??「タイガ君、そういうわけだから、君に魔物裁判を引き受けてもらいたい」
僕がそういきなり言われたのは、昨日の夜のことだ
僕の名前は逃出 大河(にげだし たいが)、職業は……弁護士…の見習いで、毎日をこの絽籐荷法律事務所(ろとうにほうりつじむしょ)で、頑張って過ごしている
といっても、この事務所の知名度はあまり高くなく……ほとんどの日常をのんびりと過ごすというのが現実だったりするんだけども……
昨晩、1件弁護の依頼がこの事務所に届いたんだ
その依頼の依頼人は絽籐荷さんの親戚の友人の子供らしく、久しぶりの弁護だと喜んでいたのは、まだ覚えてる
あっ、絽籐荷さんっていうのは、僕の上司で本名を絽籐荷 マヨウ(ろとうに まよう)といって、実は一時期はかなり有名な弁護士だったんだ
……最近は、さっぱり噂も流れないけど…
そんなマヨウさんから電話を夜中に受け、僕は何気なくその電話をとったんだ
マヨウ「やぁ、タイガ君、まだ起きてるかい?」
タイガ「はい、どうしたんですか?」
マヨウ「実はね……君に頼みたいことがあるんだ……こんなことを君に頼んでいいか、非常に迷ったのだが……」
タイガ「やだなぁ、師匠の言うことならなんでも聞きますよ、それで、頼みというのは……」
マヨウ「……君に、明日の僕が引き受けていた弁護の依頼を引き継いで欲しいんだ、もう資料もそちらに輸送して、手続きも済ませてるんだけど、肝心の君にそのことを報告するのを忘れていて……」
タイガ「えっ………?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
マヨウ「大丈夫だっ!!君ならできるって!!僕は少し急用ができてね……まぁ、明日の裁判は相手の検事さんも優椎(やさしい)さんっていう人だから君もいい経験になると思うよ?ここは相手の肩を借りるつもりでひとつ、頑張ってきなよっ!!」
マヨウ「っとまぁ、そういうわけで、タイガ君、君に魔物裁判を引き受けてもらいたい」
………そうかぁ、ついに僕も初めての法廷かぁ……
って、んっ?ま・も・の・さ・い・ば・ん……?
え、えぇぇぇぇぇっ!?
タイガ「師匠っ!!そ、その裁判って、魔物裁判なんですかっ!?」
ツー…ツー……
き、切れてる……なんてこった……
師匠はこっちから電話をかけても、絶対に取らないからな……
こうなったら、覚悟をきめてやるしかない……!!
魔物裁判……それは、魔物娘同士のいざこざや、法律違反など色々な魔物娘が起こした事件を取り扱う裁判のことで、歴史は結構新しい
それゆえ、弁護士の中でもなかなかに場数を踏んでから望むことが望ましいと勉強した時に教わったんだけど……そ、そんな裁判にいきなり初心者の僕が行くことになるなんて……
仕方がないっ!!こうなったらとりあえず事件の資料が届いたら必死で勉強して、明日の裁判に備えるしかないっ!!
6月16日 午前9:50分 裁判所控え室
タイガ「やばいぞ……資料が届いたのが開廷一時間前……その後、目を通す暇もなく、車で裁判所に急いできたから……事件の概要が一切わからないぞ…」
??「………あの……」
タイガ「……ん?」
僕は後ろの方で声をかけられ、ゆっくりと後ろを振り向いた
そこには、蟹の下半身に人間の女の子のような上半身の魔物娘……キャンサーの女の子がいたんだ
心なしか、下半身の蟹部分の元気がないように見える
??「あなたが……マヨウさんの……紹介してくれた……弁護士さんですか?」
タイガ「はい、僕がその弁護士です、えっとあなたは…蟹沢 キャスタ(かにさわ きゃすた)さんですね?今日はよろしくお願いします」
キャスタ「はい……私、本当に犯人じゃないんです……でも、スイムちゃん…信じてくれなくて……クロさんまで私のこと……うっ…疑って……ぐすっ…」
タイガ「大丈夫ですっ!!僕に任せてくださいっ!!自分の持てる全てを出して、裁判に臨みますからっ!!」
係官「弁護士、被告人、まもなく裁判が開廷しますので、法廷内にお願いします」
タイガ「は、はいっ!!」
いよいよだ………まぁ、キャスタさんにはああいったけど…僕、初心者だしな…
助けられるように全力は出すけど、もし無理だったとしても……許してくれるよな…?
それに、相手は検事局の検事さんの中で、一番やさしいことで有名な優椎さんだし…………
6月16日 午前10時10分 裁判所第二法廷内
サイバンチョ「それでは、ただいまより魚沼邸お菓子強奪事件の容疑者の裁判をはじめるのじゃ……なお、本日の裁判長はわし、バフォメットが務めるのじゃ、各員、バフォ様と呼ぶようにっ!!」
検事「………検察側、準備完了している」
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