薄暗い廊下で足音を立てずに進む二つの人影。城の内部に潜入したイーグルとニールは、レックスと別れて行動を開始する。二手に別れたことをニールは不思議に思い、イーグルに尋ねた。
「別れて探す必要があるのか?」
「捕らえられた以上、彼らの武装は騎士たちに押収されたはず。なら、その二人と武装を探さなければならない。現に、レックスは彼らが武装解除されたことを確認している」
「なっ、いつの間に・・・」
「通信機が使えない状態になっている。恐らく武器と一緒に取り上げられているのだろう。何としても奪取せねば・・・」
「それ程までして、取り返す必要があるのか?」
「当然だ。下手をすれば、あの武器一つでこの世界が狂ってしまう」
「!」
彼の言った言葉を聞いて、ニールは耳を疑ったが、彼の真剣な眼差しを見て言葉を失う。
「元々、この世界では我々は異質な存在。その上、此処では存在するはずのない技術で出来た道具を手にしている。それが何を意味するのか・・・君にも解るはずだ」
「まさか・・・」
「彼らが未知の文明の技術を手にすれば、そこからその世界の歴史を狂わすきっかけとなる。しかも武器、戦争を起こしている者にとって、喉から手が出るほど欲しい物。そして、それが広まれば、多くの犠牲が出てしまう」
「そんな・・・はっ!」
彼女は此処で彼らの使った武器の数々を思い返す。そう、どれも大勢の敵や巨大な敵を倒してしまうほどの技術。彼ら自身も尋常ではないが、彼らの持つ武器はもっと尋常ではなかった。そして、その武器を扱う彼ら自身も、そのことを心得ていた。
「だからこそ、彼らも大事だが・・・この世界を傷付ける要因となるあの武器も放置する訳にはいかない。やむを得ない場合は技術を知った者ごと処分する」
「!」
「酷なことだが・・・以前、この世界に来て間もない頃、ドクターとその件ついて話し合って決めた」
「そこまでして・・・お前たちは・・・!」
「しっ・・・」
二人がある曲がり角に差し掛かった時、左横の通路の方で物音が響く。どうやらその曲がった先に部屋があるらしく、ドアが閉まる音がしたのだ。その後に何者かの足音がこちらに向かってやって来る。
(仕方あるまい・・・)
彼は曲がり角の手前で壁に張り付き、やって来る何者かを待ち構える。ニールも彼の後ろの方で、同じく壁に張り付いた。何者かがやって来た瞬間、イーグルは素早く相手の背後に回り、右手で相手の口を押さえる。
「むぐっ!?」
それと同時に、『RAY.S.R』を左手で取り出し、展開させた麻痺性の光学刃を相手の足へ当てた。
バチィィ!!
「ぐぉもっ!」
耐え難い電流を受けた相手は力尽きるように倒れていく。イーグルは展開させた光学刃を消失させ、脇腹に仕舞う。一部始終見ていたニールが倒した相手へ近づく。気絶した相手は男で、修道士のような恰好をしていた。
「流石、竜の隊長だな」
「奇襲を得意とした部隊だからな。さっきの部屋は他の者がいるかもしれない。そこら辺に寝かせておこう」
「私がする」
「周りを見ておく。やってくれ」
彼は曲がり角の向こうを見張り、ニールがその間に気絶した男を壁際へ寝かせる。
「行くぞ」
「ああ」
再び、二人は暗闇の通路を忍び足で歩き始めた。
<同時刻 戦艦クリプト G.A.W格納デッキ>
デッキ内では3体の機動兵器が音を立てて動き出す。それを見守るかのように、3人の女性たちは少し離れて眺めていた。
一体は鳥の足のような逆関節の足で歩き、左右に付いているジェットエンジンを調整し始める。搭乗者はドクターエスタ。コックピットを剥き出しで機体を操作していた。
「前回と同様でプラズマカノンとガトリングでいけるでしょう」
「兄上〜ワシも一緒に乗るのじゃ♪」
「はぁ〜仕方ないな・・・どれにも触らないでね」
機体を屈ませて乗りやすくすると、少女は右横を向いて少年の膝に座る。
「こんなものまで所有しているとは・・・」
「しっかし、馬鹿でかい乗り物だな・・・」
リオとケイが見ているのは、緑色の装甲を持つ2体の人型兵器。こちらもコックピットを剥き出しで乗っているのはジェミニ。背中のジェットエンジンを鳴らしながら、各武装の確認を行う。
「えっと・・・動かすの久々だな。これかな?」
「ラート、そこ違うんじゃない?」
「あっ!」
ラートの乗った機体の右腕に付いたバックラーのような物体から、二枚の刃が飛び出し、180度回転して合体。一瞬にして大き目の実体剣が出現する。これがこの機体が誇る高出力の光学刃を纏う白兵戦専用の近接武器である。
「凄いな、剣まで装備しているのか」
「おもしれえ、今度アタイと戦わせろ!」
「それはダメだよ!」
「対大型生物用の兵器だから、対人戦では使
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