「…」
男は山を行く
雪の降り積もる山を行く
「へぇ、こんなところで人に会えるたぁ思わなかった」
シャクリ、シャクリ、踏みしめ途端に溶ける雪
男に立ちはだかるように、燃え盛るものが躍り出た
「一つ勝負を願えないかい?このどうしようも無い戦い狂いとさ」
「…すまないが、断らせていただこう」
「冷たいことを言いなさんなよ兄さん…こんなしみったれた天気みたいに冷たいハートじゃないんだろう?目が、そう言ってる」
業と燃え上がる尾をブンと振り回し、身の丈ほどもある鉄塊のような大剣を地に叩きつけた
「…火が苦手なんだ、この小さい体に似て小心者のチキンハートでな」
「焼き鳥ならこんな冷たいところにはいないさ」
身長160にも満たない毛皮の防寒具を纏った男は、古びた鞘から氷のように冷えた剣を引き抜き吹き付ける雪を背にサラマンダーを睨みつけた
「俺が勝てたらついてきてくれ、雪山は寒くてな」
「乗った!さ、はじめと行こうか!」
すっかり水たまりになった足元を蹴り、サラマンダーは男に突進した
「wunderbar…あったかくていいねぇ!」
「へぇ、姉ちゃんは国からきたのかー」
「うん、北の方のオストガーから」
「わぁ!素敵なリリス様が収めてる国ね!」
「どおりで!姉ちゃんかっこいいもんな!すっげー剣も持ってるし!!」
「あぁ、自慢の剣さ」
森を行く三人、先頭はロイドとフラン、後ろにエミリエ。
後ろを向きながらも危な気なく歩く二人は引き抜かれた剣に釘付けになった。
「災いを退ける白金の装飾を施した星鋼(ステラメタル)の突剣さ」
「おとぎ話の剣みたいだー!」
「綺麗…」
星鋼、宇宙から飛来した多大な魔力を含む物質。
白い光を自ら発する姿、空からきたことから星の名を与えられた希少なものだ。
この地方で発見されることが多く、発見者のヴァンパイアセラス曰く
「敬虔な信者の信仰心より折れにくく、一騎当千の武士の闘志より歪まず忌々しい太陽よりも素敵な満月よりも、幻想的な星空よりも輝く、でもその輝きと価値は私には及ばない」
だそうで…
「俺知ってる!この剣はぱんつぁーしゅてっひゃーっていうんだぜ!」
「ぱ、ぱんつ?」
「ロイドくんは物知りなんだな…」
「先生がなんでも教えてくれるから!…あ、ついたよ!」
森の奥に見えた其れなりに大きい家をみるや、子供二人はかけ出した
「…教会の案内人、ね…少しやんちゃ過ぎやしないかい?」
「先生ただいま!」
「はい、お帰りなさい二人とも」
窓のそばの揺り椅子で本を読んでいたノーフェイスはゆっくりと立ち上がり二人を迎えた
「お客さんだよ!かっこいーたびびとさん!」
「フラン、あまり騒がない…お客さん?」
開きっぱなしのドアに仮面越しの目線をくれると、赤い衣装の旅人がゆったりと近づいてくるのが見えた
「おやおや、お茶を用意しなくてはいけませんね」
「人探しで旅を…大変ですね、えー…」
「エミリエです。エミリエ・ヴィクトリカ」
「いい名前ですね…二人から聞いたかもしれませんが…ノーフェイスです。」
「とあるつてで聞きました。知らないことはない賢人がいると。私の探し人も貴方なら知っているかもしれない」
「名前をきかぬことには何とも、どんな方なのですか?」
紅茶を一口含み、エミリエは愛おしげに、寂しげに、その名を口にした
「彼の名は…ネロ。ネロ・オルニティア」
「らぁっ!」
攻城鎚の如くたたき降ろされた大剣を男はひらりと躱す。叩きつけられた地面が大きくえぐれ雪煙が舞う。
「シッ」
男は黒い剣を無駄のない基本に忠実な、教科書に乗るような突きをサラマンダーに繰り出す!
「おっと」
それもひらりとかわされる。彼女にとっては大剣は重しではなくただ振り回しやすいものを選んだにすぎないようだ
互いに、力量は測った
「…っせい!」
横薙ぎ、この長さだとリーチ外に出るのも一苦労
「っ」
バックステップ、続けざまに跳躍
剣を振り切ったサラマンダーの懐に入った
「end?」
「まだまださぁ!」
真下からの膝蹴り!至近距離の対応は剣ではなく格闘戦か!
「ぬおっ!?」
瞬時に身を剃らせ、回避、距離を取る。なるほど隙がない
「ちぇー、よけられたかー」
「wunderbar…滾るね、なんていい女なんだ」
「ヤル気になってくれたかい?」
「強い女は大好きだ…だが、まぁ」
「まだ足りないな」
「っおわぁ!?」
瞬間、サラマンダーの眼前に迫る鉄板!
瞬時に腕で払いのける!
「…盾?」
「一タテだな」
「ハッ!?」
少し目を逸らした隙に男は視界からかき消え
「今度こそ終了」
視界は黒に染まった
「なる
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