ともだちたくさんできるかな―
あるひ たいよう の かみさま は ひとつ の てん を つくりました。
てん は とても ちいさく とても ちっぽけ。
てん は ひとりぼっち で とても かなしくて ひとり で うたいました。
―まわる まわるよ くるくる まわる
あかちゃん ゆりかご ゆらゆら ゆれる
こども かけっこ ぐるぐる まわる
としごろ きもち ぐらぐら ぶれる
おとな よくぼう めらめら もえる
ろうじん いのち ちろちろ ともる
あなた の きもち は どこ に ある―
てん は うたう と ともだち が あつまって きて おおきく なり たま に なりました。
たま は きもち が ふくらん で うれしく なり おもいっきり のびる と からだ が できました。
からだ は きょう も ともだち を さがします。
きみ の ともだちって どんな ひと?
その ひと は きみ の こと を ともだち と おもってるのかな?
ともだちたくさんできるかな―
―失われた童謡―
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グレイ達は理解が出来なかった。いや、理解すれというほうが無茶な話である。今の今までずっと一緒に行動してきた仲間たちが、人間でなくなっている事にだれが説明できるだろうか。
本来、人間は魔物化するのにはその特定の魔物と性交しなければならないし、インキュバス化にあたっては魔物にもよるが相当な回数の性交をこなさなければならない。数ヶ月とかけてインキュバスとなっていくのだ。
まるで、人間という卵から魔物というヒヨコへ殻を破るかのようにゆっくりと。
しかし、今この状況はというと実に怪異極まりない。彼ら・・・いや、あの魔物達はついさっきまで立派な人間であったのだ。それがどうしたことか先ほどの黒い光を浴びた者は一瞬、ものの一瞬で人間という殻を破り棄てて魔物と化してしまった。人間を棄て、欲望の思うまま生きられる身となったあの者達は後悔など微塵にも感じていないだろう。逆に今では魔物にしてくれて『これ』に感謝でもしているのではないだろうか。
魔物となってしまった今では誰にもわからないが・・・
グレイとソフィアの額からは『寒気がする』のに大量の汗が滲み出る。『これ』の放つ気は邪悪や暗黒とかそういった類のレベルを遥かにに超えて・・・
そう、たとえるなら『闇』そのもの。
皮肉なことに、元人間であった魔物達はすでに交り始めており、雄や雌の全身からも汗が滲み出ている。
静まり返る中、魔物達の湿った水音と喘ぎ声だけが鳴り響いている。
バフォメットは『これ』に問いかける。
「わしらに何も影響はないところを見ると・・・『これ』は魔物のようじゃなぁ。
・・・おぬし、名とここへ来た理由を述べよ。わしの大事なお楽しみの時間を奪った罰は大きいぞぉ?」
「あはぁん・・・いっちゃった・・・・・・・・・・・・きもちいい・・・
・・・・・・・ああんっ!!またくるのっ・・・?いいよ・・・もっと・・・もっとぉ!!」
『これ』は完全に自分の世界に入っているようで、バフォメットの言葉は耳に入っていないようだ。
「おい、聴いているのかのぉ?何か言ったらどうじゃ?
・・・・・・無視かのぉ?わしの質問にぃ?」
彼女は初めは優しい口調で話していったが、ことごとく無視されていく。微笑んでいた顔がやがて真顔になり次第に眉間にしわがより、ついには悪魔のような恐ろしい形相と変わった。しかし、自分自身で気がついたのかまた微笑みを取り戻す。子供をあやすように。
「最後に聞くが・・・おぬしの名前は何じゃ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あはぁあぁぁぁ・・・もうらめらのぉ・・・あついぃ・・・」
「・・・なるほどの。じゃあ簡単な遊びをしようかの。
わしはあの人間達よりもおぬしに興味がわいてしまったわぃ。」
バフォメットはそう言うと置いてあった大鎌を手に取りニコニコしながら話を続ける。
「なぁにどれも簡単じゃよ。わしに切り刻まれるのと、わしにその触手を引っこ抜かれるのと、わしに一生性交が出来ない体にされるのと、わしに何度性交しても感じることのない体にされるのと、わしに消されるのと・・・さぁどれがいい?」
悪魔のような質問を笑顔でする彼女。まぁ悪魔なのだが。
・・・もちろんその質問も帰ってくるはずがなく、色っぽい喘ぎ声が聞こえるだけである。彼女の質問は喘ぎ声によって虚しくかき消された。
プチッ
バフォメットの額から生生しい音が聞こえたかと思うと、彼女の額から噴水のごとく血が噴出
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