少しきつめの日差しが降り注ぐ中、一組の男女が歩いている。
陽炎が道路の上に現れているにも拘わらず深い青をした肌を日で焼けて小麦色になった腕に絡ませ暑さなどお構いなしのようだ。
「あいつは青鬼の良さがわかっていない!」
しかもなぜかご立腹のらしい。
「私の種族をべた褒めしてくれるのは嬉しいけど、押し付けはよくないわよ。」
宥めるように彼女は言うが、男の熱弁は止まらず。
「クールビューティーだぞ?お姉さん属性だぞ?気立ても良し、姉御肌!人を立てることも上手いし、大和撫子!和服洋服どれも似合うし、胸も大きく太股もしゃぶりつきたくなるほどに美しい!苛めても良し、苛められても良し!酒の弱い一面も保護欲をかき立ててくれる!そんな人類の宝ともいえる完璧な妻のお前と同じ青鬼を紹介してやろうというのに!『あの・・・、鬼はいいんでモフモフの狐を紹介してくれる人いませんか?』だと!」
怒りは頂点に達しそうになっていたが、彼の妻である彼女は慣れたものだと夫の顔を掴み、自分の方へと振り向かせると唇で口を塞ぎ。
「んっ・・・。ふぅ・・・。」
舌を絡ませて濃厚なキスをして気を静めていく。
唾液を交換する音と、舌が絡み水が滴る音が辺りに響いていき。
「んんぅ・・・。んっ。んっ。」
最初はされるがままだった彼も、生成される液を啜り口内の肉へと舌を這わせて彼女と共に一時の快楽へと身を浸して気分を落ち着かせていった。
しかし、ここは天下の往来ど真ん中。
いくら世が魔物娘達に染まり上げ桃色になっていたとしても弁えはあるというもので。
「朱色さん。真昼間から何乳繰りあってるのさ。携帯で呼ばれたから来てみれば、こんな姿で人を待ってるなんて・・・。」
一人の男が呆れ口調で、鬼と男の接吻に割り込んで分別を正そうとする。だが・・・。
「いいじゃないjackry。彼らを見習って私達もしましょうよ。」
「そうよ。誰かに見られながらするっていうのも興奮していいと思うわ。」
彼の傍にいた妖狐と稲荷はどこかノリ気のようで、口を窄めて顔を近づけて頬に口付けをしていく。
「ちょっと待ってくれ。往来でする趣味はないから顔を離して、後でホテルでたっぷりしてあげるから。なっ?なっ?それとそこはいつまでキスしてる気だ!用事があるんだろ!そんなに乳繰り合ってるなら帰るぞ!」
その言葉に朱色と呼ばれた男は妻の青鬼と離れてピシッと気をつけの姿勢となった。
「正直。すまんかった!反省はしてるが・・・、後悔はしてない!!」
「なに、キリッ!って効果付きそうな台詞と表情を出してるんだよ!本当に帰るぞ!こっちもしっぽりしたいんだよ!」
「悪い悪い。喫茶店で冷たいもの奢るから勘弁してください。頼れるのがjackry殿だけなんだ。」
「だったら最初から真面目にしてろって・・・。」
もはや漫才である。
こんな遣り取りをした後、彼らは近場にある喫茶店へと足を運んでいく。
炎天下の中歩いた身体には汗が染み込み、その水分はエアコンから放たれる冷気で冷やされて肌寒くなるほどの納涼を与えてくれた。
「ふぃーっ。生き返る・・・。」
「本当。獣系魔物娘には辛い季節になっていくわね。」
「本当本当。」
モフモフを持ってる故か、籠もった熱が中々抜けきらず。
尾を軽く叩いたり持参した扇で胸元を扇ぐ等して涼しさを求めていく狐二匹。
無論、その胸元は番であるjackryへ見せ付けるように開かれ彼はそこを凝視している。
「で・・・。」
目線を戻しながら目の前に置かれたお冷に手を伸ばす。
水を少しばかり口に含みながらjackryは朱色に尋ねた。
「何の用件なんだ?」
「えーっと、兄者メロメロティラミス半ホールとおにゃのこミルクパフェ一つ。後は彼女には珈琲のブラック、私は紅茶で。そっちは何にする?」
「私はおにゃのこストロベリーパフェで・・・。」
「私はおにゃのこチョコパフェ!jackryはどうするの?」
「俺はそうだな。黄金ソーダ水で・・・、って違うだろ!用件だ!用件!」
お品書きを長机に叩き付け、少しのってしまった自分に腹を立てながらも話を本筋に戻そうと声を荒げるが。
「ひゃう!?」
ウェイトレスの魔女がびっくりし、衝撃でグラスの中にあった冷や水がこぼれて妖狐、稲荷、朱色の羽の服へと飛び散ると服を濡らし。
「おう!?冷たいじゃないか・・・。」
「ひゃっい!?やだ濡れちゃった・・・。」
「きゃん!?もう、こんなプレイがしたいの?」
「す、済まん・・・。」
「いや、別に構わないんだが。こっちは外に出ればすぐ乾くから・・・。だが・・・。」
朱色の視線がjac
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