俺は、友達連中と公園で別れてから、とてもウキウキとした気分で帰路についていたんだ……
なんせ、今日は注文していたビスクドールが家に届く日……
母ちゃんも父ちゃんも、旅行で土曜日まで帰ってこない……!!
くぅぅっ!!今までコツコツとドール貯金してきてよかったっ!!
そう思いながら、家に帰ってると俺はあることに気がついたんだ
あいつにクトゥ○フのゲームブック貸したままだったな……
まぁ、あいつ用に買ってたやつだし、家にもう一つあるから…別にいいかな
俺「ただいまぁ〜…って、誰もいねぇんだったな…さぁって、後は届くのを待つだけ……なんせ、今回のビスクドールはあのビネガ工房さんとこの最新作…これは買わないと、嘘だぜ」
俺「さぁ、みんな、今日は新しいお友達の来る日だ……仲良くするように!」
なんて、自分の部屋の中で一人つぶやく俺……
えっ?なんだか気持ちが悪いって…?
い、いいだろっ!!別にプライベートな空間で俺が自分の大切にしている人形たちに話しかけたって!!
人の趣味に口だすなんて、わかってないぞっ!!
とにかく…俺の至福の時はすぐに訪れた……
ピンポーン……
??「すみませーん…お届け物ですぅっ!!」
俺「あっ…はいはい、今行きますぅっ!!」
俺は早速届いた物を受け取りに玄関へと向かったんだ
玄関の扉を開けると、なんだかすごく子供っぽい店員さんが俺の大切な商品を持ってそこにいたんだ
??「にふふ…この度は当社の商品をお買い上げ下さり、ありがとうなのです、こちらのけいやくし……商品受け取り表にサインをお願い致しますなのです」
俺「あぁっ、はいはい…えっと、こちらが商品の値段……30万2800円です、お確かめください」
??「あっ、たしかに受け取りましたなのです、それでは……良い夜を…」
いやぁ……本当にいい買い物をしたぜ……
これは店員さんの言うとおり、今日はとてもいい夜を迎えることができそうだ……
そう思いながら、俺は自分の部屋に移動し、届いた人形を覆っている丁寧な作りの包装紙をそっと開け始めた……
その箱の中には……それはそれは素晴らしい作りの陶器製の人形が入っていたんだ……
俺は思わず、その人形の美しさに言葉を失った……
その人形は、俺が持っているフィギュアや他の人形とも違い…
なんというか…気品があったんだ
早速、俺は彼女を着せ替えることにしたわけだが……
あまりの神々しさ…気高さに、来ている衣服を脱がせることにさえ、抵抗を感じる……
俺「……こ、これは……球体関節……!?ば、ばかな……ビスクなのに…球体関節…だと…!?陶器なのに、そ、そんな技術が……」
すげぇ…すげぇよビネガ工房……最高だよ……
俺「……っ…ごくっ……」
や、ヤバイ……服を全て脱がせたことにより、物凄く美しい体のフォルムが明らかに……思わず、生唾を飲み込んでしまうぐらいに、エッチな気分になっちゃったね……
しかし……人形は愛する物っ!!性欲の対象とはせずに、心のそこから尽くすものであるっ!!
という、変なこだわりを持つ俺からすれば……この感情は自己嫌悪に陥るぐらいに複雑な物なんだけどね……
ふにっ……
俺「んなっ!?」
ふに…ふにふに……
俺「や、柔らかい……胸やお…おま…んっ…ど、どうしてだっ!?こ、こんな馬鹿なことがあってたまるかっ!!そんなハイブリッドなドールが、あんな端金で買えるわけがねぇっ!!と、とりせつ…とりせつはどこだ……」
俺は、慌てて取り扱い説明書を探したんだ
もし、間違った商品が届いていたら……それが例え自分の買った物よりも高価な物だったとしても、素直には受け取れないからね……
だって、俺はこのドールを作った会社の技術には心底惚れ込んでるからねっ!
だからこその返品を行うことだって、辞さない覚悟だよ、俺はっ!!
えっと……こ、この黒いハードカバーの本が取り扱い説明書か……?
やけに頑丈にロックされているな……鍵までついてる
俺はその取り扱い説明書の鍵を解除し、このドールの素材の部分を確かめようと、この本を開いた時だった……
俺「えっと……えっ!?な、なんだ…!?この黒い煙はっ!?ちょ…洒落になんね……ぬわぁぁぁぁぁぁーーっ!?」
俺はその本から出てきた謎の黒い煙がふよふよと俺の可愛い人形たちのところに流れていくのを見て、自分の目を疑った
その黒い煙は、まるで自分の意思があるかのように…俺の部屋の人形のところへと流れていき……
そして、いつの間にかなくなって行ったんだ
そう……言葉のとおり…なくなって行ったんだよっ!!
まるで、空気と一体化したかのように
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