『タッタッタッ!』
ベルンが必死に廊下を走っていた。
理由は簡単。授業に遅刻しそうだからだ。
朝の食堂騒動後、時間がヤバイことになっていることに気づいたベルンはダッシュで教室に向かっていた。
そして、教室の扉を勢いよく開けた。
『ガラガラッ!』
「ま、間に合った・・・」
開けた扉の音に振り返ったのは、席に座った生徒たちのみ。教師のレッサーサキュバスはいなかった。多くの生徒はベルンを見た後、はぁ、とため息をついていた。
(・・・たぶん、新聞のことだろうなぁ・・・)
少し申し訳ないと思った瞬間、ベルンはハッと気づいた。
ひとり、未だ視線を外さぬ者がいた。
(・・・またアイツだよ・・・)
「・・・じ〜〜〜・・・」
ファローだった。真ん中少し後ろの席でベルンを見つめていた。
(・・・勘弁してくれよ、まったく・・・)
小さくため息をついてからベルンが前方の空いてる席に座る。
が、後ろからの視線がどうしても気になっていた。
「・・・じ〜〜〜っ・・・」
「・・・やれやれだぜ」
その時、ベルンは他の視線を感じた。
「・・・ん?」
キョロキョロと周りを見渡すが、ファロー以外に自分を見つめていた者はいなかった。感じた視線も、すぐになくなってしまった。
「・・・気のせいか?」
すぐに教師が入ってきたために、ベルンはすぐ授業に集中した。
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『軽銃器学科・午前』
[真面目に勉強した!]
[器用習熟度+1]
[拳銃についての知識を深めた!]
[新しいスキルを会得した!]
[ファローはずっとベルンを見張っていた]
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「・・・このように、『特殊弾』と呼ばれる弾は、魔法や錬金とはまた異なった知識を利用しながらも、『ファイアバレット』や『アイスバレット』などの魔法に似た効果や『ポイズンバレット』や『パラライズバレット』などの効果を持たせられる。今日は特殊弾の扱いについて学んだ。これから数回の授業に渡り、特殊弾の製造・注意しべきことを学んでいく予定だ。では、本日は解散!午後の授業に遅れぬように!」
教師の最後の言葉とともに、ふたりの生徒が立ち上がり、ダッシュで教室の戸口に向かった。
「こら!貴様ら!教室は走るなッ!」
レッサーサキュバスの教師の発言も聞かず、ふたりは教室を出て行ってしまった。
このふたりはもちろん、ベルンとファローであった。
「まぁてゴラァァァァァァァッ!!!私とタイマンはれぇぇぇぇぇぇっ!!!」
「いやだっつってんだろ!しつこいんだよぉぉぉっ!」
猛スピードで直線廊下をダッシュし、逃げるベルンにじわじわと詰め寄るファロー。
が、その追いかけっこは廊下突き当たりで一旦終幕を迎える。
くるっと廊下突き当たりを左に曲がったベルンだったが、ファローはブレーキが効かなかった。
「わっ!?ちょ、えっ!?」
慌てて止まろうとしたファローは、足をつまづかせ、転がるように壁に激突してしまった!
『バギャアァッ!』
(・・・悪く思うなよ・・・)
盛大な音を立ててファローが壁に突っ込み、止まってしまった。ベルンはチラリと後ろを見たものの、そのまま走り去ってしまった。
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[ベルンは
『特殊弾扱い Level1』
を習得した!]
[ベルンは
『ファイアバレット』
『ポイズンバレット』
が使用可能になった!]
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「・・・やれやれ・・・いつまで続くんだろうな、これ」
ファローから逃げ延び、空いた2コマ目を過ごす場所を探し、廊下を歩くベルン。
そのとき、後ろから誰かに抱きつかれた。
『むにゅん
#9829;』
「おぅふ」
変な声を出してしまったベルンは背中に当たるやわっこい感覚に、抱きついたのが誰か理解した。
「だ〜れだ?」
ところが当の本人はバレてないと思ってるのか、ワンテンポ遅れた目隠しとともにお決まりの台詞を言った。
「・・・ミルキィ、姉さん」
「正〜解〜♪」
のんびりした声とともに、ベルンの前に出てきたのはミルキィだった。
「ベルンくん、2コマとお昼休み、暇〜?」
「え、あ、まぁ・・・」
「なら、ご飯行こ〜♪前に約束してた、奢り〜♪」
ミルキィがベルンの腕を抱き込み、ぐいぐいと引っ張る。むにゅむにゅと腕を包むやわっこい感触に、ベルンは顔を赤くして慌てた。
「いや、あの、分かりました。行きますから。行きますから腕を・・・」
「ホント〜?じゃ、行こう〜♪」
「わ、ちょ、ちょちょ!?」
グイグイと引っ張られ、ベルンは引きずられるようにミルキィに連れていか
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