思わぬ追撃者

<戦艦クリプト 司令室>

 救出に成功した一行は子ども達を司令室の椅子に座らせ、全員にコーンスープを配った。かなり疲労していたため、あっという間に飲み干してしまう。

「何はともあれ、皆無事でこちらも大きな損害もなく作戦は成功。喜ばしい事だ」
「すまぬのぉ。ワシらの幼子たちを救いだしてくれて」
「僕達も予想以上の戦闘データも取れたし、結果は上々」
「兄上もカッコよかったのじゃ!でも下賎な輩を吹き飛ばせなかったのは心残りじゃが・・・」
「さっきから僕のことを兄上と言うの中止してくれる?慣れない呼称なのだけど・・・」
「いけずじゃ、兄上♪」
「もういいや・・・」
「ふふふ、気に入られたようだな、ドクター」

 不機嫌になるエスタ。イーグルはそんな彼を見て頬笑みを浮かべる。

 一方、ブレードは自身で左肩の治療をしていたが、途中でニールが包帯を奪って彼の傷を巻き始めた。

「私を庇ってくれたのだ。せめてお礼はしたい」
「・・・勘違いするな。子どもを守ろうとしたら、間にお前が居た。お前を庇った訳じゃない」
「ふふ、そうか・・・」
「鎮痛剤を持ってきました」
「・・・ああ、すまない」

 レックスの手渡してきた簡易注射を左手に刺すブレード。
 ラキは他の子ども達と話していた。

「凄いな・・・これホントに足?蛇にクモって」
「そうだよ!あたち、ラミアのアダラ!」
「わ、私、アラクネのリ、リーデです」
「そんで・・・君らは普通の子で」
「おいらはハン!」
「エビータです。よろしく」
「なかなか可愛い子ちゃんが多いな」
「ほほう、おぬしやはり・・・」
「その先を言うな―!!」

 またもよからぬ言葉をレシィに言われかけ、慌てて止めるラキ。
 ジェミニは角の生えた少女に懐かれていた。

「私、ゴブリンのミーニ!お兄ちゃん達、さっきは助けてくれてありがとう!」
「「どういたしまして」」
「さっきはありがとう。インプでこの子の姉、サリナよ。あなたたち双子?」
「その通り!そして、兄はこの・・・」
「俺!」
「違う!レート!俺が兄だ!」
「こっちが兄だ!ラート!」
「「ぐぬううううう!!」」
「あはははは、お兄ちゃん達おもしろい♪」
「仲がいいのか悪いのか微妙ね・・・」

 兄の特権をめぐり、いがみ合う二人。ほのぼのとした彼らを見てイーグルが話し始める。

「さて、あとは子ども達を送り届けるだけだな。レックス、航行と追手は?」
「今のところ順調に東に向けて航行中。後方に生体反応はありません」
「この戦艦に追いつける奴はまずいないよ」
「やれやれ、一時はワシも焦ったわい」
「安心して休んでくれ。1時間もすれば・・・」

ビィィィィィィィ!!ビィィィィィィィ!!ビィィィィィィィ!!

 突然、艦内に警告音が鳴り響き、全員が驚く。ドクターがレックスに尋ねた。

「レックス!」
「後方より巨大な生体反応を確認!このままでは衝突します!」
「左に旋回!緊急回避!皆、何かに掴まって!」

 ドクターの指示で全員が周りに掴まり、船体が大きく揺れる。

「おおとぉぉ!?」
「な、なんじゃああ!?」
「きゃああ!?」
「ミーニ!こっちに!」
「「なあああ!?」」
「・・・くっ!?」
「皆、手を離すな!!」
「「「「きゃああああ!?」」」」
「しっかり掴まれ!ドクター!敵か!?」

 揺れが治まり、子ども達以外が立ち上がる。

「なんだ!?牛でも突っ込んできたのか?」
「・・・ラキ、そんなわけないだろう」
「エネルギー反応感知!対象は異形者!」
「「うそぉ!?」」
「!? レックス!モニターに映せ!」
「了解」

 メインテーブルに外の映像が映し出される。そこに映るは砂漠を転がるタイヤのような巨大な物体。それはいきなり平べったい形に変わり、幾多の足により高速で移動する。顔は目が確認できないほどの大口で埋まっている。

「なんじゃ!?あのダンゴムシのようなマガイモノは!?」
「ドクター!これはクラスGか!?」
「そうだね。しかも初遭遇のタイプだよ!」
「新種!?休ませろよ!」
「・・・ちっ!」

 予想外の敵襲来に困惑する総員。そんな中、イーグルとドクターがお互い見て相槌を打つ。

「ドラグーン隊!出撃準備!」
「「「「!?」」」」
「都市まで誘導させる訳にはいかない!ラキ!『ORNITHO』を使え!」
「了解!」
「ジェミニ!ブレード!私とともに甲板の砲台で迎撃するぞ。ドクター、APカノン装備の砲台の準備を!」
「スタンバイしとくよ」
「「了解!」」
「・・・俺は」
「傷が完治してから『G.A.W』の搭乗を認める。異論は?」
「・・・了解」
「ドクター、レックスと一緒にここは任せる。それと・・・」
「はい?」
「『CXULUB』(クシュルーブ)の用意してくれ」
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