「んっ・・・はぁ・・・・・じゅるるっ・・・・」
「・・・・っ」
ベッドに縛られ動けない状態の俺の上に、一人の女性が跨り首筋に顔を埋めていた。その女性は俺の首筋に鋭い牙を突き立てじゅるじゅると俺の血管に流れる血液を啜り、まるで性交を行っているかのように頬を赤らめている。
いや、実際にこの女性にとっては性交に等しい行為なのであろう。血をすすり始めてから数分、彼女の股は愛液でべっとりと濡れており、後からとめどなく溢れているのが感じられる。
「・・・・ぷはぁっ・・・・・貴方様の血、とても美味でありました我が主」
「シンディ・・・・」
満足するまで血を飲むことができたのか彼女―――シンディは牙を俺の首から離し、まるで口紅のように俺の血液で唇を真っ赤に染めて妖艶に俺に微笑んできた。俺はただそれを息を乱しながら眺めることしかできない。
「では、後がつっかえていますのでそろそろ本番をさせていただきます。処女ですが、まぁヴァンパイアも魔物娘の一種、おそらく平気でしょう」
「その前に、聞かせてくれシンディ・・・いつからなんだ・・・」
シンディは我慢がきかなくなったのかすでに愛液でぐしょぐしょになった下着を脱ぎ捨て、俺の分身にめがけてその秘部を宛がおうとする。俺はそれを止め、彼女の声をかける。しかし彼女はなんの質問のことか理解できておらず、首をかしげていた。
「いつから・・・とは、どういう意味でしょうか主よ」
「・・・・・・いつから、俺を裏切ったんだ・・・・王国騎士第5師団団長シンディ・クライン」
俺は目の前にいる彼女・・・・・元人間であり俺の側近にして姉のような存在だった、王国を守護する騎士を束ねる立場の一人であったシンディに尋ねた。
反魔物領であり教団国家であったこの国で、俺は王族の子として生まれ落ちた。しかし王族と言っても第五王子・・・・・・おまけに兄上たちは俺より剣の腕も政治手腕も優れており、王位継承にはもっともほど遠い存在でせいぜい政治の道具として使われるのが予想されていた。
そんな俺の護衛を務めていたのが王国騎士団第五師団・・・・俺たち王族にはそれぞれ騎士団を一師団護衛としてつける伝統があり、シンディはその師団の団長として俺の傍にいた。
といっても、第五師団の連中は俺の護衛というより世話係、もしくは姉代わりとして俺の世話を焼いていた。普段から堅苦しいのを嫌った俺はどうせ跡目争いにも参加できないと決めつけ、態度も王族としてでなく民が知り合いに話しかけるように接していたためあまり護衛という感じではなかった。中でもシンディは俺が生まれたころから護衛として仕えていたためか、言葉こそ主従関係を大事にしていたが接し方が姉が弟をしつけるような対応であった。
王族としての自覚がなかった俺はその日も護衛の騎士たちを連れ、城を抜け民が行きかう街へと繰り出していた。しかし、この日違ったのはけたたましく鳴り響く鐘の音が聞こえてきたことだ。5回以上鐘が慣らされた場合、それは非常警戒態勢であることを意味する。しかし、4度目の鐘の音が聞こえた瞬間に国を覆うように囲まれた壁が爆発し、そこからなだれ込むように魔物達が侵入してくるのが目に映った。
民は悲鳴をあげ、まるで激流のごとくわれ先にと逃げ出し始めるが、それを逃がす魔物ではなく一人一人捕まっていったのが見えた。俺はすぐに民に呼びかけ、慌てずに城へ避難するよう促し、護衛の騎士に民を誘導するよう命令しようとした。
しかしそんな俺の前に現れたのはまるで闇を表したかのような漆黒のマントを纏い、金色の髪を伸ばした女性が姿を現した。その貌はまるで全てを魅了するかのような美を誇り、思わず見とれてしまうほどだった。しかし、その両目は爛々と紅く輝いており、にぃっと笑った口から覗く鋭い牙から、その女がヴァンパイアであることが俺には分かった。
「ようやく見つけたぞ・・・この日をどんなに待ち望んだことか。ようやく会えたな」
ヴァンパイアはそう言うとくつくつと笑いながら俺に向かって歩を進めた。しかしその時の時刻は正午・・・・夜の王であるヴァンパイアが最も忌み嫌う時刻であり、力をまったく発揮できないことを俺は城の本で読んだことがある。俺はすぐにシンディを含む騎士たちに目の前のヴァンパイアを排除するよう叫んだ。
しかし、なぜか騎士たちはそのヴァンパイアに忠誠を誓った従者のように膝をつき、俺のすぐ横にいた二人の騎士が俺を羽交い絞めにした。俺は最初何をしているのか分からずシンディに声をかけた。だがその時に俺は見てしまった。
普段兜で隠れてよく見えないシンディの瞳が、昔見た綺麗な碧眼ではなくヴァンパイアと同じ紅い瞳であり、妖艶に微笑む口から覗
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