俺はクルト。羊飼いをやっている。
人によっては羊肉として捌くようなまねをするらしいが、俺は羊毛専門だ。こ
れでも割といい毛が取れる羊を扱っているから、収入はいい方だ。
仕事内容も、牧羊犬のクッキーに任せている。なんかやたらと頭がいいのでぶっちゃけ俺より役にたつ。移動と毛刈りは俺がやるが、大体は石に座って空を眺めていることが仕事だ。
この仕事を始めたころ、兄のアルルとの思い出を思い出していると…
(ん?あれは…)
丘の上、緑と青の境目に小さな白い影が見えた。
(珍しいな。クッキーがミスとは。)
重い腰を上げ、そこに行こうとする。が、
(お、こっちにくる)
羊らしからぬ速さに不思議に思いながらも見ていると
(え?)
おかしい。速過ぎる。止まる気配もない。まるで樽だ。そしてだんだんよく見えてくる。
(なっ!あ、ありゃ羊じゃねぇ!?)
近くでクッキーが威嚇するように吠える。羊もびっくりして道をあける。
そして、
(もふっ!?)
哀れ羊飼いクルト。未確認ローリング物体による攻撃を受け、赤い染みに…
(…ならない?)←一緒に赤い染みになろうぜと言っているわけではない。
もっさりとした感触を受け、よく見てみると、
(毛玉!?)
しかも
「きゅ〜(@_@)」
(しゃべった!?)
「あぁ〜、しゅみましぇぇん。」
押してみるとそれは球体に限りなく近い毛玉だった。
「で、誰?」
「すいませ〜ん、ワ〜シ〜プの〜ケ〜シ〜で〜す。」
謎の物体を起こし、問答する。
もともとこの近くに住んでいたワーシープだったのだが、毛が伸びすぎてしまい、さあどうしようというところで、俺を嗅ぎ付けたそうな。
確かに毛刈りはお手の物。しかし、
顔はかろうじて見える程度、体形は全く判断がつかない。これでどうしろというのだろう。キグルミを刃物ではずせとと言ってるようなものだろう。
「え〜と、じゃ〜手さぐりとか〜?」
「まるっきりセクハラっぽいな。しかも危ない。」
でも、ほかに手も思い浮かばない。顔まで埋まったら飢え死にするかも。
「ほかにも〜、眠さが〜大変〜」
確かに、会話しているだけで息も絶え絶えになりそうな俺がいる。群れの仲間たちも再起不能寸前だそうな。クッキーも「寝るな!寝たら死ぬぞ!」と言わんばかりに体動かし前足を噛み。彼の職業意識にホロり。
「一日で〜起きていられる時間が〜もう〜ほんのちょっとで〜だからお願い〜〜」
でもなぁ〜
「毛は差し上げますから〜」
OK!OK! come on !
「ありがとぉ〜」
ワーシープの毛。しかもこれだけあればまた多くの羊が飼えるかもしれない。よかったなクッキーお前の相棒も買ってやるよ。先こされるのは癪なのでオスだがな。わっはっはっはっはっは!
まずは体形の確認。二の腕半ばまで腕が埋まるって…
指先で彼女の肌を確認。たぶん腹だ。そして…
(ぐっ…くっ、こ、こらえろっ俺!)
恐ろしい程の眠気。魔法薬に勝るとも劣らずっ
そして、彼女の肌の感触。そして漏れ出る魔力。
「あれ〜どうかしました〜?」
「いっいや!?なんでもないよ!?」
思い出せ、さんざん兄にいたぶられ、ついに習得した勃起隠ぺい技術を今こそっ
よし、体形はつかんだ。
スレンダーな体形ながらなかなか… ゲフンゲフン
あとははさみを入れるのみっ
再びその毛の中に手を入れる。触れる感触は指先なのに甘さを感じた。
少しづつ、少しづつ、肌を傷つけないように。
徐々に素肌が露わになってくる。
ちょうど手の中に収まりそうな、柔らかそうな胸。
清流の流れと言われても納得できる、胸から太ももまでのライン。
毛に埋もれていたせいか、肌はミルクのように白い。あと、汗がじんわり全身を覆っていた。手が触れるたび、離れることを拒むように肌が貼りつく。
毛の中で埋もれ、クークー寝てる姿はまさに無垢を体現していた。
「……」
やばい。マジやばい。本当にあと少しなのに、眠いやら汗と女の子の体臭のミックスやらあどけなさと幼さと色気による吸引力やら、
性欲と睡眠欲がかつてない大戦争をしている。
(がんばれ、あと少し、このふくらはぎの毛を刈ったら終わりだ。)
そして小屋に駆け込み、そこで寝ればいい。目が覚めれば彼女はおらず、俺はかつてない大金を手に入れて大団円。
(よし… よし… よっしゃーっ!!)
終わった!! 終わったよ!よし、このまま小屋に行けば
その後俺は小屋に駆け込み、ドアを閉めた瞬間眠りに落ちた。
彼女の毛に包まれながら…
そっと彼女は目を覚ます。
自分を見るとあのキグルミじみた毛はもうない。彼はやってくれた。
白い裸身を起こし、彼女は緑色の小屋を見る。彼女はそっと歩き出した。
奇妙な感覚。そして息苦しさ。普通なら24時間は起きないであろう睡眠は破られた。
(んっ んんっ?)
そこにい
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