妙なものに捕まっていた。
「んあ?」
「ああ……起きたのですか。 済みません…あと少し、もう少しだけお待ちくださいませ……
すぐに終わりますから、じっとして下さいね……わたしの、愛しい旦那さま?」
というか、マズイものに捕まっていた。
大蜈蚣。
旧い時代においては神とも語られた強大な存在であり、神話における強力な敵役。
妖どもが概ね人間に友好的になった現在においても「怪物」と認識される危険な存在。
現在の俺の状況はすこぶる危険だ。
辺りはまるで見覚えのない林の中で、人の気配一つなくひっそりとしている。
既に数箇所ほど「噛み付かれ」て、痛みと見紛うような快楽に身を焼かれている。
蜈蚣の毒は長く残るという。ついで、脹脛の辺りでその節足の無数についた胴を巻きつけられている。
ここから逃げるのは至難……いや、もはや不可能。
あとは搾り尽くされるなり何処ぞの山奥に連れ去られるなり、碌な事にはなるまい。
命運尽きた。後はこのまま誰にも知られず朽ちるのだろう。
まあ、こんなチンピラ男の末路としては妥当な方か。
……まあ、それは別にして。
とりあえず魔物であるから、別嬪さんな事に間違いはない。
黒い羽織を纏っただけで惜しげもなく晒しているその肌は、まるで陽の光を知らないかのように白い。
そこに走る、刺青のような赤紫が強く目についた。
足に当たるべき場所には、太刀を用いてすら捌けそうにない堅牢な甲殻に覆われた禍々しい蜈蚣の躰がある。
しかし人と同じ形をした女の上体はそれとはまるで対照的で、出るところも出ていない、抱けば砕けてしまいそうなほど細く、華奢だった。
不釣り合いに思える要素が複雑に絡んで、それら全てが女の魅力を滲み出させている。
表情はオドオドとして、形の良い眉はハの字型に少しだけ眉間によっている。
その憂いを帯びた表貌を簾掛けの向こうに隠す長い髪は、されど細く。些細な表情の変化を見て取るには十分だ。
陰気で恥じらいの強そうな所作。被虐嗜好を見せ付けるような顔をするくせ、逃げられぬように俺を捕らえ、首に肩に脇腹にと牙を突き入れていく容赦のないその様子はヒドく嗜虐的だ。
表情や態度ではない。醸し出す雰囲気と場に淀む空気によるモノである。これは実に高得点。
うむ。好みだ。
いや、そうじゃなくてな?
「はむ……ん、ふっ……っ、はあ
#9829;
んっあ、はい……終わりましたよ? 旦那さま
#9829;」
「ん? あ、っつ…あ〜、ご苦労さん……?」
「いえいえ、これも全ては旦那さまが気持ちよ〜くなって頂くため……お礼には及びません。
ああ、そうです旦那さま、子どもは何人欲しいですか? わたし達は力が強い方の妖ですので、そんなに子どもが出来ないんですけれど……ああ、だけど、旦那さまがお望みになるのでしたら、きっと10人でも20人でも………」
「ああ……いや、1人か2人でいいさ」
いやいや、待て。そうじゃないだう俺。
寝起き頭と、毒が回ってるせいで今ひとつシャンとしない。
頭がボーッとして……というか、頭の考えに体の方がついて来ない。
「そうですか! ああ、よかった…♪ 旦那さまも、わたしと子作り…したかったんですね?
ああん…嬉しいです! …あぅ、ん…つはぁ……おなかが、キュゥってしちゃいました……
#9829;
こんな気持ち、はじめてです……やっぱり、わたしと旦那さまはぁ…、きっと、運命に結ばれた仲だったんですね…!!」
「そっかあ……よかったなぁ」
「はい…♪」
いやいやいや、マテコラおい俺。
違うだろう。いや、そこは違うだろう。
というかいい加減ツッコめよ、ツッコミ待ちだろう。
完全にコレ、明らかにツッコマないとダメな流れだろうコレ。
「……その『旦那さま』ってのは、何だ?」
よーし、言った。よく言った。
よくやったぞ、俺。快感に耐えてよく言った。感動した!
その調子で次、ビシバシと言っていこうか。
大丈夫、突っ込みどころは多すぎるほどある。
「旦那さまはぁ……わたしの旦那さまだから、旦那さまなんです
#9829;
ああ…旦那さま。マラを御拝見させて頂いても……?」
「そうかあ……ああ、うん、構わん」
おい、こら俺〜〜!!!
いや、アンタもアンタだ! 少しはその回答に疑問を持て!
そして嬉々として俺の帯を解いてるんじゃない!
何だその上気した頬と、僅かな躊躇いを見せる目は。
可愛いな、ちくしょう。チューしちゃうぞ!?
「ふぁ…すっごく濃いにおい……これだけで酔ってしまいそう…
#9829;
ねえ、旦那さま? 最初の一回は、手の中と、お口の中と、わたしの膣内と……どこで出すのがお好きでしょうか?
いえ、はい…わたしは旦那さ
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