リクラスト学園。
ここは、冒険者を育てる場所である以前に、ひとつの学校である。
そして、秋。
学校でのフラグ建設一大イベントが行われようとしていた。
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『・・・さて、本日は、我がリクラスト学園の学園祭、「旗立祭」である。
日々毎日を冒険に費やし、疲弊した肉体と精神を、本日ゆっくり楽しく休ませて欲しい。
・・・あわよくばこういうイベントでフラグを立ててしまえばいいのではないのかな?』
放送で聞こえる校長の気さくな開催宣言のジョークに、生徒たちがドッと笑った。
「やれやれ。あの人が終始真面目な演説やることは一生ねぇのかな」
「変に長々語られるよりいいだろ」
「あははは・・・」
ベルン、ロック、ネフィアの三人は、小さくしゃべりながら聞いていた。彼ら三人は何の出店にも参加していないため、フリーな状態だった。
『さて、長々話しているといつまでも始まらない。私も出店周りをしたいからな。
では・・・ここに、旗立祭を開催することを宣言する!』
校長の言葉を皮切りに、あちこちで出店の売り子の声が上がり始めた。料理のいい匂いが漂い始めたり、さっそくゲームが始まっていたりしている。
「・・・じゃ、俺たちも行くか」
「おう」
「はい」
ベルンたち三人組は、ぶらぶらと色々と回ることにしていた。ロックは可愛い子目当て、ネフィアは、一人になりたくなかったからだ。
「・・・ところでベルンさんは、どこかから応援呼ばれたりしなかったんですか?手先器用なのに」
「あー・・・それは、断ってた。俺が手伝うと大惨事になることがあるからな」
「?」
ネフィアが首を傾げると、ロックがネフィアに耳打ちした。
(ベルンは器用だけどよ、なぜかトラブルが起きるんだよ。ひどい時は出店の柱が折れたりとか、調理用具がブッ壊れたりよ・・・それを気にしてんだ)
(・・・筋金入りの不幸体質ですね・・・)
「・・・聞こえてんだけど」
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三人がまず向かったのは食事ができる出店が立ち並ぶ『出店ロード』である。たくさんの匂いが漂い、朝食を食べていない三人の腹はすぐにくぅくぅと音を立てた。
「どうする?なに食う?」
「出店って大概高いからなぁ・・・その中でガッツリ食えるものってなかなかないよな」
「唐揚げとかチヂミとかありますけど、量がコップ一杯分とかお皿に小盛り程度ですもんね」
それでも雰囲気に酔って買う人が多いため、店の良し悪し判別は難しかった。そこで店を巡って見ていたとき。
「お!おーい、そこの旦那さん方!うちんとこで蕎麦食うて行きー!」
聞き覚えのある声に呼ばれ、ベルンたちはそちらを向いた。
「あ、茜先輩」
「いらっしゃ〜い。ベルン坊や、蕎麦食うていき」
「う〜ん・・・いくらですか?」
「安心し。通常100Gなのを80Gにまけたるから」
「それでもミニマムコック(一番安い拳銃)より高いんすか・・・でも、まぁ、じゃあ、いただきます」
「あ、じゃ、俺らももらいます」
「あ、アンタらはまけへんよ」
「げぇ・・・」
「あはは・・・」
茜がキリッとしてロックに言う。ベルンだけまけてもらい、280Gを払うと、しばらくしてからホカホカと湯気をたてる温かい蕎麦が出てきた。
そして、三人は固まった。
「・・・茜先輩、なんすか、これ」
「ちょんぼこ蕎麦」
その中身は、温かそうな蕎麦の上にぶっといソーセージとそれを挟むように半分に切られた味玉、そして、それらがくっつく部分にワカメが添えられていた。
それはまるで・・・
(((・・・まるっきりチン◯コじゃねぇか)))
悪い冗談なのか、それとも天然なのか。ネフィアは頭をおさえ、ベルンはそそくさと見た目の配置を変えていた。
そこでハッとしたのは、ロック。バッと横を見て、同じ蕎麦を食べてる女の子とアマゾネスを見た。
「はふ、あふ・・・あつ、おっきいね、これ」
「そうだな。なかなか・・・じゅるっ、じゅぞぞっ」
女の子は猫舌なのか、ソーセージをぺろぺろ舐めて熱さに舌を引っ込め、また舐めてを繰り返す。アマゾネスは、蕎麦の汁を啜っているのだが、ソーセージを咥えて音を立てている。
(お、おぅ・・・これは・・・グッドだ!)
このとき、ロックは相当下心丸出しな表情をしていたのだろう。ハタと気づいたアマゾネスがロックを見て、自分が咥えているソーセージを見て、イラッとした顔をした瞬間。
「・・・ふんっ!」
『ぶちぃっ!!!』
「ッ!?」
「んぐ、むぐ・・・」
『ぶちりむちり・・・』
アマゾネスはソーセージを噛み切り、わざと口を閉じずに見せつけるようにソーセージを食べた。対するロックはキュッ
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