まず向かった先は宿屋だった。どうせなら、まず此処を集合場所にしておくべきだろう。
「えー、コホン。 それじゃあ二人には、買ってきてほしい物を伝えたいと思います」
ラミア姉さん直筆の卑猥アイテム集数点、必要不可欠な食物数点、などなど…。二人に商品名を告げて行くと、見事分かったかのようにコクコクと同時に頷いてくれる。背こそ人間よりも小さいけど、人間と同じで知識があって賢いゴブリン族だととても思わされる。あまりに聞きわけが良すぎたお陰で、俺としても喋っているのが凄く楽しく思えてしまった。
「………って感じのだけど、分かった?」
「おっけおっけーバッチリ!」「…っちりー」
若干後方の方でぼんやりピースをしているゴブリン娘が心配な気もするけど、杞憂だろう。そんな風に思ってしまっていた俺に、二人はこう告げた。
「この私が買ってくるのはエッチアイテムだよねー?」「う、うんうん」
「で、この娘が買ってくるのが食糧の方なんだよねー?」「うんうん」
流石魔物娘、この卑猥アイテムがソッチの方向だと言うのには理解が広いと言うか。まあ、実物を分かってくれているなら有難いと思う。…ぼんやり笑顔を浮かべてる娘を除いて。俺もこんな所に来るなんて滅多にないから、総力を分散させて自由に買い物ができるなら、もーまんたいだ。
「そんじゃま、いってきまーす!」「…まーす」
そんな感じで、二人とも元気に飛び出していった。流石ゴブリンさん、その元気さが眩しいですぜ。さてさて、俺もせっかくの買い物を楽しむべきだろう、なんて陽気な気分で歩き出した、その時。
「あーそこの君君〜」
またしても何処から声を掛けられてしまった。振り向くと、宿屋から出てきたばかりと思われる人の姿。いや、人と言うよりもこれは…魔物娘の、確かハーピーとか言う種族だったかな。腕が翼になってるし。だが気になる事に、彼女の顔は何と言うか、俺の事を心配そうにしているような気がした。
「はい、なんですか?」
「あのゴブリンとホブゴブリンの二人って、知り合いだったりするの?」
若干気さくな話し掛け方だったが、どうにも気になる確認だ。どうしてそこを気にするのだろうか。もしかしたら彼女たちの評判とかを聞けるのかもしれない。どうせなら聞いておくべきだろう。
「んー、知り合いと言うより…日雇いのお手伝いさん、って所かな」
俺もこの後買い物出かけるんだー、なんて呑気な事言ってたら、ハーピーの表情が大きく変わった。うん?俺の考え方が間違えでなければ、どうみてもその表情は『やっちゃったー』って感じのものだった。
「見事にしてやられたわけね〜…。最近多いんだよ、そういうのがさ」
「“してやられた”…―――え?」
「あ、知らないの? 最近彼女たちの間で流行りの悪戯の一つに“悪徳商法”ってのがあるの」
「あああ悪徳商法ォ!?」
此処でやっとこの事態の重さに気付き始めた俺。おせぇっての。
「多分お手伝いするとか何とか言って、紙みたいなのに名前書かせてきたでしょ」
……そうだ。そう言えば、お手伝いさんとして雇う時に、俺は渡された紙に自分の名前を書いた。あの時はそういう条件でやってく、と言う意味合いだったのだとばかり思っていたのだが―――。良く良く考えてみたら、そうそう簡単に自分の名前を出すだなんて危険な事だと思える。
「………」
「その様子だと書いちゃったのね〜御愁傷様。ま、お部屋代くらい出してあげる」
「えっ、ちょっ、どういう―――」
「ふぅん…確かに身なりは田舎者で結構ウブそうだけど…。
―――あ、驚いて下手に逃げない方がいいかも知れないねー」
に、逃げない方がいいって、どういう…。
「名前出しちゃったんだから。下手に逃げたりしたら、
その身体が持たなくなっちゃうかもね? うふふ♪」
あえて詳しく口に出さなかったのか、ハーピー娘はそのまま宿屋の中に入ってしまった。………ま、マズイ。非常に危険で厄介な事に手を出してしまったのだろうか!? 俺は戦慄する。このままじゃ、よく分からないけど大変な事がこの身に降り注いでしまうんじゃないかと。だが逃げても良からぬ事がこの身を襲ってくるらしい。もしかして…ゴブリン達の強制労働をさせられるとか。とても冗談で済まされる話ではないのは理解した。さっそく何処かに逃げてしまいたい衝動に―――ハッ!
『………ふーん、買ってこれなかったんだ』
ゾク。背筋を凍らすような一言が、脳裏に響いた。
『………丁度いいわね、最近知り合いの女の子がローパーになっちゃったんだけど』
聞いたことも無いのに、まるで刷り込まれたかのように脳裏で綺麗にそれが再生され、
『……毎日毎日、疼いちゃって仕方ないらしいのよ。男手が足りないみたい』
言い得て妙
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