リャナンシーちゃんに叱られる!

ここはとあるアパートの一室。
このワンルームの部屋では、ぼさぼさ頭の青年とぷっくりほっぺが愛らしい小さな妖精さんが住んでいます。
青年の名前はクロ君です。
妖精さんはリャナンシーという種族で、名前をナンシーちゃんといいます。


今は深夜で外はもう真っ暗です。
多くの人は眠っている時間です。
そんな時間だというのに、クロ君は椅子に座って机の上のノートパソコンにカタカタと文章を打ち込んでいます。
その後ろでは、ふわふわと宙に浮いているナンシーちゃんが彼のことを見守っています。
あくびをして、とっても眠そうです。
ナンシーちゃんの手には、体と同じくらいの大きさの筆が握られています。
これはナンシーちゃんが肩身離さず持っている特別な筆で魔法の力を宿しています。


しばらくパソコンで作業をしていたクロ君が文章を打ち終わり、大きく伸びをしました。

「…..よし、これで完成だ」

「ふわぁ〜ぁ、やっと出来あがったの?」

「うん、ナンシーちゃん待たせてゴメンね。今回の作品は自信作だよ。ナンシーちゃんにも読んでほしいんだ」

「わたしもすぐ読みたいんだけど…..。うぅ〜、もう眠くてダメなの。明日読ませて」

「そっか、いつもだったら、とっくに寝ている時間だもんね。こんな時間まで付き合わせて本当にゴメン。作品の投稿だけ済ませておくよ」


クロ君は最近趣味でちょっと特殊な内容のSSを書いていて、自分が創作したものを、とあるサイトに投稿しているのです。

クロ君は例のサイトを開いてログインすると、作成したSSをさっそく投稿しました。
すぐ隣ではナンシーちゃんが眠い目をこすっています。

「投稿したら、もう遅いから寝ようよ」

「うん、そうなんだけどさ。でも、みんなの反応が気になって….悪いけど、あともう少しだけ待っててくれないかな?」

「え?一体何をするの?」

「投稿した僕の作品をみんなが読んでくれるか確認するんだ。今回は気合入れて書いたから、つい興奮しちゃってさ」

「確かにクロ君、今度のはいつもより時間かけてたもんね。私も気になってたんだ」

「ふふふ、ナンシーちゃんの反応も楽しみだよ。それじゃ、必勝祈願に…..んしょ」

「へ!?ちょ、ちょっとクロ君!どうして服を脱いでいるの?」

「ああ、ちょっとした願掛けだよ」


クロ君は何を思ったのか、急に服を脱ぎ始めました。
着ているものを全部脱ぎ捨てて、ついには“すっぽんぽん”になってしまいました。
おへその下にあるクロ君のゾウさんもまる見えです。


「きゃっ!!」

ナンシーちゃんはとっさに小さな手で自分の目をふさぎます。
お顔はリンゴのように赤くなっています。
でも、指の隙間からクロ君の体もゾウさんをこっそり見ています。

クロ君は裸になると、椅子の上で正座をしました。


「これは“全裸待機”って言ってね。すっごく叶えたいことがある時は、人はこうして裸で正座をして神様にお願いをするんだ。そんな真摯な態度を神様が認めてくれれば、願い事を叶えてくれると言われているのさ。僕は『自分の作品を多くの人に読んでほしい』とお願いするために全裸待機するんだ」

「….う、うん。よくわからないけど…わたしも応援するよ」

「ありがとう、ナンシーちゃんも見守っててね」

クロ君は例のサイトの作品リストから自分の作品を確認します。
閲覧数はまだ0回です。

「まあ、さすがにまだ誰も見ていないね。もう遅いから人もあんまりいないかな….。よし、更新してみよう」

クロ君は更新ボタンをクリックします。
画面が更新されましたが、変化はありません。
クロ君は諦めずに何度も更新ボタンをクリックし続けます。

「う〜ん、なかなか増えないなぁ…..(カチカチ)あ、誰か見た!やった、読者第1号だ!んぅ〜、この瞬間はいつになってもたまらないなあ」

閲覧数の欄に“1”と表示されました。
クロ君は興奮と喜びで胸がいっぱいです。

「よかったね、クロ君。あとは寝ている間に誰か見てくれるよ」

「うん、閲覧数が50回までいったら寝ることにするよ」

「え!?50回いくまでずっと見てるつもりなの?」

「50回なんてすぐだよ。あ、ほら、また増えた。全裸待機だってしているし、このまま待ってればあっという間に到達するよ」

「もうー、クロ君ったら」

息巻くクロ君にナンシーちゃんはちょっと呆れ気味です。

「わかったよ、クロ君。ただし、あと10分だけだよ。10分たっても50回いかなかったら、その時は一緒に寝ようね」

「OK、10分もあったら絶対いくさ。まあ、見ててよ」

クロ君は余裕の返事をすると、深夜の疲れでクラクラしながらも更新ボタンを連打しました。










それから10分が経ちました。
クロ君はすっぽんぽ
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