chapter1-1 失踪

俺たちがあの謎の招待状どおりの住所に向かい始めて3時間…
ついに俺たちは目的地に着いたんだよ!!
……いやぁ、長いようで…短いようでって感じだよなぁ…
なんていいながら、俺は一緒に旅行に出発した女性陣(セムちゃんは除く)の道具を地面に下ろしたんだ。
ここまでくる道のり…ほかの連中はどうかわからないが、俺には中々に重労働だったぜ…

そもそも、どうして俺が他の奴の荷物を持っているのかって?
いや…その…ねぇ?
なんていうか…俺が持ち出した勝負に負けたっていうか…ねぇ?
まっ…単純にわかりやすく言うと、じゃんけんで負けた…かな?
いや、一回目負けた時は、まだ大丈夫だと思っていたんだけど…
何回も負けるうちに、悔しくなって他の奴にいどんで…その結果、全敗しちゃったんだな…
唯一の救いは、セムちゃんと他の男連中は参加しなかったこと…か…

「デメさんお疲れっ!!はい、水…」
「あっ…あぁっ…」
「しかし、本当に大きい建物だよね!和式と洋式のコラボって感じだよっ!!」
「サリィ…どうしてそんなに、元気なんだ…ぜはぁっ…ぜぃっ…」
「えっ…あぁっ、ごめんね?気がきかなくて…はい、タオル」

サリィはそう言いながら、俺にタオルを差し出してくる…
俺はそれを受取りながら宿泊先の建物を見たんだが…た、確かに…すさまじいスケールだ…
こんなに大きな建物がフェルス興国内にあったなんて、初めて知ったぜ…
しかし、これだと土地も建物も相当のお金がかかってるんだろうなぁ…
………うぇっ…

俺は建物にかかっているであろう膨大な金額のことを考え、気持ち悪くなってしまったよ…
しかし、宿屋の店主である俺の観察眼からしても、この建物…かなりLVが高い
あれだね…建物の細かい部分に施された細工…そんな所を人は見るからさ
まぁ、俺の宿屋はお手軽さで勝負だね、値段も安いし…
この宿屋はスペックはかなり高いけど、維持するのにはお金がかかるはずだ…
その点を考えても…俺の宿屋のほうが一歩リードしているな…

なんて、そんなことを考えていると、サリィが耐えきれなくなった風に俺の腕を引っ張ったんだよ!
まぁ、サリィは招待状が来たときから楽しみにしていたし、早く中に行きたいんだろうし…
欲を言えば、もう少しここで休んでいたかったけど、仕方ないな…

「デメさん!!早く行こうよ!!」
「わかったよっ…わかったから、腕を引っ張らないでくれ!!」


「あいつら、いつまでも新婚夫婦って感じでいいよなぁ…ま、俺と花梨も負けてないけど…なっ?」
「えっ……?私のおやつを食べた男が、私に話す?へぇーー…」
「か、花梨…まだ、ひきずってるのか!?」
「べっつにぃ〜…」
「………はぁ…気付かなかっただけなのに、ひどいなぁ…そう思わないかセムちゃん…?」
「……焼き鳥が食べたい気分…ですね…」
「…焼き鳥?ははっ…出るかなぁ…?じゃ、俺は先に行くよ…」


「……デメさん…この旅行で取り返します…ふ…ふふっ…」


……ひぃっ!?な、なんだ…!?さっき、謎の邪気のようなものが背中にのしかかったような感じが…
気のせいだったのかなぁ…?そう思って振り向いても、純粋なセムちゃんしかいないし…
…気のせいだったんだな
俺はそう思い、改めて建物の中に入って行ったんだった…

こうして、俺たちは建物の中のほうに移動したんだが…
外見も立派ながら、内装も物凄い立派だと…これはいったいどういうことなんだよ!?
俺の宿屋が物凄くちっぽけな建物に思えてしまう…!?

そう、中に入ったとたんに、物凄く生き届いた掃除…床には、一昔前の流行アイテムである赤色のじゅうたん…
壁には、わざわざ真っ白に壁紙が貼りなおしてあるし…
お客様に対して、物凄く思いやりがあるっていうのか…
この建物だったら、もう一回来てもいいって感じになるよな…
なんて、建物の内装で変に真面目になるのは…俺の職業柄ってやつなんだなぁ…
他の連中は、そんな装飾にはあまり目も向けず、どんどんと玄関からまっすぐ歩いていたんだ
……え、エントランスまでの距離が、外から見た感じよりも若干遠いなぁ…

それにしても、この建物…人の気配があまりしないんだよなぁ…
いや、少なからずいるって気配は、億の部屋から聞こえてくる話声でわかるんだけどさ…
その話声から推測しても、どうやらこの建物のスタッフの人じゃないみたいだ
お、大きな建物の割に人手不足なのか…これは深刻だなぁ…

そして、エントランスに入ると矢印が正面の大きな扉まで通じていたってわけだ…
そこに入ると、中には大勢の他の客の人がいてそれぞれが自由に過ごしていたんだ
どうやら、俺以外にも懸賞ってやつに当たった人がいるみたいだなぁ…
それとも、個人で客として普通に来たのかな?
ま、まぁ…どっちでもいいけどさ?

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