『出店店舗届、大学宛』
『電磁気工学科』
『店舗名:執事喫茶 Vanilla』
『責任者:蛾之多 仁助』
『許可認定者:校長』
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『ガラガラガラッ』
『いらっしゃいませ、お嬢様』
「お嬢様がた、執事をお選びください」
「えー、どうしようー」
「ね、ね、この人カッコいくない?」
「ヤバイよね?マジヤバだよね?」
「お嬢様がた、執事をお選びいただいてる時間は料金対象外ので、ゆっくりお選びください」
「あ、あたし、この人いくー」
「あたし吊り目系でいこうかな」
「いっちゃう?いっちゃう?」
「お嬢様がた、お決まりですか?」
「んじゃあー、ユースケさんとぉ、シュンスケさんとぉ、『サダハル』さん、お願いしまーす♪」
「げっ!?」
「・・・どうしたんですか?」
「い、いえ!少々、お待ちください!」
『タタタ・・・』
「指名入りまーす!ユースケとシュンスケ!あと、おい!ちょっと来い!」
あー?なんだよ翔?
「お前に指名入ったんだよ!いいか!?ぜっっったいに客に対して舌打ちとかすんなよ!?頼むからな!?」
やらねぇよ・・・たぶんな。
「絶対だっつってんだろ!?ほら、行け!」
へーい・・・だりぃ。
「黙れ、ロリコン!真面目にやれ!」
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『うろうろ・・・』
「ちょっと早すぎちゃった・・・どうしようかな・・・」
あれー?真闇ちゃんじゃん。
「ぴ!?」
・・・流石にもうそろそろ慣れてくれよ・・・アイツがいないからって涙目でカタカタ震えるんじゃないよ、襲うよ!?
「あぅあぅ・・・」
あ、いや。冗談だから。マジで君を襲うっつーか触った時点で、あのロリコンに殺されるから。やらないやらない。
「はぅ・・・ごめんなさい、成竜さん」
いや、いいよ。てか真闇ちゃんはどうしてここに・・・って聞くのは無粋か。
「えへへ・・・貞春と学祭デートするの♪」
ぐぐぐ・・・うらやましか・・・ん?だったらアイツの店行けば?アイツ、確か今日の午前はシフトだろ?
「はい。だから今日は昼頃来て、休み時間始まりからいっしょのつもりだったんですけど・・・」
早かったと。だったら余計行きなよ。アイツの店内の成績向上のためにも。あの野郎さ、昨日おとといとシフト中、目つき悪くしたまんま接客するし、舌打ちするわ、お客に暴言吐くわですげぇ勢いでチェンジかまされて成績悪いんだ。アイツだって売り上げあげて学祭終わったあとの自分の取り分増やしたいだろうに・・・
「・・・へ、へぇー・・・」
・・・・・・真闇ちゃん?
「言ってないです!『お店やるからって、あたし以外の女の人に鼻の下伸ばすのやだな』とか、独り言言ってないです!!!」
君か!君のせいか!アイツの業務態度最悪なの!!
てかアイツも、学祭収入<真闇ちゃんの独り言かよ!?
「うぅぅ・・・貞春、本気にしちゃったんだ・・・」
あーもう、とりあえず行きな。サクラでも売り上げあげさせてやれば分け前はもらえるはずだ。
「・・・無理です・・・」
え?なんで?
「・・・ただ単に学祭まわるだけって考えてたから、お金、持って来てない、です・・・」
・・・あー、ふたりの財布のヒモは貞春持ちだっけか?
「・・・はい・・・」
・・・ほら。千円。
「ふぇ!?」
たしか五百円払いで30分ホストと飲み放題だったはず。アイツのシフト終わりまで50分くらいあるし、料金分1時間たっぷり楽しみな。そして学科全員に恨まれろ。主にアイツが。
「え、あ、う・・・ありがたく、いただいときます・・・」
ははは。気にしないで。どうせ俺には金を貢ぐ相手さえいないんだから・・・orz
「・・・え、えと、誰も、ですか?・・・」
やめて!そんな『この豚、もう食品センターに送られちゃうのよね』みたいな目をしないで!
「ど、どんな顔ですか?」
ま、俺なんてほっといて、行ってきな。じゃあね・・・はぁ・・・
「・・・あーちゃん、会いに行ってないのかな?」
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「もうマジ信じらんない、さっきのヤツ!」
「申し訳ありません。アイツ女の子前にすると固まってしまいますので・・・」
「でもユースケさぁん!さっきアタシを見た瞬間、はっきりアタシに聞こえるように舌打ちしましたよ!?さっき!」
「あたしだって、コップにコーラ入れたあと『ほらよ』って投げたりしますフツー!?頭悪いんじゃないの!?」
「あとでしっかり叱っておきますから・・・ほら、飲みましょう。時間もったいないです」
「うぅ・・・気分わるーい!」
「まぁ、チェンジ無料だし?いいじゃん」
「ユースケさんたち優しいし♪」
((・・
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