「♪〜♪〜〜〜〜♪」
男が鼻歌を歌いながら林の中を歩く。
「う〜やっぱ散歩に来て正解だったか。」
男はやけに上機嫌で歩いていた。
しかし、幸せな時間はすぐ終わるのがいつものことで、だんだん天気が悪くなり、そのうえ雨まで降り始めた。
「うわぁ、何だよクソッ。」
男がうんざりしながら、そう言うと、来た道を戻ろうとしたとき、
「ん?なんだありゃ?」
少し先に人影が見えて来た。
その人影に近づいてみると、その人物は女だった。
腕を怪我をしているようで肩に手を当てながら移動している。
男は女に、
「おい、あんた。どうしたんだ?腕を怪我しているみたいだが。」
そう尋ねると、女は
「・・・お前には関係ない。」
そうそっけなく返すだけだった。
しかし男はあきらめずに、
「そんなことはない、腕を怪我している上、雨が降ってきたんだ。少しまかなうから部屋に来てくれ。」
そう言った。
「うるさい!別にいいt」グキュルルル〜
女が怒鳴った途端、女の腹から大きな音が聞こえた。
女は真っ赤に顔を染めて恥ずかしがり、男は少し顔を緩め、
「そんな腹の音を出しておきながら一人で帰ると気分がひどくなる。着いてきてくれ。」
そう笑った。
女はその笑った顔を見て、少し考えてから
「・・・分かった。」
女のほうがあきらめて部屋に来ることにしたようだ。
男は満足そうに
「OK、ついてきてくれ。」
といって、部屋に女とともに帰って行った。
「ほらよっと、出来たぞ。」
男が部屋に帰ってすぐに作ったスープを女に渡した。
「・・・・」
しかし女は苦い顔をして、スープを口に運ぼうとはしなかった。
「大丈夫だ、毒なんか入れてないし自分も食うから。」
そういって男は自分の分のスープをさらに入れた。
女はその言葉を聞くと、決心したようにスープを口に運んだ。
「!!!!!!」
一度食べ始めたら止まらず、そのスープをいきよいよく食べる女。
そしてすぐに皿に入れたスープを平らげた。
そのままテーブルに空になった皿とスプーンを置いた。
「食うのが早いな・・・・ん?どうした。」
男があっけに取られていると女が男のスープを見て
「すまないがそれもくれないか?」
と頼んできた。
「ああ。いいぜ。」
男は特にだめな理由がないので自分のスープを渡した。
女はそのスープをもらうとすぐに平らげてしまった。
「よく食うなっと。とりあえず自己紹介しようや。」
女が食べ終えるのを待ってから男がしゃべり始めた。
「別にいいが・・・お前から名乗れ。」
女が男に皿を返しながら話す。
「わかった。俺の名はジェルグ。ここで料理長をしているものだ。あんたは?」
ジェルグと名乗った男が女に尋ねると
「私の名はスアマ。アマゾネスだ。」
スアマと名乗った女の言葉にジェルグが驚いた。
それもそのはず、ここは反魔物領で魔物はよくて殺され、悪くて性欲の捌け口になるだけだからだ。
「私もあのまま空腹で死に掛けていたときにおいしいスープをいただいた身だ。礼を言う。もし、お前が魔物だと気づいて助けたと言うなら・・・」「まて。」
スアマがあきらめたようにしゃべっている途中にジェルグがしゃべった。
「ここは確かに反魔物領だが、別に首がほしかったわけでも、女だからってわけでもない。しかもあんたの首を出しても喜ぶのは領主だけ。いいことがない。だから・・・・」
「だから?」
スアマはジェルグに言葉をさえぎられたことも忘れて、話を聞いていた。
「お前をかくまうことにする。」
「・・・は!?」
ジェルグがいきなりとんでもないことを言ったのでスアマは驚きを隠せなかった。
「いいか、よく聞け。ここの領主は最悪でな。お前の首を出してもメリットはないんだ。しかも助けたやつが魔物だからって殺そうとも思わない。それならここにかくまってやった方がいい。」
ジェルグがそう説明し、約束を守ってくれたらなと付け加えた。
スアマは少し考えて、本当にいいのか?と聞くと
「ああいいさ。あのクズ領主に人生をささげるより、女性の命を守って死ぬほうがましだ。」
はっきりジェルグが言った。
スアマはそれを聞いて少し微笑みながら、
「すまない恩にきる。」
と言った。
それから約一ヶ月経った日
スアマはまだ生きていて、領主にばれずに暮らしていた。
ジェルグがスアマに出した約束をスアマは守り、ジェルグは休みだが、外せない用事があり、外出し、帰ってきたら
「お帰り、用事は終わったのか?休みに出かけるのもいいが、家で休むことも大切だぞ?」
いつもはお帰りの一言のはずなのに、スアマがやさしい目で話しかけてきた。
「ああ、用事は終わった。後は天に祈るだけだな。」
ジェルグは不思議に思いながら言った。
「そうか・・・そうそう、そろそろ風呂に入ってきたらどうだ?用事で疲れただろう。」
「おう、分かった
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