『ゴシャアッ!』
女の声を流していた小箱にグレートソードが振り下ろされ、小箱が粉々になった。
「な、なにするんですか!?」
町人のような姿の男が、驚いて叫んだ。
「うるせぇ!なんなんだよ!?どういうことなんだこれはよぉ!?」
どうやらグレートソード持ちの剣士はイライラしているようだ。壊した小箱をさらに踏み砕き、鬱憤を晴らしている。
「おやめなさい。癇癪を起こしても、なんの意味もありませんよ」
剣士をなだめたのは神父のような男。こんな状況にも取り乱さず、冷静を保っている。
「んだとぉ?こんな状況じゃあ癇癪起こしてもしょうがねぇだろうが!」
「ふん、状況に怯えて吠えるバカ犬が」
叫び散らす剣士を挑発するように、片目に傷を負った男がつぶやいた。
「おいテメェ!今なんていいやがった!?」
「遠回しにうるさいと言っているんだ。叫び散らす前に、まずはこの部屋から脱出する方法を考えろ」
片目の男は壁に手をつけ、ペタペタとあちらこちらを触り、なにかを探すようにしている。
「こんっのキザ野郎が・・・」
「まぁまぁ、今は冷静になるべきだ。アンタもそう噛み付くなよ、な?」
剣士が片目の男を掴みかかろうとするのを止めたのは片手剣を腰に差した剣士で、彼の静止にグレートソード持ちの剣士は舌打ちをしてから床に胡座をかいて座った。
「な、なにを探してるんですか?」
「この部屋から出る手がかりだ。『この館』と言っていたからな。どこかにここから出る仕掛けがあるはずだ。ボウヤも探してくれ」
「あ、は、はい!」
片目の男に尋ねたのは、まだ幼さが残る少年だった。男に言われて、素直に駆け出してあちこちを探り始める。
「・・・おい、テメェらはなにしてんだよ?」
グレートソード持ちの剣士が、部屋の隅でしゃべる四人の男に言った。
ひとりの男は先の町人風の男、もうひとりは白衣を着た男、ローブを着た男と、神父だ。
「え・・・あ、あの・・・」
「ここに来るまでになにがあったのか、聞きあってたんですが・・・」
「みんな、記憶がないのだ・・・」
「どうなってるんでしょうか・・・」
「けっ、役にたたねぇ野郎どもだ」
その時、個室内の埃かぶったベッドの下を探ってた少年が声をあげた。
「あっ!あの、なんかありました!」
少年が見つけてきたのは、小さな箱だった。開けてみると、一枚の紙が出てきた。
『自己紹介をしてください。名前、職業、特技くらいを言ってください』
「・・・はぁ?なんだこれ?」
「・・・意味わからねぇな」
剣士ふたりが首を捻る。他の男たちも、首を捻る。
そこを、片目の男が切り出した。
「・・・俺は『ティール』。職業みたいなもので、盗賊団の頭をやってる。特技はピッキング、スリだ」
周りの男たちがポカーンとするが、真っ先にハッとした町人風の男が続いた。
「わ、私は『ダービー』。し、しがない錬金術師です。と、特技は、簡単な錬金術・・・材料さえあれば、薬や毒、爆薬くらいなら作れます」
それに、次々と男たちが続いた。
「私は『ホーキス』と言います。とある町で神父をしています。特技は・・・昔かじった程度で、神聖魔法を・・・」
「・・・『リーグス』。魔術師だ。特技は魔法。攻撃魔法、補助魔法、なんでもござれ」
「ぼ、僕は『トリル』です!子供ですけど・・・その、墓荒らしとか、してます・・・罠外しと、走るのが得意です!」
「俺っちは『ラファール』。こう見えても、教会専属傭兵やってるぜ。片手剣での腕で横に並ぶ奴はいねぇと自負してるぜ!」
「私は『クォール』。医師、兼薬師です。怪我したらすぐ私を呼んで下さい。応急処置を間違えることはないです」
「・・・え?お?俺か?・・・俺ぁ、『バルセロ』。元聖騎士団訓練士だ。特技はこのグレートソードだな」
こうして、8人の紹介が終わると・・・
『・・・ゴゴ、ゴゴゴゴ・・・!』
壁が震え、ゆっくり割れると、上がる階段が現れた。
『・・・・・・』
剣士や魔術師たちを先頭に、みな無言で階段を上って行った。
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階段を登ると、大広間に出た。
大広間にはふたつの螺旋型の上り階段があり、また小部屋に入る扉がたくさんあった。灯りは松明しかなく、とても薄暗かった。
「・・・また部屋がたくさんあるのかよ・・・」
「手分けして探すか?」
バルセロが愚痴ると、ティールが提案した。
「お、いいな。そっちのほうが早いだろ。俺はそうするぜ」
「俺もだ。ひとりのほうが気楽だからな。おっ先ー♪」
バルセロは階段を登り、ラファールはひと部屋に入っていった。
「あ、ちょ!?身勝手な行動はダメですよ!」
ホーキス神父が慌
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