7月下旬、心乃 驟雨(こころの しゅうう)は同じクラスメイトの男子達と海へ来ていた。
ただし、驟雨本人は死んだ魚のような目をしている。
「海だぁぁ」
「「「「海だぁぁっ!!」」」」
「・・・うみだー(棒)」
驟雨は目を細めて周りを見る。
人、人、魔物娘、魔物娘、魔物娘と若干人よりも魔物娘が多い。
「いよっしゃ〜〜行くぞ」
「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ」」」」
「・・・いってら〜」
欠伸をしながら驟雨は1人海の家へと行く。
まるで、自分は放っておいて欲しいかのように。
「テンション高すぎだろ・・・」
欠伸をしながら海の家に入る。
中は、人はいなかったが代わりに綺麗な女性がいた。
「あら、いらっしゃい人はいないから、自由に座ってちょうだい」
「・・・」
適当に椅子に座ってふぁぁっと欠伸をする驟雨。
すると、そこに氷水が入ったコップとメニューを持った女性・・・否。
魔物娘 "クラーケン" がこちらに近づき。
メニューと水を置く。
「注文が決まったら、呼んでね?」
烏賊足をニュルニュルと動かして移動する姿に。
驟雨は口を("゚д゚)と開けて相手を見る。
「?私の顔に何かついてる?」
視線に気づいたか、ゆっくり近づくクラーケン。
そして、驟雨が座っている場所の向かい側にしゃがみ驟雨を見る。
「あ、あんた・・・ま、魔物娘なんだな」
「あら、魔物娘が海の家をしちゃいけないなんて誰も決めてないでしょ?」
「そ、そうだな・・・と、とりあえず・・・ラムネ1本」
「ラムネ1本ね♪」
ちょっと待っててねと言って、冷蔵庫からラムネを1本ともう1本持って。
驟雨が座っている場所に近づき「はい、ラムネ♪」と言って1本のラムネを渡す。
「・・・」
「・・・?どうしたの開けないの?」
「え・・・い、いやみ、店のラムネ・・・あ、開けて良かったのかとお、思って・・・」
「あ〜いいの、いいのここ、私の店じゃないし私ただの留守番だから」
ラムネ瓶を開けて中身がこぼれる前に口に入れて。
中身が出た分を口の中で受け止める。
「いや、ダメだろ勝手に開けて飲んだら!?」
ラムネを飲むクラーケンをありえない目で見て突っ込みを入れる。
しかし、意気揚々とラムネを飲むクラーケン。
「うふふ、ひょっとして私の心配してくれてるの?」
ありがと、と1言お礼を言うクラーケン。
「でも、ちゃんとここの店主には許可はもらってるから安心して♪」
「だ、大丈夫かこの店・・・」と思いながらラムネを開けて、驟雨も飲み始める。
しかし、何故かクラーケンは驟雨をじ〜っと見つめている。
「あ、あの・・・なんですか?」
「ん〜?お姉さんみたいな年上は嫌いなの?」
「いや、そうじゃねぇよ」と内心思いながら言うべきか、否か考える。
そして仕方がないと思い少し咳き込む。
「・・・お、俺みたいなのと話してもつ、つまらないと・・・お、思う」
相手を見ない様に目を背けながら、ラムネを開けて飲み始める。
まだクラーケンは驟雨を見つめているを気にせずに。
「・・・貴方、お名前は?」
「え・・こ、心乃驟雨」
「驟雨君・・・中々かっこいい名前ね♪」
内心溜息を吐きながら、もう帰ろうかとも考える驟雨。
するとラブラブな2人のカップルが海の家に入ってくる。
1人は、男性でもう1人は魔物娘 "マインドフレイア" が腕を組んでいる。
「未歩(みほ)さんごめんなさいね〜私の旦那様が朝からしたいって、いうものだから♪」
「あはは、未歩さんいつも店番を頼んで悪いね〜」
男性の1人が笑いながら照れている。
なおマインドフレイアもぎゅうっと抱きしめている。
「・・・ご馳走様」
お代を置いて、海の家を出る。
ただ、口に手を押えて走っていく。
その姿を見た、クラーケンの麗戸 未歩(れいと みほ)は。
驟雨の事が気になったのであった。
*
少し歩き砂浜を少し歩き。
1人になれるまで歩き。
数時間掛けて、1人になれる海岸に着き、体育座りをして空を見る。
「・・・」
ゆっくりと立ち上がり腕を伸ばす驟雨。
そして腕を伸ばした脱力する。
「・・・帰るか」
海岸を歩き、更衣室へと向かう驟雨。
するとどこからか声が聞こえてくる。
「もう帰るの?」
「!?」
ふと声がしたところを振り向く。
振り向いた先は海。
だが突然海からドッパーーンっと "何か" 飛び出てくる。
少し驚きながらその "何か" がこちらに近づく。
しかし、冷静に落ち着いて "何か" を見ると、その正体は先ほど海の家にいたクラーケンだった。
「もう帰るの?」
ゆっくりと海の方から驟雨に近づく未歩。
そして自慢の烏賊足を伸ばし、驟雨を捕らえ自分の元へと引きずり込む。
「うわぁっ!
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