第十三章 生を渇望する者

 「第三団と第六団を追加で出撃!現在交戦中の第四団を後退させて住人の避難へ当てろ!」

 「申し上げます!北部からも敵を確認!数は三十ということです!」

 「更に申し上げます!第四団!半壊!半壊!」

 目まぐるしく動く戦況、初め二十人ほどで攻めてきた盗賊達は夜間警備をしていた第四団で、くいとめられていた。
 だが、次の指示が通る前に団長が戦局を見誤ったのだろ、団隊の半壊した知らせが入ってくる。

 「ええい!第五団は第四団の後退援護をし、共に後退後一緒に住人の避難へ当たれ!第一団と第二団は北部からの敵を迎え撃つぞ!」

 『おおおおぉぉぉ!』

 これでいい。
 勇ましい声と共に第三団、第五団、第六団の騎士達が出撃していく。
 指揮高いまま盗賊達を鎮圧すれば全てが終わる。
 そう思い、ついで出撃する自身の第一団と共に出る第二団へ激を飛ばす。

 「相手は村に教団の騎士に喧嘩を売った愚か者たちだ!第四団で散った者の無念を晴らすため!共に闘い!平和を!命を!守り抜くぞ!」

 『おおおおぉぉぉ!』

 こちらもまた指揮が高い。
 皆が誇りを持ち、平和を愛している証拠だ。
 このまま出撃を、と思っていると伝令の騎士が入ってきた。

 「報告します!先ほど出陣した第五団!第四団の後退援護に成功!このまま避難指示へ移るそうです。また、西部に敵増援!数は十だそうです。」

 「次いで報告します!住人は村の東部へと避難を進めていますが、東部の街道に見慣れぬ明かりを確認しました!」

 「ちっ!東部にも人を回した方がよさそうだな・・・。だが、これ以上分割するわけには・・・。しょうがない!第四団は誰が残っている?」

 「副団長と騎士が三名です!」

 やはり、団長はやられていたか。
 苦肉だが、これしか策はないようだな。

 「そうか!第一団と第二団の騎士達よ!指示を変えるぞ!双方より副団長は選抜した騎士二名をつれて第四団と合流し住人より先の東部へ向かえ!そこで人々の盾となり剣となれ!また第五団へ通達!住人の避難が終わり次第、北部へと向かう様にしろと!」

 「了解!」

 「盗賊達はすぐそこまで来ている!早急に選抜!迅速に出陣だ!」

 『おおおおぉぉぉ!』

 なんとか一段落だ。
 片付くまでこれ以上ややこしくなってくれないで欲しいと思いつつ出撃をし。
 団隊を率いて、目的の場所である北部街道へと進軍していくのだった。
 西部や南部と違い東部と北部は石畳で舗装された街道。
 その上を金属と石がぶつかりあう音が鳴り響き、敵が確認された場所へと進んでいく。
 夜の闇で互いに姿は見えず、星明かりだけが動く影を教えてくれる。
 相手との距離を測りながら全員が抜刀すると、鋼が抜ける音に応えるように火球がこちらへと飛んできた。

 「来たか・・、構え!」

 だが、事前に聞いていた報告により。

 「展開!」

 敵の正体はわかっている。
 ルーンを刻み込み、対魔法防御を上げていた盾で。

 「反射!」

 放たれた火球はあちらへと返っていくが、影は身を翻して反射されたものを避け。
 着弾点には炎が舞い降りて火溜まりが出来る。
 それは明かりとなって闇を照らし影から姿を浮かび上がらせた。

 「お前らは・・・。」

 「ルーンを刻んだ盾とは、教団の連中は物持ちがいいんだな。」

 目に映し出された敵は手配書にあった¨消えない炎¨の連中で間違いないだろう。
 そして、今喋っているのは盗賊団二番格の男。
 「住人の平和を脅かすものと戦うのならこれぐらい当然だろう。」

 「気に入らないねぇ。その言い方・・・。いくぞお前達!身ぐるみ剥いで皆殺しだ!」

 『うおおぉぉ!』

 「来たな!みな、この一線守り通すぞ!」

 『おおおぉぉ!』

 双方の猛び声が響き合い、地面と鉄がぶつかり合う音と地を駆け抜ける音が風に運ばれていく。
 あちらの数が三十に対してこちらの数は十四。
 数の面で圧倒的に不利なのは仕方ない。
 戦闘に入ると、一対二や一対三で当たらなければならず第五団の救援がくるまで部隊が持つかが心配なところだ。
 戦術的に相手の数より多くの数を用いて戦うという兵法の初歩すら外して戦っているのだから。
 刃が混じり合う音、鉄と鉄がぶつかり合う音が響き合う中で、私は四人の男の相手をしている。
 中には突撃命令を出した、男。
 二番格のあいつも混じっていた。

 「俺達四人相手に引けを取らないとは、やるじゃないか。」

 「ハァ!ハァ!褒められても嬉しくないな。」

 「つれないねぇ・・・。お前達!相手は息絶え絶えだ!一気にたたむぞ!」

 『おう!』

 流石に一人で捌いていくのはしんどく、体力が削られていく。
 こんな状態を見逃す事もせず、有利と踏ん
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