[ガーゴイル寮 312号室]
「おはようございます〜
hearts;」
ベルンは開眼一番に目の前にいたマミーの包帯に覆われた頬を押しのけた。
「あぁ〜ん・・・ご主人様のいけずぅ〜」
「なにしようとしてんだよ」
「お目覚めのキスれすぅ〜」
「やめてくれ」
やれやれと溜め息をついたベルンは、そそくさと着替えを始めた。
「・・・ご主人様の汗の染み込んだパジャマ〜
hearts;」
「やめろ」
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[巨大食堂、もふもふ亭]
「今日はなにを食べるかな・・・」
食堂に着いたベルンが店を見回していると・・・
「やぁやぁベルンくん!元気しとるかね!」
背後からベルンの肩をバシンと叩くように掴んだその手と大音量の声に、ベルンは身体を震わせてびっくりした。
「こ、校長先生・・・」
「はっはっはっ!久しぶりだね。今から朝食かな?だったら、私と一緒に食べようじゃないか。どれ、私が奢ってあげよう」
「え、あ、ちょ・・・」
ガッシリと掴まれた肩に引きずられながら、ベルンは校長についていく。校長は焼肉屋に行き、ニコニコ笑いながら注文した。
「やぁおはよう!さっそくだが、ステーキ定食2つ、片方は肉大盛りで。支払いはまとめてくれ」
「ありがとうございます。校長センセ、ガレッタセンセの朝ごはんじゃないんスか?」(店主)
「いやぁ、昨晩、妻とハッスルしすぎてな、はっはっはっ!妻は朝飯を作る間もなく寮に帰ってしまったよ」
焼肉屋の店主と校長が談笑している横で、ベルンは半分げっそり、半分わくわくしていた。重い朝食を食べないといけない苦労と、ステーキを食べたことがない期待からだ。
「お待ちどうさま、ステーキ定食ふたつ!」
「ありがとう!さぁ、ベルンくん、朝食としよう。はっはっはっ!」
これまたずるずると引きずられるようにベルンをつれていく校長は、食堂の隅の、あまり人のいない席を選んで座った。
「さぁさぁ、ベルンくん。食べたまえ」
「・・・い、いただきます・・・」
ベルンは目の前にでんと居座る巨大なステーキを切り、フォークで口に運んだ。
「・・・おぉ・・・美味い」
「そうか、そうか」
「・・・朝からこれはキツいですがね・・・」
「はっはっはっ!若い時は朝からガツガツ食って、筋肉をつけなきゃいかんぞ!」
そういう校長は、2枚のステーキのうちの一枚を、握りこぶしサイズにカットし、バクリばくりと食べて行く。ベルンはそれに唖然としながら、ちまちまと食べ進めた。
「むぐむぐ・・・で、だ。ベルンくん。ナンパは進んでるかね?」
「むぐっ!?」
校長がステーキ1枚、ベルンがステーキの1/3を食べ終えた時、話が急に切り出された。
「げほ、げほっ・・・まだそんなこと言うんですか?」
「これは真面目な話だぞ?何も思春期の子供同士のやんちゃな話じゃない」
ハァと疲れたようなため息をしたベルンは、愚痴のように話した。
「校長先生。そうは言いますが、『俺の身体のために抱かれてくれ』なんて言えませんって。第一、サティアのこともありますし、それに、最近俺を見る男子の目がキツいんですって。これじゃ闇討ちされてもおかしくないですって」
すると、校長は大口をあけて笑いだした。遠くで食事をしていた生徒たちはびっくりしてそっちをみた。
「うはははははは!小さい、小さいぞベルンくん!悩みが小さいぞ!あっはっはっ!」
「・・・はぁ?」
明らかに不機嫌な返事をしたベルンを無視し、校長は話を続けた。
「ベルンくん、君は優しい。だからこそ、抱く相手を選ぶだろう。目についた相手誰でもいいから、なんて考えない子だ。最低でも君を想ってる娘を選ぶ。そして、君を想う娘は君に頼りにされて喜ぶだろう。
サティア嬢はメデューサだ。もちろんそれにヤキモチを焼き、君を魅了することに力を入れるだろう。なら、それも受け入れてやればいい。他の娘の好意、それへの嫉妬。それらを全て上手く受け入れてやるのが、男の度量だと言うものだ」
「・・・でも、そんなの、身体目当てだと思われるじゃないですか」
ベルンは、思ったことを言った。
「・・・お前は何を心配してるんだ?」
その時、校長の目つきと雰囲気が一変した。
ベルンはドキリとし、息が詰まった。校長の厳しい目に目が釘つけになり、身体は金縛りにあう。背中がゾッと冷えた。
「お前が心配するのはなんだ?相手が傷つくことか?それとも、自分の体裁か?前者ならまだいいが、後者なら私はお前をぶっ飛ばすぞ。
お前は命の危機に瀕してるかもしれないんだぞ?なりふり構ってる場合か?
相手の気持ちを気遣うなら、セックスをする前に事情を説明してやれ。それで相手が白け
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