砂漠を馬で駆ける者たちがいた、彼らは無法者達。
彼らは、街を襲っては金銀財宝、食糧、若い女等を強奪している。
「ははは、今日も大量だ♪お前ら今日も騒ぐぞ!」
「「「「おお〜〜!!」」」
無法者達は、騒ぐ・・・夜の砂漠を。
若い女性達は怯え、恐怖し震えている。
だが・・・無法者達は・・・知らない。
自分達が走っている砂漠には "怪物" がいることを。
それは地響きと共に。
地中から、現れることを・・・。
「か、頭(かしら)!じ、地震・・・っ!?」
一人の男が後ろを振り向く。
それは "地震" ではない。
地中深くから目覚めた化物。
サンドウォームである。
「頭!!さ、サンドウォームだ!」
「こ、このままじゃこ、殺されちまう!」
「っち、仕方がねぇおい、財宝、女は置いていけ!」
馬車から、財宝や女を落とす男達。
まるで自分たちの事しか考えていないかのように。
だが・・その中に、たった1人・・・たった1人だけ無法者達とは違う行動をとった男がいた。
「おい!クーザ何している!?」
「お前死にたいのか!」
クーザと呼ばれた男は1人、たった女性達の元に行く。
そして懐からナイフを取り出し手に持って、女性達の縄を斬る。
「馬を使って、逃げろ・・・俺がサンドウォームを引き付ける」
女性達、無法者達の反対側の方に走りポケットから、照明弾を出して サンドウォーム目掛けて投げる。
投げて数秒後、破裂し砂漠を照らす。
ぐゃぉぉぉ!?
光に驚き、サンドウォームが叫ぶ。
そして、クーザを標的と見なし、追いかける。
「いいぞ・・・こっちだ」
クーザを追いかけるサンドウォーム。
サンドウォームに追われるクーザ。
ただ、心なしかニヤリと笑う。
「いいぞこっち、こっちだ」
だが、痺れを切らしたサンドウォームが体ごとジャンプする。
すると丁度クーザの真上に口がありそのままクーザを食べようとする。
「っち、仕方がない」
別のポケットから、爆弾を3、4個持つ。
徐々に、サンドウォームの口が迫り口の中に爆弾を投げ飛ばす。
「よし!」
口に爆弾が入るのを確認し、クーザ右に全力で走ってサンドウォームの口から逸れようとする。
ぐぉぉぉぎゃぁあああ!!
すると、投げた爆弾が内部で爆発しサンドウォームが体勢を崩しそのまま落下する。
その落下した風圧にクーザも巻き込まるが軽傷ですむ。
「はぁはぁ・・・は・・・はは・・・」
腰が抜けて、その場に座り息を整える。
だが油断はできない、爆弾程度は絶対に死んでいない。
きっとまだ動くはず、と思いゆっくりとその場を歩き離れようとする。
ぐぉぉ・・・ぎゃぉぉ・・・
少し振り返ると、やはりまだ生きていたかと思いながら少しずつ走り始める。
一歩、一歩少しでも距離を取って隠れるか、砂のないところにと考えながら走る。
「はぁはぁ・・・?」
ふと自分を追うだろうと思っていたサンドウォームがゆっくりと地中の中に潜っていく。
1人きりになった、ほっとしその場で息を整える。
「はぁはぁ・・・」
ただ、これがクーザにとって最大の "油断" である。
「!?な、なんだ」
砂がゆっくりと、渦を巻き流砂ができ "砂地獄" が生まれる。
「な・・・い、いきなりな、なんだ!?」
必死に走って、砂地獄から逃げようとする。
しかし、走っても走っても砂に足を奪われてしまい。、
やがて体が砂の中に体が埋まってしまう。
「くそ・・・!?」
身体が埋まり、身動きが取れないままふと下を見る。
下には大きな口を開けて砂を吸い込んでいる。
その口がサンドウォームだと気づいた時。
クーザは・・・。
「は・・・ははは・・・」
自分の運命が決まった・・・と、思いながら。
サンドウォームの口の中へと入ってしまうのであった・・・。
*
あれからどれくらい経ったのだろう。
自分死んだ・・・未練はない・・・が。
未練はないが・・・おかしいと思い始める。
顔に、水(?)のようなものが体中に当たっている。
「ん・・・ん?」
ゆっくり目を開けるクーザ。
サンドウォームの体内のはずだが、意外と明るいとクーザは思った。
少し眩しいとも思い、ゆっくりと数回瞬きする。
「・・・」
瞬きすると、一瞬女性が映った。
それはきっと幻だと思い気のせいだと思い込む。
「・・・き、て」
声が聞こえた。
再度目を薄く開け右、左と目を動かす。
しかし、自分がいるのはサンドウォームの体内。
人なんていない、否いるはずがない。
「あ・・・ね、ね・・・ね、ないで」
声がまた聞こえた、また今度は少し体を揺らされる。
間違いなく "幻" ではないと確信してしまう。
「・・・う、ん」
三度(みたび)目を開けた。
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