とある夏の日。蒸し暑い夜の中、軽くクーラーを効かせた部屋で、貞春と真闇が寄り添って寝ていた。
「が〜・・・が〜・・・」
「くぅ・・・くぅ・・・」
いびきをかいて寝る貞春にくっつき、真闇は小さく寝息を立てて寝ていたが、ふと目をこすりながら起き上がった。
「んぅ・・・おしっこ・・・」
そう呟いてフラフラと歩き、トイレに入った。
『・・・チョロ、チョロチョロチョロ・・・』
『・・・ジャーーー・・・』
トイレの水の流す音が聞こえてしばらくした後、真闇がトイレから出てきた。
「・・・貞春?」
「が〜・・・が〜・・・」
小さく真闇が声をかけたが、貞春は変わらずいびきをかいたまま寝ていた。
「・・・ん〜・・・」
しばらく悩んだ真闇は、ちゃぶ台の上にある鍵を見つけ、すこし微笑んだ。
「・・・貞春。ちょっと、散歩してくるね」
そう言って真闇は寝巻きから普段着ている黒のワンピースに着替えて、静かに玄関の鍵をかけ、夜の街に出かけた。
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真闇は特殊ではあるが、ゴースト系の魔物のため夜の街はそれほど嫌いではない。また、貞春の住んでる近所はそれほど人通りも少ないために、恥ずかしがり屋の真闇が散歩に出歩くのに適していた。
「〜〜♪〜〜〜♪」
小さく鼻歌を歌いながら、真闇は近くの公園に来ていた。少々蒸し暑いながらも、薄着の真闇は気にせずに歩いていた。
「〜〜♪」
(ガサガサ・・・)
「ひっ!?」
しかし、そのルンルン気分の真闇の足取りと気分を小さな物音が壊した。
「・・・な、なに?」
芝生の茂みの中で、小さく何かがガサガサと揺れた。真闇は恐怖を感じ、その場を去ろうとした。
(ハッ、ハッ、ハッ・・・)
「・・・?」
しかし、物音に挟むように、小さな息づかいが聞こえた。
(・・・もしかして、誰かいるのかな・・・?)
真闇はおそるおそる、茂みに近づいて、中を静かに覗いた。
(・・・わっ!?わわわっ!?)
そして、真闇は顔を真っ赤にさせた。
「ハッ!ハッ!ハッ!」
「クゥ〜ン・・・」
なんと、茂みの中は犬の交尾が始まろうとしていた、
かなりの大型犬、ドーベルマンの血でも入っているのだろうかと思える雑種のオスがのしかかり、小さく腰を振っていた。メスは逆に小さめで、ハタから見てだいぶアンバランスで無理やり襲われているようにも見える。が、自分の身体に見合わぬ大きめの男根を咥えこもうとしていた。
(お、おっきぃ・・・それに、あんな激しく・・・)
真闇は、知らず知らずのうちにそれをジッと注視してしまう。大型雑種のモノをジッと見つめて顔が熱くなっていく。
(・・・はっ!?い、いけない・・・は、離れよ・・・)
ハッとし、真闇が一歩引いたとき。
『パキンッ!』
「え、わ、きゃっ!」
『ドスンッ!』
木の枝を踏み、さらに足をもつれさせてしまい、大きな音を立てて倒れてしまった。
「ッ!?キャインキャイン!」
どうやらメスは相当神経質な犬だったようだ。急に暴れだし、あろうことか、なんとオスをはねのけ、ダッシュで逃げてしまった。
「・・・グゥルルル・・・」
「ひっ!?」
すると、大型雑種は『なんてことしてくれたんだ』と明らかに怒りの目を向け、唸りを上げて真闇に近づいて来た。
「いや、あの・・・ご、ごめんなさ・・・」
「ヴァウワウッ!」
「ひぃっ!」
真闇は慌てて立ち上がり、犬を背に走り始めた。ところが。
「ヴァウッ!」
「きゃあぁっ!」
真闇は後ろから犬に押さえつけられ、地面にうつ伏せで倒れることになった。
「や、やだ!離して!離してよぉ!」
真闇が暴れようとするが、大型犬に背中を押さえつけられて動けなかった。
『・・・スンスン、スンスン・・・』
すると、犬は真闇の匂いを嗅ぎ始め、すぐにハッハッと息を荒くし始めた。
「え?なに・・・?」
すると、真闇のお尻にやけに固いものが触れた。真闇は、それが何かをすぐに理解した。
「・・・え?う、嘘、だよ、ね・・・?」
しかし、大型犬は息を荒げたまま腰を動かして、真闇のお尻と背中、お気に入りのワンピースにキツい臭いのする何かをすりつけてゆく。
もはや何日も洗ってないような、汗や独特の据えた異臭と、にちゃりにちゃりとなる粘ついた音が真闇の鼻と耳を覆った。
瞬間、真闇は発狂したように暴れだした。
「ッ・・・やだぁぁぁっ!離してっ!離してぇっ!!!貞春っ!助けて貞春ぅっ!!!」
その暴れに腹を立てたのか、犬は低く唸ったあと、ワンピースを噛みちぎった!
『ビリッ!ビリィィィッ!』
「いやぁぁぁぁっ!!」
ワンピースの背中部分が引きちぎられ、犬の足と爪が真闇の背中に直にのし
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