Case1:アルラウネ
とある冬の寒い日。アルラウネは花弁を閉じて寒さを凌いでいた。
「うぅ・・・これでも寒いわ・・・これだから冬は嫌いよ・・・」
花弁の中で自分の身体を抱いて寒がっているとき、いきなりバリッという音を立てて花弁がこじ開けられた。
「へっ!!?」
ぎょっとしたアルラウネがこじ開けられた花弁の間から見たのは、ジッとこちらを見つめる瞳だった。ビックリして目をパチクリさせていると、その瞳はサッと離れ、花弁が閉じられた。
「・・・な、なんだったの?」
次の瞬間、アルラウネは自分が地面ごと浮き上がったように感じた。
「へ・・・へ?へ!?な、なに!?」
寒さを我慢して花弁を開くと、なんとアルラウネは自分を根っこごと引っこ抜かれて背負われていることに気づいた。背負っているのは筋肉ガチムチのマッチョ男だった。
男は無言でアルラウネを背負ったまま走り出した。
「ちょ、ちょっとぉ!?貴方誰!?ていうかなに!?なにしてるのよぉ!?」
アルラウネの慌てた声に振り向くことなく、男はアルラウネを担いだまま走り続ける。
しばらく走り続けると、透明なビニルで作られた小屋があり、男は器用に扉を開けて中の地面に大きく開いた穴にアルラウネの根を下ろし、近くにあったスコップで根を完全に埋めた。
「・・・?」
もう声も出さずに目をパチクリさせているアルラウネに、穴を完全に埋めた男はキリリとした顔で言った。
「・・・この年中暖かいビニルハウスで、俺と毎日種作りしようぜ☆」
『後日のアルラウネのコメント:
いやぁ、すごい無理やりな告白だったけど、あそこまで熱烈に求められたら・・・ねぇ
#9829;』
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Case2:リザードマン
「そこの道行くリザードマン!オレと勝負だ!」
あるリザードマンは、もう何度も見た男の言葉に、呆れたような顔をした。
「・・・またお前か・・・」
「当たり前だ!何度でも挑む!」
「あのなぁ・・・お前、一体私に何度勝つつもりだ!?」
この男、これでリザードマンに挑むのはもう数十回目になるが、それが全敗であるわけではない。というか、最近はリザードマンが負けることの方が多くなっている。
「この前、私をほぼ完封しただろうが!?勝ってただろうが!!それとも何か!?『俺ツエー!w』したいだけか!?私がリザードマンであると知ってやってんのか!?いい加減私を娶ってくれよ!!」
「そこだ!今お前が言った言葉に、俺が挑む理由がある!!」
ちょっと涙目なリザードマンに、ビシリと指差して男が言う。リザードマンは頭に?マークを浮かべて、聞き返した。
「・・・え?『リザードマンと知って』?」
「それは大前提だ。何度も挑む理由じゃない」
「・・・『俺ツエー!w』?」
「それがしたいならそんじょそこらの雑魚男を襲う。女を泣かせて楽しむクソではない」
「・・・『完封』?」
「そこだ!前回の勝負、俺はお前の剣を3回受けただろう!」
リザードマンはキョトンとして、頷いた。
「本気のお前相手に!『オールヒット』&『ノーダメージ』の『完全勝利』をせん限り!俺はお前と結婚しない!!それが真の『リザードマンの求める戦士』だろうが!!!」
『後日のリザードマンのコメント:
我が夫は二年後に私を完全に、完璧に打ち負かした後に告白してくれた。今の夫はきっと、どんな上位魔物相手でも軽くひねれるであろう
#9829;』
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Case3:ゆきおんな
ゆきおんなは、十数年越しの逢瀬を果たすために雪山にある住処で身支度を整えていた。
「・・・今年・・・やっと会えるわね・・・」
十数年前の記憶を思い起こす。ゆきわらしだった彼女は、雪山の麓の村でいずれ夫にしようと思った、一緒に遊んだ子供と約束をしていた。
『わたち、大きくなったら、あなたとけっこんするー』
『ぼくも、ゆきちゃんとけっこんするー』
『じゃ、やくそくねー』
『うん!』
『『ゆーびきーりげーんまん、うそついたらはりせんぼんのーます!ゆーびきった!』』
そして、成長してゆきおんなになった彼女は、やっとその彼を迎えに行くのだ。
「・・・待ってて、くれてるかなぁ」
しかし、もう十数年も前の約束である。もしかしたら、すでに結婚しているかもしれない。少し気弱になったゆきおんなの耳に、外で雪を踏む足音が聞こえた。
「・・・?」
こんな雪山の奥に、誰だろうと思ったゆきおんなが外に出ると、三度笠を被った風来人姿の男が歩いていた。深く積もった雪に足を取られながらよろよろと進んでいる。
「もし、貴方、道に迷われました?」
ゆきおんなが心配して駆け寄り、声をか
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