魔物嫌いの副隊長

「コッケッコッコー!コッケッコッコー!」

宿舎に鶏の鳴き声が響く、部屋に置いてある柱時計を見ると短針は6の数字を差していた。
ベッドから降りて手早く軍服に身を包み、顔を洗い歯を磨く。
また何の目新しさもない退屈な一日が始まる。
準備を終えた後、宿舎の一階まで降り、食堂で朝食を食べる。朝食を食べた後は洗面所でまた歯を磨き、宿舎から歩いて10分程かかる警備詰所まで向かった。

「おはようございます!副隊長!」

警備詰所のドアを開けるやいなや詰所内に軍服を着た若い男、ジークの大声が響く。朝から大声はやめてほしいが真面目に挨拶している分何も言えない。 例え自分より身分が低くても。

「ああ・・・おはよう・・・」

先程のジークとは正反対の小さな声で挨拶を返す、俺は朝からそんな元気にはできんからな。
詰所内を見ると10畳程の広さに机が4台置いてあり、どの机の上も酷く散らかっている。その周りの棚の上にも書類や小物が乱雑に置かれていた。いつも通りの光景だった。
しばらくするとジークに声をかけられた

「副隊長、装備を準備するまでしばらくお待ちください」

俺は無言で副隊長席と書かれた札が置いてある席に座る。ギシギシと木製の椅子が軋んだ。

「お待たせしました」

ジークは机の上に剣を置いた。国から支給されたどこにでもある剣。伝説の剣でも高級な物でもない。私は剣を左腰に差した。

「こちらが隊長からの指示が書かれた書類です」

俺はそれを受け取り目を通す。書類を見た俺は首を傾げた。何故なら今日の指示された仕事は全くもって俺に関係のない仕事に思えたからだ。
ジークが不安そうに俺の顔を見る。俺が隊長が何処にいるか聞こうとした瞬間、隊長室の扉が開いた。

「よう!ライカ副隊長!相変わらず眠たそうな顔してんなぁ!」

ライカというのは私の名前だ。私はライカ・ベイルというのだが、昔から女の名前のようであまり好きではなかった。

これまた大きな声をあげて男が入ってきた。この男はロッド・イースタン隊長で俺の上司にあたる。ガサツで、仕事も少しサボりがちだが、人柄の良さが売りの男だ。
俺は少し苦手だが・・・
俺はロッド隊長に向き直った。

「ロッド隊長、本日のご指示なのですが我々の仕事ではない気がするのですが・・・」

ロッド隊長は顔をしかめる。

「いやぁ、それは俺も分かってるんだが、上の指示でな・・・」

「我々は治安維持部隊ですよ。今回のような仕事は調査観測部隊の仕事では?」

このメルガスト王国にはゾハス教団という反魔物を掲げる教団があり、国王よりも権力を持っている。
俺は教団傘下の『治安維持部隊』という部隊に所属しており、肩書きは副隊長だ。
治安維持部隊は文字通り、主に国内での治安を維持することが仕事だ。
他にも教団には、国の周辺において敵国の動静を監視、または有事の際に出動する『周辺警戒部隊』、国外での情報の収集、さらに水質、地質などの自然を調査する『調査観測部隊』がある。

「今回のような薬草の収穫は調査観測部隊の仕事だと思うのですが」

「まあまあ、そう言うなってライカ副隊長!調査観測部隊のやつらは皆出払ってるし、今手が空いてるのはお前位なんだよ」

俺はため息をついた。
確かに俺達は暇ではある。何故なら俺が治安維持部隊になってから、と言うよりも何百年も昔からこの国では戦争はおろか犯罪すら起きていない。
気候も温暖で作物もよく育ち、工業もある程度は発展している。さらに国王も国民の事を第一に考えるようなので国民は皆何一つ不自由無く生活している。
よって、俺の部隊は他の部隊に比べて仕事がかなり少ない。
最初は周辺警戒部隊も暇では無いのかと思ったが、たまに現れる魔物を追い払うため、そこそこの数が必要である。反魔物を掲げる以上、魔物の侵入を許してはいけないのだ。

「ジークを行かせては?」

「確かにジークを行かせたい気持ちもあるが、今回は無理だ。絶対にな。何てったって国王からの指示だからな」

俺は信じられなかった。何故、国王が俺に直々にそのような指示を出すかが分からなかったからだ。

「分かりました、行きましょう。ではすぐ準備をして出発します」

「待て待て!あと少ししたら国王の使いが・・・」

コンコン

警備詰所の扉をノックする音が聞こえた

俺が外に出ると隊長もついてきた

すると目の前に白いあごひげを蓄え、身なりの綺麗な正に執事という男性が立っていた。

「おはようございます、あなたがライカ・ベイル副隊長ですね」

「は、はい」

隊長は俺に耳打ちする。

「あの方が国王の執事だ。お前が出発する前に渡す物があるって昨日連絡を受けた」

執事は隊長と俺に一礼し、俺を正面に見据えた。

「突然、任務を言い渡した非礼をお許し下さい。実はお妃様
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