スライム30 〜約束〜

ここは、始まりの村と呼ばれる小さな村…
その村の前で、水色に透き通った何かが村の中をうかがっていた…

この物語は、勇者として旅に出ることになった青年と、一人のスライムの女の子の話である…


〜〜神官目線〜


だあぁぁぁっ!!暇だ…暇だっ!!

始まりの神官こと、俺…スプリング=フェイルマンは自分の業務のなさにいい加減、嫌気を感じていた…
こんな乱雑な話し方をしているが…一応、俺はまじめな人間だ…
自分で言うのもなんだけどな?

それで…司祭様であられるデメ=ト=リオン様の指示を受け…ここに配属されたんだが…
この村、本当に何もありやしない!!
普通…神官は忙しい業務なんだぞ…?それなのに…
仕事が祈りに来る人たちを遠くで見ながら、何もせずにいるってのはどういうことだ!?ここの連中は悩みがないのか!!

くぅっ…こ、これじゃあ…俺はいったい何のためにここにいるのか…わかんねぇじゃねぇかよ!!

スプ「くそったれが…暇なんだけどぉっ!?一人でずっと部屋の机にうつぶせになっているだけの毎日…暇なんだけどぉっ!?」

えっ?教会なのに、シスターはいないのかって?
………いるわけないだろう!!そんなお金ないんだっての!!
神官とシスターは別の育成機関で育成されて派遣されていくんだ
両方そろうなんて…本当にまれなんだぞ!?

デメ様の神殿にだって…シスターは二人…しかも、性格に難があるのが二人だったんだから…
ってわけで、俺は今…絶賛ソロプレイ中だ!!
最近は、業務時間に鉛筆の芯でめちゃくちゃ小さい人形を作るのがマイブームだ!!
悪いかこらぁぁっ!!


なんて、俺がそんなことをぼやきながら趣味に精を出していた時だった…

村人「神官殿…今、お時間よろしいです?」
スプ「へっ…?あ、あぁ…どうしたのですか?」
村人「今度…村で久方ぶりの勇者候補となるものの送迎祭を行うことになったのです…それで、神官様にその門出を祝ってもらおうと思いまして…それと、ついでにそのものの結婚式も…」
スプ「結婚式?結婚式ですって!?やったぞ!!これでデメ様の…げふんげふん…わかりました…日付は…いつごろでしょうか?」
村人「明日…お願いできるだろうか?村長の娘のアリステア様と、勇者のファウストとの結婚式と、送迎祭を…」
スプ「任せてくださいよ!!このための神官です!!」


……村人は部屋を出て行ったが、俺の心はもう…それどころではなかった
聞いたか?勇者の送迎祭と結婚式を同時だぜ!?
こんな名誉ある仕事につけた神官って…俺だけじゃないのか!?
よぉっし…はりきっちゃうぜぇっ!!

〜〜勇者目線〜

ファ「いよいよか…いよいよ僕も…」

僕は、明日のことを考えて…今まであったことに思いをはせていた
この村で生まれてから早18年…明日、僕はついに勇者として歩み始める…
昔から追い続けてきた夢がかなう…そう思うと、ついつい心も軽くなってしまうわけで…

ファ「ははっ…これからのことを考えると、期待で胸がいっぱいになりそうだよ、この旅でいろんな世界を旅して…父さんや母さんにおみやげも買ってあげて…そして、幸せな世界を作るんだ!!みんなが笑って過ごせるような…そんな世界をね」


……みんなは、僕のことを夢見ているだけのバカって笑うかい?
それはわかってるよ、旅がいつも楽しいことじゃないってことくらい…
だけど…そんな夢だって見てもいいだろって…僕は思う


父「ファウスト……前にも言ったが、本気…なんだな?勇者になって世界を回るって話も…村長さんの娘さんを嫁にするっていうのも…」
ファ「うん…だって、アリステアさんがあんなに必死にプロポーズしてきたのに、断るなんていけないだろ?」

僕がそういうと、父と母は少しだけ苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべて、こういってきたんだ

父「だが……彼女にはあまりいい噂を聞かない…」
母「私たちは、ファウスト…あなたに本当に幸せになってもらいたいのよ、もし…勇者の旅に出たくないっていうなら、それでもいいのよ?」

ファ「大丈夫だよ、父さん、母さん…アリステアさんもいい人っぽかったし、それにね?僕は勇者となって、困っている人を助けたいんだ」
父「その気持ちがあるなら…俺からは何も言わんよ…だが、たとえ何があったとしてもその気持ちを忘れなければ…お前はその地点で勇者だと俺は思っている…頑張れよ」


父さんの応援と母さんの優しさが身に染みる…
僕はその期待を裏切らないようにしようと強く誓い、明日に向けての旅支度を再開したんだ


〜村長の娘 アリステア目線〜


村長「アリステアよ、いよいよ明日だな」
アリ「そうですねお父様…勇者となるものを夫にするなんて…思いもよりませんでしたわ」


私はそういうと、自分の読んでいた本を閉
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