この日、周りが森に囲まれた道を一台の馬車が通っていた。
馬車には、馬の手綱を持ったおじいさんと、一人、女性が乗っていた。
「へぇ、ラティクルから来なすったのかい?長旅だねぇ」
ラティクル。親魔物領の代名詞と呼ばれ、人間たちと魔物たちが仲睦まじく暮らす町である。
「えぇ、ラティクルの南部、ウァンヴァッハってとこから来たんですの」
「うへぇ、ウァンバッハ!?女の一人旅でそれはキツいのぅ。1日かかるじゃろ?」
「うふふ、もう慣れっこですわ」
女性は元から細い目をもっと細め、口元に手を当てて笑った。
この女性、仕草は大人びていながら見た目は若かった。
童顔であるが、細目を携えた微笑みが大人っぽさを醸し出している。
服も水色ワンピース、ロングヘアーに麦わら帽子という若々しい格好。ところが身体は似合わないくらい立派で、おじいさんも、ちらちらとワンピースから覗く、白くスラリとした美脚と豊満な胸の谷間にチラチラと目を向けていた。
「んふふ、おじさま?私の足が気になります?」
「えっ、あ、いやぁ、すまんね。うちのばぁさんのと比べると、もうすごいっつぅか、なんつぅかね・・・」
そう言いつつ、おじいさんは頬を赤らめて、またチラチラ見てしまう。
「あら嬉しい。でもおじさま、私には大切な人がいるので、あんまり見られるとあの人が怒ってしまいますわ」
「うむむ・・・ワシもあと40くらい若ければのぅ。あんたと釣り合うナイスガイじゃったんじゃよ、ワシ」
「あらあら、残念ですわ」
二人がおしゃべりしながら、馬車はゴトゴトと進んでいた。
目指していたのは、ウィルベルであった。
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「おーい、フォン。おはよーさん」
フォンが店に向かう途中、エドが声をかけた。
「エド?どうしたの?店はもうすこし先でしょ?」
「いやーよ、今日はもう店に行かなくていいんだわ」
「え?どゆこと?」
フォンの問いかけに、エドが頭をかいて答えた。
「俺だって知らねぇよ。店に行ったら、『今日は休みだ、帰ってくれ』って工房手伝いの人が言ったんだよ。説明も何もなしだ。わけわかんねぇ」
「ん〜、どうしたのかな?」
「シラネ。だから今日はもう帰っていいらしいぜ?」
その時、ふとエドが違和感に気づいた。
「おい、フォン。シェリーさんはどうした?」
「えっ?」
ここ最近、ずっと一緒に出勤していたシェリーがフォンの横にいなかった。
「えと、ちょっとね」
「ははぁん?もしや昨晩お盛んすぎて腰やっちゃったとかか?」
ニヤニヤ笑いながら、エドが軽口を叩くと、フォンが見るからに動揺した。
「そそそんなこてないよ?なにをいってるんだエドはハハハおもしろいなー」
「・・・そうか」
(どもってるし噛んでるし空笑いしてるし棒読みだし。冗談で言ったのに、マジだったのかよ・・・てか盲目な上セックスで魔物より強いって・・・フォンって、人間じゃないのか?)
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ところ変わり、フォン宅。
ベッドで、シェリーが俯せで横になっていた。
「・・・痛い・・・マジ痛い・・・」
昨晩。
スーパーハッスル覚醒したフォンに一晩中可愛がられたシェリーは、アソコと尻穴を擦りすぎてしまったために、ちょっと動くだけでも痛みが走る。幸せな痛みとでもいうのだろうか。
「もう、フォンってばあんなに激しくヤってきて・・・ヤって・・・」
そう言いつつ、シェリーは手をアソコに・・・
「待て待て待て。アタシは馬鹿か?痛いんだっつーのに」
残念。サービスカットはなかったようで。
「フォンには悪いけど、今日は一日休ませて・・・」
ドンドンドン!ドンドンドンドン!!
唐突に、玄関からけたたましく殴打音が鳴った。
「・・・休ませてくれないのね。誰よ?こんな朝っぱらから・・・いてて・・・」
極力痛まないよう、前屈みになって玄関まで向かうと、まだ戸が叩かれていた。
ドンドンドン!ドンドンドン!!
「はいはい、今開けるわよ・・・」
シェリーが鍵を開けて、玄関の戸を開けると・・・
「・・・あれ?パパ?」
「・・・シェリー、大変だ・・・」
汗をかいて慌てた様子の親方が立っていて、叫んだ。
「ま、ママが、ママが来る!!」
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「さーて、今日はどーすっかな」
エドはフォンと別れたのち、自宅に帰る道を行かず、ふらふらと街を歩いていた。
「メリッサの相手もつまんねぇし・・・かと言って本とか買う金も持ってきてねぇしなー」
その時。
「あの、すみません」
「・・・はい?」
エドに声がかけられた。
声の主は、グラマラスな身体をワンピースで包み、麦わら帽子を
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