「―――最近の医療の研究により、インキュバス化が性機能障害や性病をなくすという結果が判明されており、それに伴ってインキュバス化を望む男性が急増しています。その為、インキュバス化になるのを恐れて、滅多に手を出せなかった、インキュバス化を促進する薬が全国各地で売り切れる事態となり―――」
「―――……アレって、サキュバスの秘薬じゃないか。そういや『向こう』はあまり生産されていないんじゃ?」
「……昔は滅多に手に入るものでは無かったみたい。……だけど、今は生産出来るように、なったんだって。……あっ、赤ちゃんが動いてる♪」
俺はTVをぼんやりと聞きながら、俺の膝元に嫁を座らせて後ろから抱き、パソコンのキーボードを叩いている。
聞いての通り、ここで言う抱くと言うのは至って健全な意味であり、決して性交という意味では無い。少なくとも今は。
嫁は秘薬の現状について説明するが、それよりもお腹の中から元気よく動く赤ちゃんが動いてるのに合わせて優しくさすっている。
ちなみに服装はスク水―魔界においてはサハギン一族の日常的な服装―であり、スク水を着た妊婦さんとなると、これはこれで魅惑的である。
なんていうか、犯罪臭がするというか。
さて、俺が今いるのはどこかというと、日本から遠く離れ、いや、世界から隔離された魔界で、その魔界のどこかにある、紺色の湖の畔に建てられている小屋―正確には沙奈の三件ほどある実家の一つ―に住ませてもらっている。
今ここにいるのは二人だけだ。
いや、正確には嫁の両親も住んでいた。だが、いまは別の方の実家で絶賛子作り中であり、この家を借りきって甘い生活を送っている。
どうしてこんな所に住んでいるのかというと、少し話が長くなる。
その話は今から約3ヶ月ほど前にさかのぼる。
―――
あれから、SDが治ると同時にインキュバスになり、サキュバスのお姉さんに掘られて気絶した後も二人は代わる代わる俺を「犯し」続けられていた。
後に知った話だが、なぜ二度目も掘り、俺を気絶させたのかをお姉さんに訊いた。
お姉さん曰く、「貴方が勝手に満足しちゃあの子もアタシも不満だからぁ、貴方を気絶している間、おちんぽみるくがいつもよりたくさん作れる魔術を直接ブチ込んだのよぉ?♪」という話だ。 なんというドS…いや、ド鬼畜!
その間、嫁は膣内に、お姉さんは上と下の口を俺が目覚めるまで俺の精液を取り込み続けていたという話だ。一夫多妻のハーレムを作った勇者の方々にはさぞかし過酷だったであろう。
目が覚めたのは気絶して3日後らしい。
まず、目に飛び込んだのは、魔力を取り戻しただけでなく、来る前よりも蓄えられ、お肌が輝く位ツヤツヤとてからせ、すっかりご機嫌なサキュバスのお姉さんだった。
「あらおはよぉ、そしてご馳走様でしたぁ♪」
こんだけご機嫌という事は俺はこってり搾り取られたのだろうかと思った。
しかし、気分が少し重いだけで、身体はげんなりしているどころか、人間の頃よりも体調が良くなっていると感じた。
「……満足してもらえました?」
「んー、まだシたいっていう気持ちはあるのだけどねぇ…。そんなことよりぃ、貴方に嬉しいお知らせよぉ♪」
どうやら俺がまだ目を覚めていなかったら貪り続けていたらしい。貴方の欲求不満は底無しか。
いやそれよりも、お姉さん一回だけって言ってたじゃないですか。あれは嘘だったんですかい。
まぁそれよりも、嬉しいお知らせと言ったが、何か嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか。
俺はお姉さんの顔を見た。
何かを企んでいる様な、ニヤニヤとした顔……では無かった。
「ほら、沙奈ちゃんを見てぇ♪」
―――前言撤回。
流石に色々やらかした淫魔のお姉さんだからと言って、その笑顔が嫌がらせとかそういう風に見たのはとても失礼だと感じ、心の中で謝った。
そのお姉さんの顔は、まるで心から嬉び祝うような、嬉しそうな顔だった。
その幸せそうに細めている目から一筋の涙が頬を伝っていた。
「あの子……お腹に新しい命が宿ったのよ」
その言葉にハッとして、彼女が見ている方に顔を向けると、そこにはとても幸せそうに顔を緩ませ、丸くなって寝ている嫁の姿が目にうつった。
そして、その妻のお腹はぽっこり膨らんでおり、時折お腹を優しくさすっていた。
「……に、妊娠、したのか」
本来、魔物というのは、人間の女性と違い、非常に子供が出来にくい体質であるのか、人間同士の性交よりも数多くこなしているのにも拘らず、一人を産むのでさえ奇跡にちかいのだとか。
しかし、あれほど産ませたくないと思っていたはずなのに、いざ子供が出来るのかと思うと、不思議と嬉しさがこみ上げてきた。
「あーぁ、ア
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