メリィはゾーネの話を少しのあいだ聞いていると、何かを深く考え込み始めたんだ……
何を考えているのか、俺には検討もつかないが……さっきから嫌なことが起こりそうな……そんな予感だけははっきりとするんだよな
頼むから……断ってくれよ……?
俺は心の底でそう願いつつ、事の成り行きを干し肉をかじりながら見守っていたんだ……
そうしていると、不意にメリィが顔をあげる……
メ「……まぁ、確かに…常に宿が取れる状態にあるというのは、旅においては物凄く大きな利点……でも、肝心なのは速度と安全性……その変形とやらを行って、周りに迷惑はかからないの?ほかの家をなぎ倒しながら移動するとかは絶対に許可できないわよ?」
ゾ「大丈夫じゃ……前回の反省点をしっかりと組み込んでおいたのじゃ……そうだなぁ……近代的な言い方をすると……「あんしんぶれぇきさぽーと」とやらじゃな!!危険を察知したら、即座に止まる仕組みになっているのじゃっ!」
メ「……へぇー…私、機械はどうも苦手だから……よくわからないけど、安全面は大丈夫って事でいいのかしら?」
ス「あぁっ!!師匠の発明に間違いはないぜっ!!」
………もはや、何も語るまい………
語るまい…かたる………
……………
デ「また勝手にそんな変な物をっ!!うちは宿屋なんだよっ!?もっと宿屋経営に役立つような…そんなことをしてくれたらいいじゃないかっ!!」
ゾ「風呂作ったじゃろ?それに、困ったら言ってくれたら、すぐに直してやるのじゃ……世話になってるからなぁ、それぐらいはするぞ?」
………ほ、本当かよ……
メ「……速度はどうなのかしら?」
ゾ「それは、デメトリオ次第じゃな……他にも、体力がある者が数人いれば、さらに早くはなるのじゃが……」
メ「体力……うーむ…ついてきてくれるラグーンメンバーの中で、体力があるのは……アイネとラオの二人ぐらいかしら……彼女たちとデメトリオをいれると、どれぐらいの速度で旅が出来るのかしら?」
ゾ「そうじゃな……ミスト山脈の登山口入口まではいけるじゃろうな」
メ「ふむ……私が単独で飛んでいくとしたなら、半日かかる場所に一日……でも、この大人数でその速度で進めるのは、断然早いわね…その方法で行きましょう」
め、メリィっ!?本気かっ……?
あ、あの目は本気だよ…畜生、嫌な予感が見事に的中しやがった……
どうして宝くじとかは一度も当たらないのに、こんな嫌な予感とかはピンポイントで当たったりするんだろうね…まったくっ!!
メ「さて……そうと決まれば……グロリア家のお嬢さん?私たち、今からちょっと旅にいかないといけないの……悪いけれど、お風呂はまたこんどにしてくれるかしら?」
セ「た、旅って……そんな……わ、私も………ついていく……!!」
メイド「お、お嬢様っ!?そのような事を申しては、奥様に怒られてしまいます!!」
セ「………でも………でも……!!」
メ「……ついて…行きたいのかしら?言っておくけれど、この旅は決して生易しいものではないわよ?宿の心配はしなくてもいいかもしれないけれど、旅は常に何かの危険をはらんでいるの、怪我をすることだってある、命を落としてしまう時だってあるの。覚悟がなくてそのようなことを言っているのなら、やめておいたほうが賢明だと思うわよ?」
セ「………覚悟なら……デメさんといられるなら……どこでも……」
メ「(この子も、デメトリオのこと……サリィの恋敵になるような子を連れて行ってもいいのかしら…?それは二人が決着をつける問題で、私が横槍を入れるのは野暮というもの……か……)」
メイド「お嬢様……ここは潔く諦めて……」
セ「………やだ……サフランも一緒についてきてくれたら……お母様も…」
サフ「……お嬢様…仕方がありません、ついて行かせていただきます……ですが、私はあくまでメイド……パーフェクトメイドという称号はいただけましたが、人間の身である以上、戦闘はできません…いいですね?」
セ「大丈夫………自分の身とあなた……そしてデメさんは……私が……守る」
メ「決まったようね………」
え、えぇっ!?そ、それでいいのかサフランさんっ!!
セムちゃんを少し甘やかし過ぎな気が……って、そんなことよりっ!!
俺も人間だからねっ!?宿屋店主だから、戦闘なんてできないからねっ!?
………あー…まぁ、メリィにはそれを伝えなくても、わかってくれてるだろうからいいかな
しっかし……セムちゃんって、あんなに強引だったんだな……
ま、まぁ…お嬢様ってのは外の世界に憧れている部分があるって聞いたことあるしな
別に変でも…ないか
メ「さぁ、それでは改めて、出発しましょう………っと、そ
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