Case1:ハーピー
「そこのハーピーさん。申し訳ないけど、ひとつ配達物をお願いできるかしら?」
ハーピー運送業の終業時刻になり、やっと帰ろうとしたハーピーに事務員が声をかけ、ハーピーはげっそりとした顔をした。
「え〜・・・」
「そう言わないで。手違いで仕分けされてなかったのよ。ちゃんと残業ボーナス出すから。ね?」
「ぶぅ〜・・・」
ぶつくさ言いながらも、ハーピーは事務員から渡された封筒を手に取る。
「それを配達したら、報告は明日でいいわ」
「え?いいんですか?」
「えぇ・・・うふふ
#9829;」
事務員の笑みに首を傾げながらも、ハーピーはさっさと空に飛び出して行った。
「え〜と、住所は、っと・・・こっちか」
ハーピーは早く帰りたいがゆえに高速で空を飛び、あっという間に封筒に記載された住所にたどり着く。玄関のベルを鳴らすと、素早く男が出てきた。
「・・・やっと来た」
「ごめんなさい。こちらの手違いで遅くなってしまいまして・・・」
ハーピーから封筒を受け取った男は、差し出し人などの確認もせずに、封筒を開け始めた。
「え!?あ、あの、差し出し人の確認と、サインを・・・」
「要らないよ。これを出したのは僕だから」
「・・・へ?」
キョトンとするハーピーに、男は封筒の中身をハーピーに差し出した。
「君に渡すつもりで宅配を頼んだんだよ。配達物は、右手のこれ。受け取ってくれるなら、ここにサインもらえる?」
男の右手には、綺麗な指輪。
サインを求めた場所は、婚姻届の氏名欄だった。
『後日のハーピーのコメント:
え?あの時のプロポーズについて!?いや、あの、唐突すぎてびっくりしたけど・・・その・・・あの後、あの人の家で『残業』して・・・えへ、えへへへへへへ
#9829;』
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Case2:マンティス
パチリとマンティスは目を覚ます。
すると、自分がいつも寝ている地面に乾燥した草を敷いただけの寝床ではなかった。
ふかふかした真っ白なシーツと適度な反発力のあるベッドであった。
マンティスは半身を起こし、記憶を辿る。そして、自分が狩りの途中に背後から何者かに襲われ、ワーシープか何かの毛により眠らされたことを思い出す。
部屋を見回すと、そこは普通の部屋であり今までマンティスが寝起きしたことのない環境だった。
ふと、音を立てて扉が開く。
そこから、目の部分に穴が空いたずた袋を被りエプロンをつけた大柄な男が入ってきた。
マンティスは、それが自分を背後から襲った何者かであることに気づき、警戒する。
そして、男はマンティスに近づき、左手をマンティスに向けて突き出した。
「・・・牛、豚、鳥・・・選べや」
3本立てられた指に、マンティスがキョトンとする。男が言ったことの意味がわからなかったのだ。
「今日のお昼ご飯を牛のステーキか豚のカツレツか鳥の丸焼きか選べやァァァァァァッ!!!」
男が袋からくぐもった声で叫び、マンティスがビクッと身を震わせてビビる。そして小さな声で「・・・豚」とマンティスが言うと、男はすぐさまスタスタと扉から出てゆき、すぐにもう匂いから揚げたてであろうと思われる山盛りの豚カツの乗った皿を持ってきた。
そして素早い動作でベッドに座るマンティスの前に机を起き、マンティスの首によだれかけをつけ、豚カツ、ライスの乗った皿と冷えた水の入ったコップを置いた。
マンティスはしばらくポカンとしてしまい、目の前の料理と男を交互に見た後、恐る恐る豚カツを口に運んだ。
やはり揚げたてだったのか、サクサクな衣にジューシーな肉がマンティスの口の中に入る。マンティスは次第に目をキラキラさせながらむしゃむしゃ食べ始めた。
「・・・美味いか」
男が言うと、マンティスはこくこくと頭を縦に振った。
「・・・オメェみたいな綺麗な女が生きるためとは言え狩りなんて危ねぇことするべきじゃねぇ。これから朝昼晩、全部メシ用意してやっから、オラと一緒に暮らしてけんろって言わせんなや恥ずかしいやろがァァァァァァッ!!!」
『後日のマンティスのコメント:
・・・あの人、すごい恥ずかしがり屋・・・最近、あの人の、ずた袋剥ぐのが・・・私の『狩り』・・・
#9829;』
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Case3:ダークマター
『闇の太陽』、ダークマター。
彼女は本日も、魔界の真ん中でフラフラしながら男を探していた。
その時、地平線で砂煙が上がっているのがダークマターの目に映った。
「・・・?」
ダークマターが見ていると、その砂煙はドンドン大きくなっていくのだ。そしてさらに、野太い叫び声まで追加されてきた。
「ふぉぉぉぉぉぉ!!!見つけ
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