「ふん・・・剣に頼る餓鬼ならこの程度しか戯れぬか」
「ぐぅ・・・っ!」
傷だらけとなった少年を見下す女。レグアはもてる限りの力で相手に挑むも、全て返り討ちにされる。すでに少年の身体は立っているのがやっとだった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「・・・・・・ん?」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・
「「!?」」
突如、辺り一帯へ撒き散らされた魔力の重圧に女だけでなく、レグアも身体を震わせる。
「なっ、なんだ!? 何が起きた!?」
「この力は! もしや・・・っ!?」
女はリリムと青年がいる方向へ視線を向けた。その光景を見た瞬間、彼女は言葉を失う。
レンジェの身体がまばゆいピンク色の光を放っていた。
それはまるで光が彼女の身体を創り上げているかのようである。
髪と同じ純白の翼もその色に染まり、通常より一回り大きくなっていた。
足元にはピンク色に輝く五芒星の魔法陣が大きく展開されている。
瞳もピンク色の輝きを放ち、その視線は女に向けられていた。
(な、何故だ!?・・・何故、我が震えなければならない!・・・)
レンジェの姿を見るだけで、女は心と身体を震わせてしまう。まるで彼女を見て怯えるかのような震えである。しかし、女は闘気を奮い立たせ、対抗して怒気を撒き散らした。
「否・・・否、否! 否ぁぁぁ!!・・・我は震えてなどおらぬ!」
そう叫ぶ彼女は多数の触手を背中から出して、レンジェとレグアへ光線の雨を降らそうとする。
「くっ・・・」
ヒュン!
「!」
光線が放たれる前に、レンジェは一瞬で少年の元へ辿り着き、ピンク色に輝く四角錐型の障壁を展開した。その光の壁によって、二人は降らされた光の雨から守られる。
「大丈夫ですか?」
「お前・・・」
『小僧、よくやった』
「!?」
目の前で立つレンジェの口から、シンヤのような男の口調が響いた。
『後は任せろ。それとシンヤの身体を頼むぞ』
「か、身体って・・・一体・・・」
少年が問い掛けるも、レンジェは無言で女に目を向ける。障壁を維持しながら彼女は左手を上げ、上空にいくつもの炎の球を出現させた。それはやがて鷲のような形となり、女の触手に向かって飛んで行く。
ゴオオオオオ!!
「!?」
炎の鷲によって体当たりされた触手は次々と焼け焦げていった。
「この・・・集りおって!」
残る触手で撃ち落とそうとするが、複数による連携攻撃で触手のほとんどが焼かれてしまう。業を煮やした女は足もとに魔法陣を展開させて、辺りに衝撃波を撒き散らした。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
衝撃波によって、上空を飛び回っていた炎の鷲は消し飛んだ。障壁すら貫通する強力な衝撃。それを受けたレンジェは動じずに立っていた。女の表情に焦りが出始める。
「何故だ・・・何故平然としてられる!?」
「魂を震動させるあなたの衝撃・・・確かに障壁でも防げないですが・・・」
『今のレンジェの魂は俺が守っているからな』
「くっ・・・ならばぁぁぁ!」
女は刃髪を逆立てて飛び掛かった。対するレンジェは左手に魔刀が納められた鞘を手にする。彼女は居合の構えで女を待ち構えた。
シュピイイイイイイン!!
「!?」
飛び向かう女は回避のため、上空へ高く飛び上がる。レンジェは居合の斬撃を一瞬で2撃放った。ピンク色の残像を残す斬撃は×字に描かれ、避けきれなかった女の右側にある刃髪を切り落とす。
「小娘がああああああ!!」
相手の背後に周り、両手の鉤爪と残る刃髪で襲い掛かる女。レンジェは素早く回避して、刀と鞘で応戦する。突き刺そうとする刃髪は鞘で受け流し、鉤爪は剣で弾き返された。
「ええい! 小賢しい!!」
再度上空へ高く上がった女は、両手を切り裂くように振り被り、赤い三日月型の刃を多数飛ばす。その攻撃にレンジェが少し焦ってしまう。
『落ち着いて、斬り落とせ』
「は、はい!」
シンヤの呼び掛けで、冷静になった彼女は鞘を消失させ、魔刀を両手で構える。素早い太刀筋で彼女は飛来する刃を斬り壊した。
「小娘ぇぇぇ!!」
「!」
瞬時に接近した女はレンジェに掴み掛かり、相手を床へ押し倒す。押さえ付けられた状態で、剣すら振れないレンジェに女の刃髪が襲い掛かった。
「串刺しに・・・」
「・・・っ!」
ヒュン!
「!?」
突如、女の右側から何者かが剣で斬り掛かる。いち早く気付いた彼女は真ん中の刃髪で受け止め、襲撃者に目を向けた。
「なっ!?」
それは黄色に輝く女騎士で、身体以外に鎧や剣すらバチバチと電気が走っている。その風体に女は見覚えがあった。数日前、レンジェの屋敷外で操人にした女騎士と姿が似ている。
ヒュ
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