「どうやったらこんな風に寝れるんだ?」
すやすやと幸せそうに眠る少女を見ながらロルフため息をついた。この不思議の国へ突然招かれてから、不思議な光景には事欠かなかった。それでもこの何処でも何時でも様々なシチュエーションで眠るこのドーマウスにはいまだ驚かされている。
「おい、ミルア。起きろ」
彼女の体を揺らすとふわふわとした栗色の髪の毛も揺れる。
「起きてるよぉ。ロルフ、おはよぉ」
「今昼だぞ」
これはミルアが起きたのではなく、寝ながら返事である。ドーマウスは寝ながらでも会話が可能なのだ。
「お前はびしょびしょの格好で寝ていたんだ?」
「シチューが好きなの…」
もっとも、夢の中での会話なので話の流れが合わぬこともままある。彼女の寝ていた場所に目を向けると、巨大なティーポットが置かれていた。おそらくシチューにつられて、他の魔物娘たちにあのポットに押し込められていたのであろう。彼女たちドーマウスの魔力は蜂蜜のように甘く紅茶に混ぜると絶品なのでよくポットに押し込められるらしい。
ミルアと最初に出会った時も、彼女は紅茶でびしょびしょになったまま寝ていたのだ。以来、彼女とは妙な縁があった。
ともあれ、人間のように風邪をひかぬとは言えこのまま放置しておくのは性に合わない。軽い華奢な体を抱き上げると、はらりとパジャマのような服がはらりとはだける。そのまま白い肌がはっきりと見えてしまう。
「魔物娘ってのはなんでこう、無防備なのかね」
見てしまった気恥ずかしさをごまかすようにつぶやく。もっとも、淫らなハプニングは幾度もあったが、あいにくとまだ伴侶はできて無かった。
彼女をやっと家に連れ帰り、ベットに寝かせる。
「ついでだから、飯食っていくか?」
「シチュー…」
「お前はどんだけシチューが好きなんだよ…」
結局彼女は寝ながらご飯を平らげ、寝ながら風呂に入ってそしてまた布団に入った。満足したのか、先ほどよりもいい笑顔で横になっている。しばらくあどけない表情を眺めていると、妙なことに気づく。甘ったるい蜂蜜のような匂いが部屋中に漂ってきたのだ。
「ミルア?」
間違いなかった。彼女の魔力が回復しつつあるのだ。いつも彼女と会う時には紅茶まみれで感じる機会がなかった。
魔力は遠慮なくまとわりついていく。それだけではない。すやすやと眠る彼女を見ると、股間の者が熱くなってくるのだ。ロルフは顔を振ると、ミルアの肩を掴んで揺らす。
「おい、ミルア。今日はもう帰れ」
理性が保ってる内に帰らせようとするが、ミルアは起きるどころかロルフにしなだれてくる。
「 んー」
思わず彼女の口を見た時。ロルフの理性は吹き飛んでいた。
次の日、ロルフはミルアに抱き着かれながら歩いていた。珍しく起きているミルアは自分のみに何が起きたかわかってるはずだが、朝から上機嫌でニコニコとしていた。
「ロルフは昨日お楽しみでしたね〜
#9829;」
ミルアの間延びした口調はかえってロルフに自分のやったことを意識させるものだった。
「…」
返す言葉もなく無言のロルフにミルアはチュッと口づけする。。
「ロルフ、大好き!」
花が咲くような笑顔のミルアに、ロルフはまた股間が固くなるのを感じた。
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