「さて、どこから入るかな・・・」
ティールがバルセロを追ってらせん階段を登り、2階を歩き回ってみたところ、2階は狭い廊下がコの字になっていて廊下の両側にたくさんの扉があった。バルセロの姿が見えないことから、すでにどこかに入ってしまったようだ。
「中が見えない以上、どれを選んでも同じか・・・」
ティールは、適当に選んだ一室の扉を開けた。
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「・・・これはまた変な部屋を選んだものだ」
ティールの入った部屋には、大量の甲冑が置いてあった。
部屋を見渡す限り甲冑、甲冑、甲冑。覆面タイプに顔が露出するタイプ、おそらくサキュバスくらいしか着ないであろう、防御より露出を優先させた甲冑もあった。すべて台座に乗った人形が着ており、戦闘中のようなモーションで止まっていた。
扉を見ると、銀の板が貼り付けてあり、こう書かれていた。
『この部屋で鍵を見つけてください。でないと部屋から出れません』
「・・・やれやれ。職業上、こう視線が多そうな部屋は居心地が悪い。さっさと鍵を見つけるとしよう」
と言っても戸棚やタンスがないこの部屋。探すべき対象は目の前にある大量の甲冑たちである。
「・・・骨が折れるな・・・」
ティールは部屋の入り口横にある甲冑から時計回りに調べ始めた。
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「・・・ないな」
やっとこさ半分を調べ、ティールがため息を吐いた。
「・・・事実、鍵がないなんてことないだろうな・・・」
そして、次の甲冑の前に立って調べようとした時。
ピカピカに磨かれた甲冑が鏡のようになり、ティールの後ろに立つ甲冑が見えた。
「ッ!?」
ティールが素早く避けた。
『バギャァッ!』
ティールが調べようとした甲冑が、振り下ろされた戦鎚で轟音を立てた。
「・・・いかん、力加減を間違えた」
戦鎚を振り下ろした甲冑からくぐもった声が聞こえた。
「こっ、殺す気か!?」
「いや、違うんだ。待ってくれ。ちょっと驚かそうとお茶目っただけなんだ」
「お茶目で甲冑と石像がそんな歪むほどの力で殴られてたまるかッ!」
クールだったティールが取り乱して叫ぶ。甲冑の方はというと、申し訳無さそうな声と、少し慌てた雰囲気があった。
「くっ・・・さっさと部屋から出なければならないのに・・・」
「そ、それはさせんぞ!そんなことしたらまた私の独身歴が・・・げふんげふん!とにかく!この部屋から逃がさんぞ!」
なにやら変なこと言い出した甲冑は、兜を脱ぎ捨てた。銀髪のロングヘアーを出し、端正で整った女性の顔が現れた。
「貴様を奪わせていただく!(旦那的な意味で)」
「俺の命をか!?」
「違う!えぇい!とりあえず少し動けなくさせてもらおう!」
甲冑女が戦鎚を振りかぶってティールに駆け寄り、そのままの勢いで横に戦鎚を振った。
「気絶しろっ!」
「だから死ぬと言ってるだろうが!」
グォンという鈍すぎる風を切る音が屈んだティールの頭の上を通る。続いて横でバギャァッという音が響く。
「貴様が気絶してろ!」
ティールが屈んだ状態から一気に飛び上がり、甲冑女の顎を蹴り上げた。
『バコッ!』
「なっ!?」
その時。女の首が外れた。
「残念!私はデュラハンだッ!」
その瞬間、デュラハンの拳がティールの腹に入った。
「ぐぉっ・・・」
ティールが膝から崩れ落ちるのを、デュラハンの胴体が抱きとめた。
「あぁっ!ちょっと強すぎたか!?」
「ごほっ、がはっ・・・」
腹パンチの威力が凄まじかったのか、ティールは激しくむせたあと、まるで糸のようにか細い呼吸をし、白目をむく。
「わわわわ・・・や、やりすぎた!え、えと、どうしよ、どうしよ!?」
デュラハンはティールを寝かせると、わたわたと慌てて処置をしようとする。
「えと、えっと、まずは頭をはめて・・・よっと・・・」
『カチャン』
「えと、次は、えーと、なにをすればいいんだ・・・そうだ!人工呼吸か!?」
デュラハンが唐突にティールの唇に吸い付いた。
「すぅー・・・ふんっ!」(息を吐いた音です)
「んぶっ!?」
いきなり肺に勢いのありすぎる空気の塊を吹き入れられたティールは目を見開いて跳ね起きた。
「ぶふぁっ!?こ、殺す気だろ!やっぱり貴様、殺す気だろ!!?」
「おぉ、起きた♪」
「起きた♪じゃないわバカ!」
このデュラハン、クールっぽさもカッコよさもない。ムードがぐしゃぐしゃである。
「もういい!俺はこの部屋から出るぞ!」
「だから待っ・・・あ、そうか。ふふーん♪出れるもんなら出てみろ」
引きとめようとしたデュラハンは、急に態度を一変させてニヤニヤ顔にな
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