Case1:ウシオニ
「まさか、オレがこんな芋侍にやられるとはね・・・」
ウシオニがズシンと倒れる。その目の先には、鉄刀(刃がまったく付いていない鉄の板に刀の拵えをつけた武器)を肩に抱えた侍が立っていた。
「お前の血を浴びると正気でなくなると聞いたのでな。血を出さぬ得物を持ってきたのだが・・・全くずいぶんと図太い女子だ・・・もう日が沈むぞ」
彼らは昼間から闘っていたのだが、すでに夕方を過ぎようとしていた。侍は鉄刀でウシオニに挑み、ウシオニの再生力に悪戦苦闘しながらも、最後にはウシオニを疲労困憊させて膝(?)をつかせることに成功した。
「あーもー、ヤケだ。煮るなり焼くなり、好きにしやがれ」
「いいのか?」
「強いて言えば男を抱けなかったことが未練だけどよぉ・・・ま、気に入った男に殺られるなら本望だよ」
「ほう、拙者を気に入ったと?・・・なら話は早いな」
話は早い、と聞いてウシオニは首を傾げたが、侍は懐から書と筆を取り出し、シャッと縦線を引いた。
「では次の段に移るとしよう。ついてこい」
「・・・は?ついてこい?」
ウシオニが聞き返すと、侍は手元の書を見ながら言った。
「お前を好きにしてよいのであろう?なら今から言うことをしてもらう。
ひとつ、食事を作る修行
ふたつ、着付けの修行
みっつ、礼法の修行
よっつ、・・・・・・」
つらつらと侍がしゃべる内容にウシオニは目を丸くし、そして聞いた。
「お、おい?それってまるで・・・」
すると侍はウシオニに視線を戻し、にっと片方の口角を吊り上げて笑った。
「まるで、ではなく、花嫁修業をしてもらう。
お前は拙者を『好きにした』のだ。拙者もお前を『好きにする』」
『後日、とある家臣の言葉:
いやしかし、お館様の嫁様を見たときは家臣一同目を丸くしたものだ。ゲテモノ好きと呼ばれていたお館様も嫁くらいは人を選ぶと思っていたが・・・まぁ、夫婦仲は国一らしいが、拙者なら耐えられんな』
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Case2:マンドラゴラ
マンドラゴラは、今日も一日、地面に埋まって寝ているものだと思っていた。
(最近、人さえ通らないもんなぁ・・・)
最近、周りの地面から足音も振動も伝わってこない。ちょっとした林道の脇に花を出してずっと待っているのに、人どころか魔物娘さえ通りかからない。
(このままじゃ、お婿さん見つからずに行き遅れちゃうよぅ・・・)
土の中でじんわりと涙を浮かべるマンドラゴラ。
そんな彼女に、足音が聞こえた。
『サクッ、サクッ、サクッ・・・』
(・・・はっ!?人!?男の人!?)
しかも足音は遠くから真っ直ぐ、マンドラゴラに近づくように大きくなってくる。そして、マンドラゴラの前でピタリと止まった。
(わっ、わっ、わっ!人、だよね!?引き抜いて、くれるよね!?)
期待に胸を膨らますマンドラゴラに応えるように、マンドラゴラの花が根元からガシリと掴まれ、文字通り引き抜かれた!
マンドラゴラは、今まで溜めていた声を吐き出すかのように大声で叫んだ!
「っ、き」
「俺のプロポーズを聞けぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!!!」
しかし、瞬間、マンドラゴラの鼓膜をつんざいた、引き抜いた男の大声にピタリと叫びを止めてしまった。
「俺は君が好きだぁぁぁぁぁぁっ!!!ちょっとおどおどしたその表情ぉぉぉぉっ!!!恥ずかしがり屋な性格ぅぅぅぅっ!!!成長不足なフラット体型ぇぇぇぇっ!!!木の根のような生足や花そのものな頭もぉぉぉぉ!!!全部引っくるめて大好きだぁぁぁぁぁぁっ!!!
この気持ちを、君の叫びで本能に負けてしまうことは認めないぃぃぃぃぃぃ!!!他の奴に引き抜かせるのも認めないぃぃぃぃぃぃ!!!他の奴らが発情するのも認めないぃぃぃぃぃぃ!!!だから遮断するぅぅぅぅぅぅ!!!この大音量の叫びで君の声を!!!土地を買って通行を!!!他の魔物たちに旦那を与えて範囲内での発情を!!!すべてシャッダウンんんんんんん!!!
そして俺は叫ぶんだぁぁぁぁぁぁっ!!!
俺は!!!君を!!!
愛してげぇっほぉっ!?」
男の大音量の告白は、最後の最後に咳き込んでストップしてしまった。
ゲホゲホとむせる男の呼吸はか細く、むせ終わってもヒューヒューと死にそうな息を漏らしている。
そしてキョトンとしていたマンドラゴラは、顔をどんどん赤くしたあと、顔を押さえて、小さく・・・
「・・・きゃあ
hearts;」
このあと、滅茶苦茶青姦してた。
『後日、マンドラゴラの言葉:
・・・・・・・・・・・・
(あの人に、他の人に声を聞かせちゃいけないと言われたので、筆談です。あの人はとっても優しくて男らしくって・・・褒めるところを探してたら
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