悪魔や天使というのは・・・実在するのだろうか。
よくファンタジー世界を解説をする本はあるが実際は "実在" しない。
少なくとも古井 樹輝(ふるい いつき)は実在しないものに飽き飽きしていた。
「先輩、もうやめましょうよ」
1人黙々と悪魔の召喚の準備をする1人の女生徒。
彼女は志堂 紫(しどう ゆかり)は樹輝が所属する非公式の部活 "現代魔術研究部" の部長。
しかし部員は紫と樹輝の2人だけの部でもある。
「やめる?無理な相談だ、私は悪魔を召喚する」
「だったら1人でやってくださいよ俺、もう帰ってもいいですよね?」
「ほほう、君は私を置いて帰るというのか?」
笑顔でこちらを見上げる先輩。
その笑顔には威圧があり樹輝は溜息を吐いて諦める。
「ふふふ心配するな、もうすぐ終わる」
「これでよし」というと部室の床に "魔法陣" のようなものから2歩ほど下がる。
そして窓のカーテンを閉めて部室を暗くする。
「よし古井、蝋燭に火をつけろ」
「はいはい」
やや不満に蝋燭に火を点ける。
すると部室に蝋燭の火の灯りだけになる。
「準備はできた、始めるぞ」
樹輝は「はぁ」っと溜息を吐く。
何故ならこれで3回目の挑戦だからだ。
1回目も2回目も何も起きず "失敗" したから。
そして3度目の正直のようにポケットからナイフを出して、一刺し指を少し切って "血液" を垂れ流す。
「・・・よし」
魔法陣が紫の "血液" に染まる。
すると部室に異様な空気が部室を包み込む。
「血と供物を奉げる」
突然部室を包つむ異様な空気がピリピリとしびれ。
このピリピリとした空気の中「ごく」と樹輝は自身の唾を飲み込んでしまう。
「こ、これは・・・ひょ、ひょっとして」
もしかして本当に召喚できるのかと思ってしまう樹輝。
「我が声、我が血を持って汝を呼ばん」
空気が痺れがますと同時に魔法陣も少しずつ光始める。
そしてその光が大きくなり光がより眩しくなる。
「悪魔よ今こそ我が前に現れよ!!」
呪文の詠唱を終えると一気に光が部室を包み込む。
あまりの眩しさに2人の目は閉じてしまう。
光はゆっくりと消えてゆく。
「う・・・せ、先輩・・・大丈夫ですか」
少し目がチカチカする中、ゆっくりと目を開けて部室を見る樹輝。
目が慣れていき、周りを見ていくと・・・魔法陣には、なにもいなかった。
「せ、先輩・・・」
「・・・」
紫は黙り目から少し涙が出ているのも分かる。
そしてゆっくりと立ち上がる紫。
「ははは・・・」
虚しく笑う。
ただ虚しく笑ってしまうが・・・紫も樹輝も気づいてない。
悪魔ではない者の召喚成功したことに2人は気づいていない。
*
その日の夜。
樹輝は自室で勉強をしていた。
だがいつもよりも集中できなていない。
「っま、3回も失敗した訳だ、これに懲りて少しは現実を・・・」
色々と考えるもやはり気になってしまう。
初めて見た、流した涙を、これでよかったはずなのに。
何故かもやもやして考えていると携帯電話が鳴り電話に出る。
「はい、もしもし」
『も・・・もしもし、よ、古井ぃ・・・か?』
「はい、そうですけど?」
様子がおかしいと思った。
しかしすぐに気のせいだと思った。
『い、今・・・そ、外・・・で、でら・・・出られるか?は、話・・・話がしたい」
「い、いまですか?別にい、いいですけど」
『そ、そうか!』
嬉んでいる声が聞こえて落ち込んではいない事がわかり。
そして待ち合わせ場所を指定されて待ち合わせ場所へと向かうのであった。
*
指定された待ち合わせ場所に着き、周りを見て紫を探す樹輝。
待ち合わせ場所は学校近くにある公園。
「先輩・・・いないなぁ」
公園の周りを見渡しながら紫を探す。
だが時間はもう夜で視界が悪く見つけようにも見つけられないでいる。
「これ、見つけられないって・・・どうするべきか・・・」
流石に暗くては見つけようにも見つけられない。
困り果てたその時ポケットに入れていた携帯電話が鳴ってポケットから出す。
掛けてきた相手はもちろん紫で慌てて通話ボタンを押す。
「も、もしもし先輩?」
『もしもし・・・今、公園の茂みにいる古井からでも見えるだろう?』
「し、茂み?」
ふと、辺りを見て茂みを探す。
すると木々が多く、夜の不気味さをさらに引き立てるような茂みを見つける。
そしてまさかこんなところにいる訳がないと思いながらも茂みの方へと歩く。
「せ、先輩・・・今、どこですか?」
携帯電話を持ったまま紫を探す樹輝。
茂みから奥へ、奥へと進んでいく。
「先輩?一体どこにいるんですか?」
どこにも、誰もいない。
それどころか人の気配すらない。
『ああ、いいんだ
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