ザァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・
全てを打ち付ける雨音・・・私の耳へ響いてきます。何者にも容赦なく打ち付ける音。その音で私はベットから起き上がりました。
「激しいですわね・・・」
ゆっくりと粘液となった足を床につけて、洋服ダンスに向かいます。背中から生える触手で扉を開けて、ハンガーにかけたピンクのローブを一着取り出す。他のローブも全てピンク色。これ以外の色は一切無いです。
身体のあちこちから触手を出し、着ていたネグリジェを脱いで、ローブを着ます。全て触手で行う作業。変な横着だと私のお友達は言いますが、王女さまだから当然だと言い返しました。
ローブを着終えた後、軽い朝食を済まして、扉の横に掛けていた大きな傘を触手で取ります。扉を開けると、目の前には土砂降りの雨が目に入りました。時刻も夜明け直前で真っ暗。
「さあ、出かけましょうか・・・」
私の名はレリゼ。ピンクのプリンセスローブが目印の長い金髪の女。私の新たな手足である触手はローパーと言われる魔物の証。自在に操るそれは、まるで私の従者たちの如く、世話をしてくれる。でも、結局動かしているのは私の意思に過ぎませんが・・・。
「ふぅ・・・」
この雨降る街の中、夜目の効く視界で街の通りを歩き進みます。触手を出して、自然の恵みを体内に吸収。ローパーである私自身の粘液を保つため、水分を補給する必要があるからです。スライムほど必要ではないが、それでも生きるためには不可欠。
「あら?」
突然、土砂降りだった雨が勢いを衰えさせていく。ふと見ると、空にあった雨雲が通り過ぎようとしていました。
「今日も美味しい雨でしたわ♪」
夜が明けて、雨も止んだ街へ朝日が照らされる。私は最低限の支度をして自警団の本部へ足を運びました。おやっさんと言われている隊長さんの元へ行くと、そこには隊長と怒ったマミちゃんが話していました。
「な、なんで私とカルのことを聞いてくるのよ!」
「いいじゃねえか・・・それで、どこまでいってるんだ?」
「だから、教えるわけないでしょう!!」
なるほどね。二人の愛について聞いたから、マミちゃんが怒っちゃったのね。二人に近づいて行くと、マミちゃんが私に気付いて話し掛けてきました。
「聞いてよ、レリゼ!この変態親父が私とカルのプライベートを覗いてきたの!」
「こら、人を変態呼ばわりするな!」
「あらあら・・・駄目ですよ、隊長さん」
「嬢ちゃんもかよ!?」
折角、進展したのにそれを覗き見たら無粋ですよ。それに・・・。
「後ろの方がお待ちかねですよ?」
「へ?後ろ・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
彼の後ろにいたのは奥さんであるサイクロプス。健気な一つ目で隊長さんを見つめていますね。
「お、おまえ!?」
「・・・浮気ですか?」
「ち、違う!そうじゃないんだ!これはだな・・・ってどこへ!?」
「私の愛が足りなかったようです。あちらでもっと愛を・・・」
「ちょ、こんな朝から!?」
結局、奥さんに嫉妬されて連れていかれましたね。マミさんが私を見て話しかけてきました。
「レリゼ、今日は買い物でもしようか?」
「そうしましょう。ちょうど洋服店にも用事がありますから」
「また、例のローブを作ったの?」
「いえ、お気に入りのものが破けてしまったので、その修繕をお願いしたのですよ」
「ああ、そういえばあの時・・・」
以前、奴隷商人の捕縛の際に少しだけ腕の立つ用心棒がいたので、その戦闘中に私の服が破けてしまいました。修繕には数か月掛かると言われ、それまで別の服で我慢することに。
「なんでお気に入りの服で戦いに行ったのよ?」
「それなりに動きやすい服ですよ?」
「どれも一緒に見えるんだけど・・・」
マミちゃんの髪の蛇たちも首を傾げています。親友と言えど、可愛いですね。
「ねえ、レリゼ」
「何ですか?」
「カルに合う服を一緒に探してくれる?」
「いいですよ〜♪」
やっぱりマミちゃんは可愛いです。年下であるあの子をこんなに慕っているのですから。私の行き付けの洋服店へ彼女と一緒に向かいました。店主のアラクネさんは綺麗な方で作る服のデザインも素晴らしいです。
「いらっしゃい、あら、今日はマミちゃんも一緒?」
「こ、こんにちは」
「こんにちは、依頼した服を受け取りに来ました」
「あ、そうだったわね。え―と・・・」
店主はそう言って、後ろの棚に置いてある包みを一つ取り出し、私に差し出しました。
「上等なものだから、もう破かないでね」
「善処します♪」
「はぁ・・・それで、マミちゃんは何の御用で?」
「カルに合う服を探しに・・・」
「それならこの棚に子どもサイズの服があるわ。じっくり見ていってね」
「マミち
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