「ベルン!!!」
ベルンの出した手を、素早くサティアが握った。
「ひっ、引き上げてくれ!足を取られた!」
「わかっ・・・う・・・ぐ・・・ちょ、重っ!?」
ーーーーーーーーーーーーー
[腕力判定、難度 30]
[サティア筋力 25、失敗…]
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ベルンを助けようと力むサティアだが、触手の力は強く、ベルンを引き込むのをわずかに遅らせただけであった。
「ベルン!今俺らも手伝っ・・・」
ロックが慌てて近寄ろうとした瞬間・・・
『びゅばっ!びゅばばっ!ガシィッ!』
「あっ!?」
ベルンの左足や腰にさらなる触手がまとわりつき、数倍に化した強力な力でベルンを引き込んだ!
「うっ、うおぉぉぉぉぉぉっ!?」
「きゃっ、きゃあぁぁぁぁぁぁっ!?」
『ズルッ!ズザザザザザザァッ!』
瞬く間にベルンと、手を掴んでいたサティアが引き込まれ、洞窟の中へ消えて行った。
「ベルーーーーーーンッ!?」
「サティアーーーーーーッ!!」
ロックとベーゼが慌てて洞窟に近づくが。
『ビュン!シュパパァン!』
「がはっ!?」
「ひれぶっ!?」
なんと新たに現れた触手にふたりは弾かれ、すぐさまたくさんの触手が洞窟の入り口を塞いでしまった。
「ちょ、くそ、入れねぇ!?」
「こんのっ・・・離れてな!」
ベーゼがライフル『ランシャマー』を取り出し、触手に向けてぶっ放した。
『ギャガガガガガガガガガガ!!』
『ぶぢぶぢぶぢっ!』
10発ほど放ち、入り口を塞ぐ触手が千切れて乳白色の液体が辺りに飛び散る。
しかし。
『にゅるにゅるにゅるっ!』
千切れてしまった触手の隙間を埋めるように触手が現れ、あっという間にまた入り口を塞いでしまう。
「クッソ、なにこれ!?」
「がーっ!くそ、ラトラ!この洞窟、他に入り口あるとか聞いてないか!?」
「えっと、えーっと・・・あ!オーガたちがね!昨日、私たちがいた場所の近くにもいっこ入り口があるとか言ってた!」
「マジかよ!?くそ、探しに戻るぞ!」
ベルンとサティアを欠いた残りメンバーは、慌てて来た道を引き返し始めた・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
『ガサガサッ!』
「・・・ふぅ、行ったようだねぇ」
ロックたちが去った後、なんと草むらからオーガ一行が現れた。
「私たちの話、聞かれてたんだね〜・・・」
「どうする?姉貴〜?」
「どうするもこうするも・・・」
オーガが洞窟に近寄ると、入り口を塞いでいた触手の一本が首を上げ、ぐぱぁとグロテスクな音を立てて先端から紫色のなんだか分からない気体を吐き出す。
「・・・あんたら、処女とお宝、どっちがいい?」
『処女』(オークふたり)
「よし、今回のお宝は諦めるよ。あの情報屋によれば、まだお宝は別の場所にあるんだから」
『あらほらさっさー』(オークふたり)
その時、ビィブが「あ」と小さく言った。
「ん?ビィブ、どしたの?」
「『エイブ』ー。さっきさー、ご主人様一行が来たとき慌てて隠れたじゃんかー」
「うん」
「そん時、この看板へし折っちゃってさ・・・慌てて隠したんだけど、どしよ?」
ビィブがゴソゴソと隠れていた草むらから、一枚の看板を取り出した。
「元のとこに刺しとけばー?」
「そだねー」
エイブの一言に納得したビィブが、看板を『洞窟の前』の地面にブスリと刺した。
「お前ら!早く行くよ!」
「はいはーい」
「待って姉貴ー」
オーガ一行が森を引き返してゆく。
残された看板には・・・
『危険!この洞窟、強力な魔力瘴気発生により、学生の立ち入りを禁ず!
by リクラスト学園』
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[立ち入り禁止の洞窟]
(ダンジョンLevel unknown)
(ダンジョン特性 『魔力瘴気』)
『入り口、歓迎の触手の間』
「うぉぉぉぉぉぉっ!?」
『ドシャアッ!』
「あべっ!」
触手に引き込まれたベルンは、入り口から投げ飛ばされ、長い洞窟の坂を転がり落ちていった。下まで下ると、うつ伏せの状態で倒れてしまう。
「きゃあぁぁぁぁぁっ!!」
『ドッスン!』
「ぐぇへっ!?」
さらにその背中へサティアの巨体(蛇の尻尾的な意味で)が勢いをつけてプレスをかました。
「あっ!?ご、ごめん!!」
「・・・とりあえず、退いてくれ・・・」
サティアが慌てて背中から降り、ベルンの手を引いて助け起こした。
「ごめん・・・」
「気にすんな・・・お前は俺を助けようとし・・・っ、たんだから・・・」
「・・・痛みで頬、引きつってる」
「言うなよ・・・かっこ悪いから
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