月曜日。本日からまた一週間が始まる日。
・・・で、あるが。
今週は『休暇週間』。
リクラスト学園には二週間勉強したあと、一週間休みがある。その一週間は自由期間。なにをしてもいい。ゴロ寝するなり、買い物するなり、デートして、そしてランデブー。この期間は門限さえ緩和されるのだ。
ただし、やはり学園は学園。最低限の宿題がある。
それは、一度冒険にでて、報告をしなればならないのだ。
「・・・ということでベルンくん!約束の図書館ダンジョンに行こう!!!」
目をキラキラさせたフェランに呼び起こされたベルンは、前回の空気っぽさがレベルMAXだったマミーを必死に引き剥がしながら部屋の玄関で応待した。
「・・・とりあえず、えーと・・・フェランだったっけ?まだ6時前なんだが?」
「冒険は朝早い方がいい!」
「どういうことなんだよ・・・」
頭を掻いて面倒臭く思ったベルンだったが、ハッとして、もしこのまま部屋にいたらどうなるかを予想した。
『ベルン!買い物行くわよ!』
『ベルンくん?喫茶店にでも行きません?』
『兄様・・・あの、成美と出かけませんか?』
三人の顔と、すぐあとに起こるであろうことを想像したベルンは・・・
「よし、行こう」
フェランの誘いを快諾した。
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そして、後悔した。
「あれ、ベルンくん?」
「げっ!?なんでアンタがいるのよ!?」
「あっ!ベルン、テメェ!」
ベルンの目の前には、ナナと、シルクとファローがいたのだ。
「・・・・・・フェラン?あいつらとは知り合いか?」
「ん?うん。昨日までの冒険講習のペアだよ」
ベルンは頭を抱え、大きく、重いため息を吐いた。
「あれ、ナナたちって、ベルンくんと知り合いか?」
「えっと、同じ授gy・・・」
「痴漢野郎よ!」
「ライバルだ!」
「・・・了解、把握。授業のクラスメイトだな」
この瞬間、フェランの理解力にベルンは一筋の涙を流すほど感謝した。
「・・・って、待てよオイ」
その時、ベルンはふと気付いた。
ベルン←後衛気味
フェラン←前衛確定
ナナ←後衛確定
シルク←後衛確定2
ファロー←おそらく前衛(性格的に)
つまり、前衛が二人、後衛三人のチームである。
「前衛ふたりでいいのか?ただでさえ回復魔法使えるやついないし、不安じゃないか?」
「ふふん。そこは心配いらないベルンくん。実はもう一人いらっしゃるのだよ」
指を揺らしてチッチッと舌を鳴らすフェランが得意げに言った。
「前衛で、かつ魔法が使えて、さらに上回生の方が手伝ってくれるのさ!」
「へぇ?一体・・・」
誰だ?と、ベルンが聞こうとした時。
「あら、ベルンくんじゃない。お久しぶり
hearts;」
ベルンは後ろから抱きすくめられ、耳にこそばゆいような息とともに声がかけられた。
「わひゃぉ!?」
「うふっ、可愛い声だすわね♪顔に似合わないけど、いいわ
hearts;」
「ね、姉さん!なにしてるのよ!」
ベルンを後ろから抱きしめていたのは、シルクの姉、カンバスだった。ベルンに抱きつき、ベルンの頭を撫でながらカンバスが答えた。
「あら、シルク、なにを怒ってるの?これくらい軽い挨拶よ」
「あっ、挨拶って・・・ダメよ姉さん!そんなやつにベタベタしたら!」
「やれやれ、未だに妹の男性潔癖性には困るわねぇ」
首を振ったカンバスはベルンから離れ、そしてベルンに紙包みを渡した。
「・・・?これは?」
「クラスメイトの茜さんから渡された物よ。昨日、ベルンくんと図書館に行くって言ったら、『そん時渡しといてくれへん?おおきに!』って言われたの」
ベルンは首を傾げたが、紙包みの重さと、茜とを連想して、中身を理解して包みを開けた。
「・・・おぉ」
中にはピカピカに磨かれたリボルバーが入っていた。それに手紙が添えてあり、ベルンはそれを開いた。
『べるん・とりにてぃ殿へ。
すまん!数日で壊れるようなモンを売りつけてもうて。ウチは品質は自身持って売っとるつもりやったし、実際評判はえぇねん。
やけど、新入生が使ってすぐ壊れるようなモン売ったと知れたら、評判落ちてまう。悪いけど、新品の銃包むよってに、堪忍してや!
分福 茜より』
手紙にはそうあり、ベルンは申し訳なく思いながらも、その銃を受け取ることにした。
「・・・なんか、形まで違う気がするけど・・・いいか」
「あらあら、茜さんが贈り物するなんて・・・気に入られてるのかしら?」
その発言にギョッとしたベルンが顔を上げると、案の定、他の女子陣(一人除く)がなんとも言えぬ顔をしていた。
「・・・ベルンくん、スケコマシか」
「・・・痴漢野郎」
「・・・と、
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