「はぁ…なんだかなぁ〜…」
俺は手に持った物件カタログを机の上に置くと、一人溜息をついていた…
なぜ俺がこのような所で一人溜息をついているのか…
それには、二つほど理由があるわけだが…
えっ?そもそも、お前がどこにいるのか、俺は知らないって?
ど、読者の皆さんは中々ハードに言って来るなぁ…
わかった!!みんなにもわかりやすいように、俺がこの場所にいるわけと二つの理由を説明しようじゃないか!!
わからなかったら、それは俺のせいじゃないぜ?
作者の表現力がものすごく残念だったからだ、それは理解してくれよな?
あれは…今から30年…いや、3日前の出来事だ…
俺は長年務めていた会社を突然解雇されたんだ、理由は俺が仕事できないからだって…まぁ、俺だってまだ社会の荒波を知らない半人前、あの時はこれがどれだけ恐ろしい宣告だったかをまだ知らなかったんだ…
その時、まだ今いるような大都市じゃなく、どっちと言えば田舎寄りの小さな都市で働いていた俺は、解雇された日も普通に家に帰ったんだ
そして、家に帰って親に解雇されたって話したんだが…
その時の親の焦りようはもう…半端じゃなかったね
その次の日、必死に職を探しに行かされたが…地元じゃあ仕事がなかったんだよな…
で、なすすべもなかった俺は、無知にも関わらず、大都会に行くしかなかったのさ…
だが、大都会についた俺を襲った現実的な問題が1つ…そう!拠点だよ!
俺の生活の拠点は今まで家だった…だが、大都会に来てしまった以上、そんなことを言っている場合じゃないのさ!
で、拠点を探すために今現在、不動産屋に来ているってわけだ…
この不動産屋は、俺のような奴にでも親切に家を探す手伝いをしてくれているから、個人的には何も言うことはないんだが…
それにスタッフの女性も、ナイスバディだし…その点も文句はないのだが…
ひとつ、この店…っていうか、都会に対して文句が言いたいことがあるんだ
これが、俺のため息の理由の一つでもあるんだけど…
とにかく値段が高い!
一つの物件の値段が…俺の持ってきた軍資金とほとんど同額ってどういうことだ!?
そりゃあ、建物なんだから少しは値段が高いだろうってことは理解してた…
だが、これほど高いと俺は自分自身、目を疑わないといけなくなる!
いや…まてよ…
この物件一覧の表記…実は何かのミスで0が一個多くなってしまっているだけなのでは…
などと馬鹿な事を言っている間に、もう夕方を迎えてしまったわけだ…
もうこの店が開店してから8時間が経過しようとしている
まだ、まともに職も見つかっていないって言うのに、俺は何をしているんだ…
ってことで、俺はため息をついていたわけだな
「あのぉ…お客様、ちょっとよろしいでしょうか?」
「へっ…?あっ、何でしょう?」
「もう、お店を閉店する時間なのですが…」
「えっ!?あぁ…そうなんですか…」
…結局、何も買わずに店内にずっと居座るいやな客になってしまったか…
はぁ…今晩寝るとこどうしようか…
などと思いながら、店を出ようとすると、さっき俺に閉店だといったこの店のスタッフが一冊のファイルをもってこっちに来たんだよ!
しかも、俺を手招きしているわけで…まぁ、俺はそのファイルが気になってそっちにのこのこ歩いて行ったわけだな…
「お客様、これは一般のお客様には見せない物件のリストなのですが…」
そういいながら渡してきたファイルを受け取ると、俺は一応それにも目を通して…って、何っ!?
そこには、明らかに値段と不釣り合いなほどいい建物がたくさん並んでいたんだ…
こ、これはすごい…
そう思いながら、ペラペラとページをめくっていくと、俺は一軒の家に目がとまったんだ…
そのページに書かれていたのは、本当に何の変哲もない一軒家だった
ほかのページには、値段にしてはあまりに安い豪邸などもあったにも関わらず、俺はなぜかその普通の一軒家に惹かれていたんだ…
たぶん、俺が何のとりえもないつまらない男だったから、こんな何のとりえもなさそうな家に惹かれたんだろうが…これだったら、買ってもいいかも知れないな…
結局、俺はその一軒家を購入することにきめ、不動産屋を後にしたんだ
さて…家の引き渡しは明日…この紙に書かれている住所に行けばいい…
俺はその紙を財布に入れると、今晩は安いホテルで一泊することにしたのだった…
そして次の日…俺は指定された場所に行き、あのスタッフを家の前で待っていたんだが…
さっきから、変な視線を感じるんだよなぁ…
いや、たぶん俺の気のせいなんだろうけどさ?近くに人なんていないし…
「お待たせしました…えっと、この物件を購入するにあたり、まずはじめにお金をいただきます…」
「あっ…はい、これでどうでしょうか…?足りると思うんですけど
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