「それでは、こちらにお名前をお書きください」
そう言われて目の前に出された紙に自分の名前を記入する。
ここは最近できたスポーツジムで、近場に住んでいた俺は太りぎみな体型が気になりだしたのでここに入会することにした。 このままじゃ、恋人も出来やしないしね。
「ふむふむ、神田みのるさんですね。 入会理由は身体作りと・・、週3の午後ですね。 決まった曜日はありますか?」
職員の質問に首を横に振る。
どこでも良いがバイトしているのでここは無理に決めることは無いと説明すると職員さんも納得がいったようで軽く頷いているのが見えた。
「それでは、会員証を作成してきますので少しお待ち下さい」
そう言ってこの場から出ていく職員さん。
自分は、ポケットのなかにある携帯を見る。 時間はここに来てからまだ十数分しか経ってない。このまま何事も無ければ良いのだが・・・
「お待たせしてすいません」
数分後に数枚の紙と1枚のカードを手にして職員さんが帰って来た。
そして、俺の前にそれを差し出す。・・・・・要注意事項? そんな言葉が書かれている紙が俺の目に飛び込んでくる。
「それでは簡単な説明と、その後で更衣室の場所をご説明しますので。それではまず・・・」
職員さんの説明ではカードは身元証明の為、紛失や破壊はNGとされる。
もし、どっちかになったら追加金とペナルティーが発生するらしい。 因みにペナルティーの内容は、はぶらかされて解らなかった。
次に、要注意事項の事だが簡単に言ってしまえば継続的に通ってくれとの事だった。
なにやら、最近は1週間もしないうちに退会する人が多いみたいで困っているらしい。
そんな事を聞いた俺は更衣室の場所の説明を受けるために職員さんと部屋を出た。
「ここが更衣室になってます」
部屋を出てから隣の扉を開ける。 扉の上には青色で男性更衣室と書かれていた。
中は綺麗に清掃されている複数のロッカーが置かれておりその中央に長椅子が置かれている。
「神田さん。この後どうします? ・・今なら仮体験出来ますが、あっ、着替えはこちらで用意できますよ」
・・・そして、流されるかの様にして俺は一人で誰もいない更衣室で着替えをしている。
しかし、気のせいだろうか。 さっきから誰かに視られている様な感覚に陥っているのだが・・・いや、気のせいだろう。
そう思いながら早々に着替え更衣室から出ていった。
「・・・なかなか良い男じゃない?」
「そうか? 俺はもう少し筋肉質な奴を期待していたんだがな」
「それはぁ、私達でぇ、どうにかしましょー」
「「そうしよう」」
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