「結構美味しかったね、シェリー」
「そうね、フォン」
ベルンたちに奢ったあと、フォン夫妻は彼らと別れて学祭を回っていた。
「なによりサティアが元気そうで良かったね」
「あの娘にも春が来てたようで怒った?」
「まさか。ベルンくんなら安心できるよ。まぁ、競争相手がいるようで中々不安ではあるかな」
「ベルンくん、天然たらしな気があるからね・・・」
「・・・泣かしたら殺す・・・」
「・・・フォン、一瞬顔がすごいことになったわよ?」
その時。
二人の前に、三人の生徒が立ちはだかった。
生徒たちは制服を着ており、何故か仮面をつけていた。
「失礼ですが、フォン・ウィーリィ様と、シェリー・ウィーリィ様でしょうか」
生徒のひとりが口を開く。フォンはキョトンとし、シェリーはフォンを庇うようにフォンの前に立った。
「・・・そうだと言ったら、なんなのかしら?」
すると生徒はこそこそっと話し合い、ぺこりと一礼してから、左腕にある腕章を見せた。
「私たちは、『リクラスト学園・行事開催委員・執行部』の者です。御二方に、とあるイベントに参加していただきたく、探しておりました。申し訳ありませんが、ご参加していただけませんか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ところ代わって出店ロード。
先ほど喧嘩をしてリーフに大目玉くらった天月とサリスは、午前の見回りを終えたあとにも関わらず、まだ見回りをさせられていた。
「・・・チッ」
「・・・フン」
お互いの空気は最悪。見回り中にもかかわらず険悪オーラが立ち込め、回りの人々は彼らを避けるように歩いていた。
一応、お互いもう火種を作らないようにしてるのか全く会話がなされてないのだが、それがさらに空気を悪くしていた。
そのふたりの空気を破ったのは、悲鳴だった。
「きゃーーーーーーーーーっ!!」
「えっ、今のは!?」
「・・・クロエの声!?」
ふたりが視線を向けると、二人の仮面をつけた生徒がクロエを腋と足を持って抱え上げていた。その脇にはもう一人、生徒が立っていた。
「班長!生徒会長クロエを確保しましたッ!」
「よし!走れッ!会場まで運ぶんだ!」
『押忍!』
「なになになにぃ!?なんなのぉ!?(;ω;)」
涙目になって叫ぶクロエを抱えたまま、三人は走り始めた。
もちろん、これを見過ごす二人ではなかった。
『待ァてゴルぁぁぁぁっ!!!』
二人はそれを鬼の形相で追いかけ始めた。クロエを抱えている一人が振り向き、二人を確認すると大声で報告した。
「班長!副会長サリス、並びに、新入男子生徒会員と思われる二人が追って来てます!」
「男子生徒の顔は!?」
「・・・合格圏内かと!」
「ならばそのまま連行する!『選手』として参加してもらうぞ!」
『押忍ッ!!!』
「何話してるのっ!?おーろーしーてぇ〜っ!(;ω;)」
『会長離せゴルぁぁぁぁっ!!!』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さらにところ代わって、職員室。
『ポン』
「リーフ先生、生徒のために、一肌脱いでくれませんかな?」
満面の笑みで肩を叩いたインドランの言葉に、リーフは文章で表せないような表情で拒否を示していた。
「・・・なんですかな。その『毎度毎度貴方が持ってくる話にはトラブルがつきまとうんだから嫌です』と言いたげな顔は?」
「校長が今、私の意志をすべて表現してくれましたよ」
リーフの言葉にインドランは腕を組み、顎をさすりながら「う〜ん」と唸ってしまった。
「どうしてもですかな?」
「はい」
「絶対に?」
「えぇ」
「私が土下座しても?」
「もちろん」
「貴方が誰に恋をしているかバラすと脅しても?」
「そんなの証拠もないでしょう?」
「・・・〜〜先生だろう?・・・」(ヒソヒソ声)
「知りません」
「・・・そうか。ならしょうがない」
残念そうにため息を吐いた校長は、くるりと踵を返した。
「君の机の中に彼女のあられもない寝姿を写した写真があることをバラs」
「待て。嘘八百をつく気か貴方は」
初めてリーフが校長の言葉にマトモに取り合った。インドランの肩を掴み、へらへら笑う顔を睨んだ。
「ん?これに関してはネタ元があるぞ?」
「どこに?」
「写真部の舞くん」
「あんのパパラッチが・・・嘘を吐いてるだけでしょう!」
「しかし舞くんの情報に嘘はあんまりない。彼女はどちらを信用するかなぁ?」
ニヤニヤ笑うインドランに、リーフは頭を抱えた。
「・・・わかりました。手伝えばいいんでしょう、手伝えば」
「うむうむ!流石リーフ先生!お優しい!」
「・・・はぁ・・・頭が痛い・・・」
「・・・あ、もちろん写真の件は誰にも言わん
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