14日早朝『図書館ダンジョンへ!』

月曜日。本日からまた一週間が始まる日。

・・・で、あるが。

今週は『休暇週間』。
リクラスト学園には二週間勉強したあと、一週間休みがある。その一週間は自由期間。なにをしてもいい。ゴロ寝するなり、買い物するなり、デートして、そしてランデブー。この期間は門限さえ緩和されるのだ。

ただし、やはり学園は学園。最低限の宿題がある。
それは、一度冒険にでて、報告をしなればならないのだ。



「・・・ということでベルンくん!約束の図書館ダンジョンに行こう!!!」



目をキラキラさせたフェランに呼び起こされたベルンは、前回の空気っぽさがレベルMAXだったマミーを必死に引き剥がしながら部屋の玄関で応待した。

「・・・とりあえず、えーと・・・フェランだったっけ?まだ6時前なんだが?」

「冒険は朝早い方がいい!」

「どういうことなんだよ・・・」

頭を掻いて面倒臭く思ったベルンだったが、ハッとして、もしこのまま部屋にいたらどうなるかを予想した。


『ベルン!買い物行くわよ!』
『ベルンくん?喫茶店にでも行きません?』
『兄様・・・あの、成美と出かけませんか?』


三人の顔と、すぐあとに起こるであろうことを想像したベルンは・・・


「よし、行こう」


フェランの誘いを快諾した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、後悔した。


「あれ、ベルンくん?」
「げっ!?なんでアンタがいるのよ!?」
「あっ!ベルン、テメェ!」


ベルンの目の前には、ナナと、シルクとファローがいたのだ。

「・・・・・・フェラン?あいつらとは知り合いか?」

「ん?うん。昨日までの冒険講習のペアだよ」

ベルンは頭を抱え、大きく、重いため息を吐いた。

「あれ、ナナたちって、ベルンくんと知り合いか?」

「えっと、同じ授gy・・・」

「痴漢野郎よ!」
「ライバルだ!」

「・・・了解、把握。授業のクラスメイトだな」

この瞬間、フェランの理解力にベルンは一筋の涙を流すほど感謝した。

「・・・って、待てよオイ」

その時、ベルンはふと気付いた。

ベルン←後衛気味
フェラン←前衛確定
ナナ←後衛確定
シルク←後衛確定2
ファロー←おそらく前衛(性格的に)

つまり、前衛が二人、後衛三人のチームである。

「前衛ふたりでいいのか?ただでさえ回復魔法使えるやついないし、不安じゃないか?」

「ふふん。そこは心配いらないベルンくん。実はもう一人いらっしゃるのだよ」

指を揺らしてチッチッと舌を鳴らすフェランが得意げに言った。

「前衛で、かつ魔法が使えて、さらに上回生の方が手伝ってくれるのさ!」

「へぇ?一体・・・」

誰だ?と、ベルンが聞こうとした時。


「あら、ベルンくんじゃない。お久しぶり
hearts;」


ベルンは後ろから抱きすくめられ、耳にこそばゆいような息とともに声がかけられた。

「わひゃぉ!?」

「うふっ、可愛い声だすわね♪顔に似合わないけど、いいわ
hearts;」

「ね、姉さん!なにしてるのよ!」

ベルンを後ろから抱きしめていたのは、シルクの姉、カンバスだった。ベルンに抱きつき、ベルンの頭を撫でながらカンバスが答えた。

「あら、シルク、なにを怒ってるの?これくらい軽い挨拶よ」

「あっ、挨拶って・・・ダメよ姉さん!そんなやつにベタベタしたら!」

「やれやれ、未だに妹の男性潔癖性には困るわねぇ」

首を振ったカンバスはベルンから離れ、そしてベルンに紙包みを渡した。

「・・・?これは?」

「クラスメイトの茜さんから渡された物よ。昨日、ベルンくんと図書館に行くって言ったら、『そん時渡しといてくれへん?おおきに!』って言われたの」

ベルンは首を傾げたが、紙包みの重さと、茜とを連想して、中身を理解して包みを開けた。

「・・・おぉ」

中にはピカピカに磨かれたリボルバーが入っていた。それに手紙が添えてあり、ベルンはそれを開いた。


『べるん・とりにてぃ殿へ。

すまん!数日で壊れるようなモンを売りつけてもうて。ウチは品質は自身持って売っとるつもりやったし、実際評判はえぇねん。
やけど、新入生が使ってすぐ壊れるようなモン売ったと知れたら、評判落ちてまう。悪いけど、新品の銃包むよってに、堪忍してや!

分福 茜より』


手紙にはそうあり、ベルンは申し訳なく思いながらも、その銃を受け取ることにした。

「・・・なんか、形まで違う気がするけど・・・いいか」

「あらあら、茜さんが贈り物するなんて・・・気に入られてるのかしら?」

その発言にギョッとしたベルンが顔を上げると、案の定、他の女子陣(一人除く)がなんとも言えぬ顔をしていた。

「・・・ベルンくん、スケコマシか」
「・・・痴漢野郎」
「・・・と、
[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4]
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33