被る猫皮は、一重?二重?それとも?

ーーー・ーーー・ーーー・ーーー

メガネをかけた、真面目ガリ勉風に見える青年が、女の子に告白している。

「ぼ、僕と、付き合ってください!」

それを見守るのは、ひとりの黒い地味目な少女・・・

ーーー・ーーー・ーーー・ーーー


「ごめんなさい、私、好きな人がいるの・・・」



その時、僕に電流走るッッッ!



「それじゃ、さよなら・・・」

さ、さよなら・・・

・・・またフられた・・・




僕は護之宮 貞春。大学3年。
あだ名は「貞操」を「護る」って名実ともに達成しているため、「ドーテー」だ。漢字で書け?だが断る。
絶賛恋人募集中、及びアタックしまくってるのだが、そもそもウチの学科は女子いないし、部活には入ってないし、今アタック連続5連続失敗してるし。あ、今さっきので6回目だ。
顔も悪くないと自負してるし、太ってるわけでも、ガリガリでもない。これといって悪癖もないし、誰かひっかかりそうなんだがなぁ・・・

「いや、そんなこと言ってるからだろ」

ん?これは親友の成竜くんではないか。流石は親友。僕の心が読めるとは。

「いやしっかり声に出てるからな?お前の悪癖、それだからな?考えが全部口に出る」

な、なんだってーッ!?

「何度めだよこのやりとり。てかまた玉砕したのかよ。ホント、懲りないな」

僕の精神耐久値はゴッキーさん並みですぞ?えっへん。

「いや褒めてないし」

じゃ、どや顔へぶし!?

「やめろ、殴りたくなる」

いや、殴ってる、殴ってる。グーで鼻はやめて。

「なら、どや顏はやめろ。ん、ちょと待て」

おや、そのメロディーは『素敵な君』かい?

「なんで知ってんだよ・・・あ、おう。ん、今日?あぁ、大丈夫だぜ。え、今から?よし、じゃ駅前な。ん、じゃ、愛してるぜ」

・・・ふたことだけ言わせてくれ

「もう分かりきってるが、どうぞ」

リア充ねじ切れろ!さよなら!

「おぅ。また明日な〜ドーテー」


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・


まったく。僕の失恋を知っておきながら見せつけるんだから、やんなっちゃうね!

「・・・・・・・・・じっ」

・・・うん、まぁスペック差は熟知してるさ。彼のほうが顔だっていいし、身長高いし、運動できるし、頭いいし・・・

「・・・・・・じーっ」

いかん。思い出したら腹ァ立ってきた。天は二物を与えず?ハッ、俺に関しちゃゼロじゃねぇかチクショウボケがッ!

「・・・じ〜っ」

あ、キャラ作り、キャラ作り。僕の素は口の悪いただの不良だからね。気をつけなきゃ。

「・・・決めた」

ん?なんか視線を感じるッ!?

「あわわっ!」

・・・今、なんか電柱に隠れた気がするけど、気のせいだね。うん、気のせいだ。僕にストーカーなんてありえないし、いや、いてくれたら嬉しいけど。そっこう嫁にするよ、僕。

「・・・・・・ちら」

ささ、家に帰ろう。母も父も待たぬ、一人暮らしの下宿へ。

「・・・よし」


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・


・・・むにゃ、むにゃ・・・

「・・・そ〜っ・・・」

・・・う〜ん・・・

「ッ!?」

・・・もう、食べれないよ・・・むにゃ・・・

「ほっ。よし、へんしん!」

・・・わーぉ、こんどはアイスだ。あはは・・・むにゃ・・・

「・・・あれ?変わらない?なんで?」

・・・むにゃ・・・むにゃ・・・

「えっ、なんで!?なんでへんしんできないの!?今日この人、フられたはずなのに!?」

・・・うるさいなぁ・・・

「あぁっ!今日新月だった!どどど、どうしy」

うるせぇんだよゴラッ!人が寝てるのにガタガタ抜かして起こすんじゃねぇヴォケ!

「ひぃっ!?」

んだテメェ!?わずかな時間使ってこっちは寝てんだよ!ギャーギャー騒いで妨害しやがって!ドコ高のヤツだ・・・こ、ら?

「あわ、あわ、あわわわ・・・」

あれ?ここ、僕んち?てか、君、だr・・・って、うわっ!?君、何漏らしてるの!?

「ふ、ふぇぇぇ・・・」

泣きはじめた!?いや、ちょ、とりあえず立って!ほら、あっちお風呂だから!はいはいはい!


・・・色々処理中・・・


・・・で、君は、なんだっけ?ドーベルマン原画?だっけ?

「ドッペルゲンガーです、魔物ですぅ・・・」

あぁ、ごめん。ドッペルゲンガーで、今日僕がフられたから、ついて来たと。

「はい・・・」

んで、今日僕が告白した相手に化けて?あんなことやこんなことするつもりだったと?

「そ、そうですぅ・・・」

でも実は今日新月で、新月だと変身できなくて慌ててた時に、僕が怒鳴っちゃって、怖かったと?

「うん。すごい、怖かったです・・・」

・・・ふむ。なるほど。

「・・・え、信じてくれるんですか!?」

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