あれから数十分でラキやジェミニは彼女たちと打ち解けていた。明るい人柄の彼らだからだ。
一方、他のメンバーはこの世界の常識に驚かされていた。
「魔法という自然にできるエネルギーが存在する世界・・・面白そうだね。レックスにその技術を付けられないかな?」
「今のままでも十分だと思います。ドクター」
「魔物なる種族か・・・しかも全て女性化しているとは・・・」
「・・・ふざけた常識だ」
特に印象強いのは魔物という種族。現に救出した彼女たちが魔物そのものだったので信じざる得ない状況だった。
ニールはデュラハンという首無し騎士で実際、頭を取って見せてくれたのだ。それを見てジェミニが「スゴ―イ」とはしゃぎ喜んでいた。
シャマはダークエルフで肌黒と耳が長いのが特徴の種族。魔法が使えるらしく、水玉をラキの顔面に当てた。ラキの場合、「タオル!誰かタオルを!」と慌てる。
「私たちから見れば、お前たちの存在が不思議に思える」
「そうそう、何もない空から何か降らしてあいつらを蹴散らしてくれたじゃない。あれは何なの?」
「あれは上空で偵察させた無人の飛行体からの攻撃だよ。当てたのはヘルファイヤと言われる筒みたいな爆弾。少し、外したから奴らに致命傷はないと思う」
「エスタ!もうちょっと間をあけて撃てよ!危ねえだろ!」
「君たちが遅いからそうなるのだよ」
「・・・覚えてろ」
「くすっ」
「ぷっはははは」
そうこうしている内に目的地に近づき、レックスが知らせる。
「目標地点まで1キロです」
「早いわね」
シャマがそういうとニールとともにフロントガラスに向かう。続いてラキ、ジェミニ、ブレードも向かう。
外には戦艦よりも広い都市が目の前にあった。奥のほうに城のような大きな建物がそびえ立っている。また、都市に向かって左に荒野、右に森林がある。
「ニール!左の荒野には何もないか?」
「そうだが・・・どうするつもりだ?」
「そこに艦を停泊させる。都市の前だと邪魔になるからな。レックス!操縦は頼むぞ」
「了解。方向転換します」
イーグルの指示で戦艦は荒野に向かって後退した。
「器用な船ね」
「さ―て、どうしようかな?」
「ドクター。艦の左側、市街地から複数の生命反応が多数接近」
レックスの言葉に反応し、ドクターは端末を操作。メインテーブルに戦艦の右側の映像が映る。どうやら防衛しにきた部隊らしく隊列を組み、こちらに向かって来る。ラキがそれを見て少し驚く。
「うひゃあ、多いな。こんなでかい物が来たらビックリするわな。お宅の知り合い?」
「ああ、都市の防衛部隊。私の部下たちでもある」
「ちょうど副隊長のベネラがいますよ」
シャマが指差した人物。それは巨大な斧を持つ牛のような女性だった。ジェミニが目を丸くして見る。
「牛?」
「カウ?」
「・・・それは乳牛だ」
さりげに突っ込むブレード。
「彼女はミノタウロスのベネラ。私の副官でもある」
「なるほど、ギリシャ神話の伝説上の生物まで存在するのか」
「凄いね、この世界。ますます興味が湧いてきた」
イーグルとドクターともに冷静に判断。
「とりあえず、彼女たちを送り届けた方がいいかな?」
「いや、それ以外にしないといけないこともあるぞ」
「へえ、どんなこと?隊長」
「ニール。この都市を統率している責任者に会いたいのだが、案内してもらえないか?」
「ああ、構わない。私も報告でお前たちのことを説明しなければならない。」
「よし、総員集合!」
イーグルの掛け声で集まる隊員たち。
「これから、この都市の責任者と面会しに向かう。目的は今後の判断のために情報提供及び彼女たちの送迎だ。艦には数人残らせる」
「じゃあ、僕は残る。代わりにレックスを連れて行って。彼に小型携帯端末を持たせるから、何時でも連絡し合えるよ」
「うむ、ではドクターは此処に。レックスと隊長である私が行こう。あと一人は・・・」
「自分!」
「ブレード」
「だぁ!」
勝手に滑り、倒れるラキ。ジェミニも不満な顔をしている。
「・・・了解」
「それじゃあ、格納デッキに向かうぞ。君たちもついて来てくれ」
「解った」
「ええ」
5人が司令室から退室する。
「・・・まあ、端末通信で此処からを見るしかないね」
「「そんな〜」」
「ナンセンス!」
<格納デッキ>
イーグルたちは三台のスカイチェイサーに跨る。そして、ニールはブレード、シャマはレックスの後ろに乗りこむ。
ニールが格納デッキに置かれた機動兵器に気付く。
「凄い・・・これは一体・・・」
「・・・『G.A.W』(ガウ)だ。作業や戦闘に使う兵器」
ブレードの言う兵器。 『G.A.W』 政府公認の装甲機動兵器。搭乗型の兵器で対大型生命体用に開発され
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