一日目、午後

さて・・・今度は実践授業か・・・盗賊学科の実践授業の教室はここだったな。

『ガラガラッ』

おぉ、すでにたくさんの生徒が・・・すでに席で小箱と格闘してる・・・俺、遅刻したのか?
ん?黒板になんか書いてある。なになに?


『急用により、実践授業は自習とする。教卓にピックツール、ナイフ、開け方の参考を書いた紙、教卓横の床にライトと虫眼鏡がある。それを使って小箱の鍵を解錠せよ。解錠した者は自分の名前を書いた紙を中にいれ、再度蓋を閉じて教卓横の床にある提出箱に提出せよ。開けられなかった者は自分の名前を書いた紙を小箱に貼って提出せよ』


・・・一番始めの授業から自習かよ・・・しょうがねぇな・・・

「えーと、ピックツールにナイフ、説明の紙に、ライトに虫眼鏡・・・小箱は机の上にあるか」

適当に空いてる席を捜し、腰を下ろす。ふと横を見ると・・・



「ガリガリガリガリ・・・」



・・・ラトラが文字通り、小箱に噛りついていた。

「・・・何してんだよ・・・」

「はえあかあいああめひえう」

「ちゃんとしゃべれ」

「ぷは。『歯で開かないか試してる』って言ったの」

「それで開いたら褒めてやるよ・・・」

「ガジガジガジガジ・・・」

くっだらねぇ・・・小箱は20cm四方の箱、鍵はひとつ。ふつうに漫画とかでありそうな鍵だな。
さて・・・解錠の仕方は・・・?

『ナイフとピックツールを鍵穴に差し込み、ピックツールの差し込み位置を変えて押し込みながらナイフを回し、鍵が回るところをさがす。ピックツールが正しい位置に近いほど大きく回せる。無理に強くナイフを回すとピックツールが折れるため注意せよ。鍵はひとつ、回すはみっつ、である』

・・・なんか分かるような分からんよ〜な・・・とりあえず、やってみるか・・・

えーと・・・ピックツールを差し込み・・・ナイフを差し込み・・・ピックツールを、押し込む?

『カキッ』

で、ナイフを回す?

『ぐぐぐぐ・・・』

あれ?全然回らん・・・位置が違うのか?じゃあ傾きを変えて・・・


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・残り90分・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『カキッ、ぐぐぐぐ・・・』

う〜ん・・・回らん・・・やり方が違うのか?

『カキッ、ぐぐぐぐ・・・』

う〜ん・・・ここも回らんな・・・

『カチッ。キチキチ・・・』

あ、回った?

『ピタッ。ぐぐぐぐ・・・』

あ、止まっちまった・・・

「怖い人ー?開いたー?」

「見りゃ分かるだろ、まだだよ」

「そっかー・・・ガジガジガジガジ・・・」

「・・・お前はまだ噛んで挑戦してんのかよ。ピックツールとかはどうした?」

「・・・ん。」

ラトラはチラッとこっちを見ると、ポケットからナイフとピックツールを取り出した。

「・・・見事に割れてるな」

ピックツールがぽっきりと半分に割れていたが。

「ひとり一本分しかないから、こうして噛んでるの。ガジガジ・・・」

「・・・歯ぁ欠けないようにしろよ?」

「らいひょうぶ、らいひょう・・・」



『ガリガリ・・・ピキッ』



・・・ぴき?

「・・・怖い人」

「・・・なんだ?」

「・・・歯、痛いよぅ(;ω; )」

・・・見ると、ラトラの前歯にヒビが入っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ラトラが痛い痛いと駄々を捏ねるので、ラトラの手を引いて保健室へ連れて行った。

「痛いよぅ、痛いよぅ・・・」

「わぁった、わぁったから。すいませーん」



「はぁ〜い
#9829;どちら様ぁ?」



・・・なんかすんごいムッチムチなダークプリーストが来た。

「あら、怪我人は貴方?怪我はどこ?腕?足?それともアソコ?アソコなら舐めてあげ」

「違いますから。怪我人はこいつです・・・って、ラトラ。なんで隠れるんだよ?」

何故かラトラが俺の足に隠れるようにする。



「あら、ネズミのおチビちゃん?・・・・・・じゅるっ」



あ、なるほど。このシスター、色々ぶっとんでるのか。ラトラはこのことを知ってたのか?

「ほ〜ら、おチビちゃん。こっちおいて〜・・・ハァ、ハァ・・・」

「やっ!やっ!怖い人、この人、もっと怖い人!助けて!」

「バカ、お前を治療してくれる人なんだよ・・・たぶん」

「たぶんってなに!?たぶんってなに!?」

「さぁ、あっちのベッドでイイことしましょ?大丈夫、優しくしてあげるから
#9829;ハァハァ・・・」

「いやぁぁぁっ!助けて怖い人ぉぉぉ・・・」

・・・ラトラがシスターに連れて行かれた・・・ま、大丈夫・・・だよな?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・・・残り60分・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『カチャカチャ・・・』

教室にピックツールとナイフの解錠音
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