「ああぁ・・・。あっ・・・、ひぐぅ・・・!ああああっ!?」
絶頂する声と共に、光の柱が幽霊娘を包み。
そのまま光の中で姿を霧散させて溶けていく。
「成仏したか・・・。」
片手に組んだ印を解き、自身に張った結界と結界から生えて今もまだ蠢いている触手を消す。
「さっきので最後の一人だったのか?」
周囲の気配を探りながら、誰もいない事を確認して最終警戒を解く。
すると、足元が少しひやりとして何かに掴まれた感触に襲われる。
「・・・殿。お慕い・・・、てお・・・、ま・・・。」
「不覚!だが・・・!」
もう1度片手に印を結び、結界を張る為に詠唱を始める。
「だめで・・・、よ・・・。・・・殿、その様な・・・、をしては・・・。」
段々と幽霊娘の声が鮮明に聞こえてくると次の刹那。
某の頭の中に何かが侵入してきた。
それは幽霊娘と接吻をしている光景・・・。
某とこの娘が口を密着させて塞ぎ合い、舌を絡まさせ合っている。
「むごっ・・・。」
「んぅ・・・。ん・・・、ん・・・、ちゅぱぁ・・・。」
貪るという言葉が適切だろう。娘の舌が歯茎や口の裏、某の舌を強く愛撫しながら舐めまわしていく。
それと同時に涎も口の中に送られてくる。
最初は味のないただの液体だったが次第に甘みを帯びていった。
「・・・。・・・。」
頭の中で繰り広げられている光景をなんとか振り払いながら片手の印を崩さないように耐えるが、思考は甘美な艶事で拡がっていき刺激に流れそうになる。
必死にそれを抑えて詠唱を続け片手の印を組んでいく。
「あら・・・?片手を動かして下さるなら、私の蜜壷の中で動かしてくださいませ・・・。それとも、この堅固と化した魔羅を私が慰めましょうか?」
艶事は加速していき、娘は某の手首と魔羅に手を添えてきた。
「それは・・・、遠慮願う!」
全ての術式を組み終えて、印を結んだ手から球体状の結界が拡がり身体を包むと、某の頭の中にいた娘と共に身体の中から何かが押し剥がれていく。
「きゃっ!?鳥丸殿、何をなさるんですか・・・。いいところでしたのに、もはやお互いを縛るものはないでしょう?ですから楽しめばよかったですのよ?」
宙に浮かび、こちらが拒否したことに対して恨めしそうな目で見詰めてくる。
「やはり、飛鳥姫でしたか・・・。そのような姿になられるとは・・・、しかし輪廻を止めるわけにはいきませぬ!御覚悟を・・・。」
焼け焦げた床板、崩れ落ちた土壁、散乱した瓦と茣蓙に横たわる亡骸。
落ちた城の一角で某と姫は再会した。
ジパングの都の一つに火の京と呼ばれる都がある。
近隣の山からは良質の鉱石が採れ、鍛冶を生業としている者も多く。
また土地は肥沃で治めている者も良主と呼ばれ善政を敷いている所だ。
その中の小さな神社、さまざまな神を祀っている家で某は育った。
家の生業は浄化師というものやっているらしい。
世に留まる魂や抜け殻となっても彷徨い歩く器を浄化し、輪廻の川に還すのだ!と師は話している。
某はその浄化師の跡取りにそえられる為に、この家に迎えられた。
・・・、某は捨て子だったらしい。そう聞かされたのは元服の時、浄化師としての生業で飯が食える様に、次期鳳凰院家の当主と認める印を授かった時にだ。
更に真実を受け入れる準備が整わぬうちに領主のもとへと次期当主の顔見せという行事に連れていかれた。
そこで出会ったのが飛鳥姫だ。
初め某は主従の関係を結ぶとばかり思っていたのだが、姫は堅苦しいのは嫌いだと言い。
咎める役のはずである彼女の父親の殿様も笑いながら娘の婿にならんかと聞いてくる。
それを聞き慌てる某を見て、殿様も姫もえらく楽しそうだった。
城から帰った某は、すでに自分が捨て子であった事や出生の事など忘れており、それは些細なことなのだと結論付いてしまったからだ。
あの二人から受けた衝撃が凄まじく、飲まれてしまったからなとどは口が裂けても言えないがな・・・。
顔見せが終わってから、浄化師としての生業を行い。四季が変わるごとに城に顔を出す。
春には近隣諸国の政状態を報告し、夏には浄化師の行事である鎮魂の儀に領主親子は参加され、秋には自国の政状態を見て回る。
冬は廻る国を報告するために城へ顔を出した。
そんな一年が五度ほど続いた六年目の春、飛鳥姫に見合いの話が舞い込んできたのだ。
相手は近隣の国、海辺の土地を多く治めている殿様の息子らしい。
家臣は悪い話ではないと助言をしていたが、その国からはあまりいい噂をきいておらす。
殿様も、そのことを重々承知していた。見合いの話は先延ばしになり季節は流れて夏となる。
年一の土地を彷徨う魂
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