。ツボを刺激して反撃してください」
「し、失礼します……」
生まれて初めて、自分から女性の胸に手を伸ばす。それだけで汗が滝のように出た。自分の体内に、こんなに水分があったのかと思うほどだ。
が、僕の手が2つの膨らみに触れようとしたとき、静先生はそれを制して言った。
「高遠くん、服の上からなんて横着は駄目ですよ。ちゃんと出してください」
「え……? じ、直に、ですか……?」
「当然です。魔物との戦いは命懸けなんです。服の上からじゃ刺激が弱くなって魔物の動きを止められませんよ?」
「は、は、はい……」
脱がせてから触るということなのか……緊張がさらに高まり、震える指先で静先生のブラウスのボタンを外そうとした。
が、そのやり方も、静先生の御眼鏡には叶わなかった。
「1つずつボタンを外すのを、黙って魔物が待っていてくれると思いますか? 一気に破るんです」
「え? で、でも、そんなことしたら静先生の着るものが……」
「着替えくらい用意しています。さあ、遠慮しないで……」
「はいい……」
もう、静先生の言葉に従うしかなかった。ブラウスの生地を両手で掴み、力任せに左右に広げた。ピリッという音がして、思ったより簡単に先生の胸元が露わになる。
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