*諸注意*
*第十二章には生々しい表現や気分を害する表現があります。*
*読まれる際は注意してください。*
*また、図鑑世界にはない知識と技術がでてきますが。*
*エルフィール側のものとしてみてください。*
*以上、朱色の羽でした。*
沈黙と風に揺れる旗だけがその場にはあった。
縋る思いで辿り着いた村で俺達を迎えてくれたのは、焼け焦げ崩れかけた家々と琴切れ地面にうつ伏せているいる人々。
炭化した木々の臭いと酸化してく鉄の臭い。
そして、焼かれ腐敗していく肉の臭いが鼻を突き。
慣れている俺でさえも一瞬戻しそうになるほどだ。
他の四人は口に手を当て、込み上げてくるものを必死に抑えている。
気を失っているユニコーンの娘でさえ、咳込むほど臭いが酷い。
「な、何なのよ。これは・・・。」
「ひ、酷い有様だな。」
「ちょっと待ってろ。村の状況を調べるついでに臭いを和らげる。」
八方へと風を流し、臭いを足より地面に限りなく近くまで留めて鼻に届かないように調整して辺りの様子を調べていく。
「あっ、少し楽になった。」
「便利だな。その力・・・。」
「応用は効くからな。っと、とりあえず生存者はいるようだ。そこで話を聞こう。家の一つでも借りられれば見つけものだろうな。」
「そうだな。」
「今更引き返せないものね。」
流れを調整しつつ、生存者のいる方へと俺達は向かっていった。
野晒しとなった亡骸を踏まないように進んでいく中で感じる違和感。
それは単純なもので、倒れているものは男性のみ。
老人から大人、青白い肌の見なれぬ人種。
後は鎧を纏ったものばかりで女性や子供のものとみられる亡骸は一つもない。
避難をして村の中にはいないのかと思って歩いていると、大きな建物が見えてきた。
「ここだな。生存者がいるのは。」
「病院・・・、かしら?」
「いや、恐らく大人数収容できる施設がここしかなかったのだろう。一時的な野戦病院といったところだな。」
「詳しいのだな、スパスィは。」
「元憲兵署で働いていたからな。戦闘や野外戦の経験があるだけさ。」
「なるほど。」
ミラとスパスィの会話を耳に入れながら建物へと近づき、入口に着くと外にも聞こえるほどの苦悶の声が漂ってくるのが分かる。
痛い、苦しい、死にたい、熱い、疼く・・・。
と、途切れることがない。
「話せるものは誰もいないのか?」
皆を外に待たせて一歩中へと入り話が出来る者はと探すが、いるのは寝床や椅子を並べた上に寝かせられている怪我人のみ。
これでは情報を得ることはできないなと、出ていこうとすると。
刃を抜く音と、怒声が響いてくる。
悪い予感がした為に急いで戻ると、そこには教団の紋章が刻まれた盾と剣をもった男達とルヴィニ達を庇うように対峙しているスパスィとミラの姿があった。
「卑しい魔物め!疲弊した村を襲うなど神も恐れぬ奴!」
「待て!話を聞け!お前達を襲いに来たわけではない!」
「そんな言葉に騙されるか!」
傷ついた身体に鞭を打ち、威嚇をする男達。
止めに入らなければと、彼女達の前に躍り出ていく。
「待ってもらおうか。」
「誰だお前は!」
「旦那様!」
「エルフィール!」
「この娘達のまとめ役だ。双方とも武器を収めてもらいたい。」
俺の言葉に後ろの二人は剣と弓を収めるが、男達はしまう気配がない。
聞く耳をもたないとはどこぞで会った聖騎士と同じ部類の奴か。
「魔に魅入られた者の言葉などを聞けるか!この身果てようとも魔には屈しないぞ!」
「そうだ!」
「満身創痍で相手の力量も分からない状態なのに無理はするな。傷に障るぞ。」
「うるさい!」
今にも斬りかかってくる勢いがこちらにひしひしと伝わってきた。
一度組み伏せないと話を聞いてくれないか。
そう思っていると。
「待つんだ・・・。お前達・・・。」
建物の中から全身に火傷を負い、包帯に巻かれた男の姿を現し。
壁を手摺りに息絶え絶えであちらへ顔を向けている。
「エニモ様!」
「あ、争っては駄目だ・・・。魔物を引き連れた者・・・。な、何が望みだ・・・?ここには食糧もなく・・・。傷つき、死にかけたものしかいない・・・。こんな所を襲っても得はないぞ・・・。」
こいつなら話は通じるかもしてないな。
「エニモさん。俺達は食料を奪いに来たわけでもなければ。村人を襲いにきたわけでもない。病人を見つけたから、雨風を凌げる場所で休ませたいだけなんだ。」
「嘘をつけ!我々を騙して襲うつもりだろう!」
「外野は黙ってろ!今はこの人と話してるんだ!」
怒
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